「コロナ患者の行き先なくなるのでは」5類引き下げに医療現場から懸念の声 新型コロナ中等症病棟 高齢者増え「受け入れ難しい状態」

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新型コロナの感染症法上の位置づけを「5類」に引き下げることが検討されていますが、医療現場からは引き下げによって逆に「コロナ患者の行き先がなくなってしまうのではないか」と懸念の声が上がっています。
「今、救急車到着しました。これから病棟から迎えが来ます」
病院に運ばれて来たのは、80代の新型コロナ患者の男性。腎臓に持病もあるため、10か所以上の病院に受け入れを断られたといいます。肺炎の疑いがあり、酸素投与が必要な状態です。
東京・世田谷区の三軒茶屋病院。新型コロナの中等症患者を受け入れています。
コロナ病床は11床ですが、先月、満床を超えて以来、常に15人以上が入院する状態が続いています。
東京都では、コロナ病床に入院する患者のうち、高齢者の割合が第6波・第7波のピークを上回り84%に。
さらに、以前よりも患者の年齢が高く、介護に人手が必要で患者の受け入れが難しいといいます。
三軒茶屋病院大坪由里子院長「80代後半、90代のコロナ入院患者がすごく増えてるというのが、今回の波で私は印象を持っている。看護師さんたちもやっぱり介護度が上がってくると、何をするにも一緒にやってあげたりとか、見守りや移動1つとっても、手を引いたり転ばないように注意したり。寝たきりの方の全介助の方を感染エリアの中で見るというのは本当に大変」
その上、ワクチンを5回打っていても肺炎症状が重くなる患者がいるというのです。
三軒茶屋病院大坪由里子院長「(高齢で)免疫力が低い状態で過ごされてる方については、まだまだ怖い病気なんだなと」
政府が検討している新型コロナの「5類」への引き下げ。現在の「2類」では指定された医療機関でしかコロナの患者を診ることができませんが、「5類」になると、すべての病院で診ることができるようになります。
しかし、医療現場からは「感染対策や隔離は引き続き必要なため、受け入れ病院は結局限られるのではないか」と懸念が上がっています。
三軒茶屋病院大坪由里子院長「入院を受け入れる病院としては普通の患者さんと、特に寝たきりの患者さんがいるような病棟にコロナ患者を合わせて入院させられるかというと、非常にここが難しいところだと思う。逆に言うと『受け入れられません』となって行き先がなくなってしまうんじゃないか、すごく心配。(高齢者などの)守られなければいけない弱い方々をどうやって守っていくか、絶対に大事なことだなと」

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