シリーズ読者投稿～忘れられない「あの人」と～ 投稿者：Sさん（愛知県・60代女性）
Sさんはそこそこ混雑した電車の中で、座席の客にそう声をかける中年女性を見た。
Sさんが彼女のことを、「あつかましい」と思って見ていると……。
＜Sさんの体験談＞
35歳になる娘がお腹にいる頃のことです。
私はその日、検診を受けるために、電車を乗り継いで馴染みの病院に行っていました。
検診を終えて帰宅するために乗った電車はまあまあ混んでいて、私はドアのそばに立ちました。
すると、少し離れた場所で中年の女性が、座席に座っている人達に「ほら、もう少しずれて！」「ここ、空けたら座れるでしょ」などと言っているのが聞こえてきたのです。
当時「オバタリアン」という、あつかましい中年女性を描いた漫画が流行ってて、私は「あれが有名なオバタリアンか……」とちょっとバカにしたような気持ちで見ていました。
しかし、その女性は私の方に歩みよってきて、「あそこに座れるから座りなさい」と声をかけてくれたのです。
お腹の大きな私のために、みんなに声をかけてくれていたのだと知り、親切にしていただいてうれしいやら、内心バカにしてしまったのが申し訳ないやらで、何とも言えない気持ちでお礼を言って座ったのを覚えています。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて！
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（※本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談を編集して掲載しています。あらかじめご了承ください）