その女「ぼったくり店」のサクラ 報酬100~200万円で被害男性を誘い込む 罰ゲーム80杯一気飲み マッチングアプリ悪用で新手口 警視庁

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東京・歌舞伎町を拠点に、「ぼったくり」を繰り返していた男女16人が警視庁に逮捕された。マッチングアプリを悪用して、出会いを求めていた男性を店に誘い出し、法外な飲食代を請求していたという。進化した「ぼったくり」の手口とは・・・。
ぼったくり防止条例違反の疑いで逮捕されたのは、木下幸也容疑者(28)ら男女16人。男12人、女4人。女4人のうち2人は未成年だった。
木下容疑者らは、去年2月、9月、12月、今年1月、2月に、歌舞伎町の飲食店で、男性客に対して、法外な飲食代を請求するなどした疑いがもたれている。木下容疑者と杉山磨容疑者(34)が主犯格とされる。今回、立件されたのは、5つの「ぼったくり」被害。
5つの事件ともに、手口は同じ。木下容疑者らが、女性になりすまして、マッチングアプリを通じて、20代~30代の男性と接触。ナンパされたフリをして、男性を誘い出していたという。待ち合わせ場所は、新宿駅東口や西武新宿駅だった。
誘い出された男性の前に現れたのは、仲間の女だった。女は「知っている店がある」などと誘い、事件の舞台となる「ぼったくりバー」に、男性を連れ込んでいたとのこと。熊倉唯佳容疑者(23)や青木真彩容疑者(20)ら女4人が、店の”サクラ”だった。
”サクラ”の女たちが、被害者の男性とともに、バーに到着すると、従業員に扮した男たちが、「1時間5000円飲み放題」と料金システムを説明。しかし明確な料金説明をしないままに、”サクラ”の女たちが「ゲームをしよう。負けた方が一気飲みね」などと提案。
その後、店内では、男女の間で「ワニのおもちゃ」のゲームなどが繰り広げられ、負けた方が、次々と、リキュールのショットを一気飲みする光景がみられたという。ぼったくりの常套手段なのだが、このリキュールは1杯3000円で、飲み放題の料金には含まれていなかった。
男女が、1時間ほどゲームを楽しんだ後、従業員に扮した男たちが現れ、「お客さん、支払いが結構いってますが、大丈夫ですか?」と宣告。男性客が「現金はない」「払えない」などと突っぱねると、店側の男たちが態度を豹変させたという。
男たちは、まるで脅迫するかのように、男性客を、近くのコンビニに連れて行き、強引に、ATMで現金を引き出させたとのこと。さらに、飲食代として、クレジットカードで金のネックレスを購入させていたという。金のネックレスは、その後、換金されていた。
今回の事件では、被害者の男性5人が、13万円~33万円を請求され、実際に2万円~22万5000円を支払っていたという。罰ゲームとして注文されたリキュールは、20杯~80杯にのぼっていた。
今回の事件で、木下容疑者らは、自らが経営していたバーで、ぼったくり行為を繰り返していた訳ではなかった。深夜営業の許可を得ている3つのバーを間借りして、男性客を誘い込み、犯行に及んでいたという。
要は、ぼったくり行為をするために、わざわざ歌舞伎町のバーを借りていたことになる。実際に、木下容疑者らは、摘発を逃れるためか、ぼったくりに悪用するバーを、数ヶ月ごとに変えていたという。
マッチングアプリを悪用した「ぼったくり」は、全国各地で相次いでいるが、今回の事件は、新たな手口と言える。
歌舞伎町周辺では、去年2月ごろから、マッチングアプリを悪用したぼったくり被害が急増。今年1月と2月だけで被害額は5700万円にのぼっていた。警視庁保安課などが取り締まりを強化する中で、木下容疑者のグループの犯行が明るみになったとのこと。
サクラ役として、男性客を店に連れ込んでいた熊倉容疑者らは、月に100万円~200万円の報酬で、闇バイトに応じていたという。店の従業員役の男たちも、同様に、闇バイトを通じて、集められていたとのこと。
木下容疑者らのグループの全容はつかめておらず、保安課などは、今後、売り上げの実態などを調べる方針だ。

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