“逆さづり”“股間踏まれる”学童保育で体罰か「ケガなければ体罰ではないと認識」と釈明も 金沢

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金沢市の英語教室が行っている学童保育で、児童に日常的な体罰が行われていたとして、一部の保護者が、保育代金の返金を求める裁判の準備を始めていることが、北陸放送の取材で分かりました。保護者は体罰が隠蔽されていたとも主張しています。
母親Aさん「子どもへの逆さ吊りですね。足をつかんで逆さ吊りにする…足とか手をつかんで引きずり回す、定規で叩かれる。蹴られる。結局、暴力ですね」
目に涙を浮かべながら訴えるAさん夫婦。金沢市内の英語教室が行っている学童保育で、少なくとも1年以上にわたり児童への体罰が行われていたとし、憤りを隠せません。

母親Aさん「子どもたちは2021年9月から日常的にあったと聞いています」父親Aさん「いや、腹が立ちますね」

英語教室による学童保育は4年前から始まりAさん夫婦は学校への迎えや、遅い時間まで預かってくれる点などに惹かれて、3年前から利用していました。しかし、体罰については去年7月になって、ようやく、別の保護者から話を聞いて体罰があったことを知りました。
母親A「子どもたちにそんなことがあったのかと聞いたのですが、あったと」Q.体罰をしたのは誰ですか? 父親B「経営者です」

英語教室のホームページをたどると、学童保育を運営する男性は英語教室の代表と同一人物で、県内の高校を卒業後、2019年から英語を教えているとあります。
Aさんの子どもは、この男性から「逆さ吊りにされる」「足や手を掴まれて引きずられる」「定規で叩かれる」「股間を足で踏まれる」…と言った行為を受けたと訴えています。

厚生労働省のガイドラインでは、体罰について「身体に何らかの苦痛を引き起こす、又は不快感を意図的にもたらす行為」としています。また、けががなかったとしても、叩いたり逆さ吊りにしたりする行為は、身体的虐待にあたるということです。
英語教室は北陸放送の取材に対し、「保護者への謝罪」は認めた一方、何について謝罪したかについては「詳しいことは知らない」としています。さらに、代表を名乗る男性は既に退職し、現在は母親が代表を努めているものの、取材には応じていません。
Aさんが体罰を知るきっかけとなったBさんも、子どもから体罰の報告があったと話します。
母親Bさん「怖かったと始めは言ってきていました。自分たちも静かにしていないとこうなるって思ったて言ったんです。」
さらに複数の保護者に取材すると、同様の被害を訴える子どもが少なくとも4人いて、中には「口止めをされた」や「たんこぶができた」と話す子どももいました。
母親Bさん「宿題をしないため叩いたと向こうからは説明を受けています。物で叩くのは親もしないでしょって思いましたね。ちょっとおかしい人なんじゃないかって」
去年7月、英語教室側は学童保育を利用しているすべての保護者対し、SNSを通じ謝罪文を送りました。代表を名乗る男性の名前で書かれた文書には、体罰があったと認めたうえで、その理由を「指導目的だった」と釈明し、保護者説明会の案内も記されていました。
記者リポート「施設では保護者説明会が開かれましたが、出席した保護者によりますと、その内容は納得できるものではなかったと話します。」
体罰があったとされる学童保育で開かれた保護者説明会でのやりとりです。
録音「今回に関しては僕自身の責任であり、認識不足が一番の問題でもあるかなと思いますので、大変申し訳ありませんでした」
保護者説明会で録音された内容によりますと、英語教室側は叩いたことのみを認め謝罪しましたが、逆さ吊りなど、その他の行為については言及していませんでした。さらに「ケガがなければ体罰ではないと認識していた」とも説明したということです。こうした対応について保護者からは…
父親Aさん「保護者会でまともなやりとりができないっていうのがみんなわかった。」母親Bさん「スタッフが足りていないのでどうすればいいのかという話だったり、誰も有資格者がいなかったっていうことで、これどうするんだという」

私たちは、現在の代表とされる母親に直接取材を申し込みましたが、問いかけに対し無言で立ち去りました。
父親Aさん「罪を犯した自覚を持ってほしい」母親Bさん「謝罪は表面上だけで、改心というんですか、そういうのは全くせずに次も事件を起こすんだろうなっていうふうに見ています。」

さらに保護者らは、学童保育の団体や行政などにも相談しましたが、納得できる対応は得られなかったといいます。Bさんはすでに警察に被害届を提出していて、関係者によりますと、暴行罪での立件を視野に捜査が進められているということです。さらに、契約不履行として学童保育の代金の返金を求める訴訟の準備も進めています。
子どもたちの安全をどう守るのか。次回は暴行が起きた背景と、行政面の課題について考えます。

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