別れを告げられても「好きすぎて離れたくない」、事件前に男が友人に話す…博多刺殺

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福岡市博多区のJR博多駅近くの路上で16日、女性が刺殺された事件で、殺人容疑で逮捕された元交際相手の飲食店従業員、寺内進容疑者(31)(福岡市博多区)の友人の男性(31)が、取材に応じた。
別れを告げられた後も「離れたくない」などと女性に執着する寺内容疑者に、友人はあきらめるよう助言していたという。事件は23日で、発生から1週間となった。
寺内容疑者は昨年11月、ストーカー規制法に基づき、殺害された福岡県那珂川市の会社員、川野美樹さん(当時38歳)に対するつきまといなどの禁止命令を受けていた。
友人によると、この頃、寺内容疑者から電話があった。川野さんに電話で別れを切り出されたことや、警察に相談されたことに納得できない様子だったが、「好きすぎて離れたくない」と打ち明けたという。
県外で暮らす友人は「九州を離れて、一緒の会社で働こう」と誘った。寺内容疑者も「わかった。そっちに行くわ」と返していたというが、その後、連絡はなく、事件は起きた。友人は「残念というより悔しい」と沈んだ様子で話した。
複数の同級生の話では、寺内容疑者は一人っ子で、大阪市で育った。けんかっ早く、中学時代は学校の非行グループと行動をともにしたが、万引きや恐喝などをしようとする仲間を「やめとけ」と止めるようなこともあったという。高校は1年の時に中退した。
高校中退後は、大阪の繁華街にある飲食店などで働いた。明るく、場を盛り上げることが得意だったため周囲とすぐに打ち解けた一方、他人の意見が聞き入れられずに折り合いが悪くなることが多く、1年もたたずに職を転々としたという。
別の同級生の男性(31)は高校生の頃に寺内容疑者の自宅に遊びに行った際、「俺の小さい頃のビデオ見いひん?」と誘われ、一緒に見たことがある。赤ちゃんの頃の寺内容疑者が母親と戯れる様子が収められており、男性は5分ほどで寝入ってしまったが、2時間ほどたって目を覚ますと、寺内容疑者はまだ見ていたという。男性は「愛情を注がれている頃の映像を見て安心しているように見えた」と振り返る。
20歳前後の時に父親が病死。母親とはその後、絶縁状態になり、20歳代半ばで九州に移り住んだ。福岡で暮らすようになったのは1年ほど前から。九州最大の歓楽街・中洲の飲食店で働き、昨春頃から同じグループの系列店で働いていた川野さんと交際していた。
捜査関係者によると、寺内容疑者は容疑を認める一方で、自身を正当化するようなことも言っているという。男性は「どんな理由があったにしても、人を殺したのであれば、絶対に許されない」と話した。

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