タクシー運転手も避けるトンネル、歩くたび揺れる歩道橋…東京にある“危険スポット”

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道路や水道など、生活を支えるインフラが全国各地で崩壊の一途を辿っている。しかし維持管理できない自治体も出てきているという。一体現場では何が起きているのか。全国で顕になりつつある“荒廃する日本”の実態に迫る。
◆点検結果は最低ランク!?歩くたびに揺れる歩道橋東京都江東区/亀戸駅前歩道橋
誰かが階段を上るたびに振動が足元に伝わり、大型トラックが通れば歩道橋全体が揺れる。東京の亀戸駅前歩道橋は、国道14号線上を四角く囲むように架かっている。交差点には横断歩道がなく、人々は歩道橋を利用するほかない。
国土交通省が発表した点検結果では、4段階中最も危険とされる「検廖8什澡杁淙篏い麓損楮僂澆蕕靴い、早急な架け替えが必要な状態だという。現地の通行者たちに話を聞くと、既に諦めの境地にさえ見える。
「30年以上もこの辺に住んでるけど、昔から駅に向かうにはこの橋しかない。危険なら直してほしいのは当然だけど、工事をしたらしたで1年は遠回りさせられるのも厄介」(自営業・61歳・男性)
住民たちも慣れきっている様子。’23年に工事を予定しているが、それまで事故が起こらないことを祈るばかりだ。
◆「首都高が怖い」タクシー運転手も避ける脆弱性東京都大田区/羽田トンネル
首都高速道路は建設から60年以上が経過している場所もあり、構造物の更新の事業費として約3000億円を投入する計画を進めている。
なかでも’64年に開通の羽田トンネルは経年劣化の進行が凄まじく、1分間に約10漏水する場所が14か所あるとの報告も。
この状況に長らくタクシー運転手を務めてきた男性の顔も浮かない。
「壁に錆の跡が出るようになってからは、怖いから極力通らないようにしている。横羽線って大動脈だから、交通規制がかかる大規模な整備は難しいと思うけど、早く安心して走れるようにしてほしい」
首都高速道路が公開した『中間とりまとめ報告書』によると、「構造目地を弱点とした海水浸入により、道路階及びダクト階において鉄筋消失等の重大な損傷を確認。(中略)トンネル躯体の抜本的な対策が必要」とある。
’24年には大規模工事も検討されている羽田トンネル。運転者たちの不安はもう少し続きそうだ。
◆行政の足並みが揃わず観光資源に氾濫の恐れ千葉県浦安市/堀江排水機場
東京に隣接する千葉県浦安市。大雨の際に市内の川からの浸水被害を軽減させる堀江排水機場の操作室が、老朽化によって地震に耐えられない恐れがあることが国の抜き打ちチェックで発覚。
災害対策に力をいれている浦安市議会議員の折本龍則氏は語る。
「市民やディズニーリゾートへの観光客の安全を守るためにも一刻も早い対応を施設管理者である県に求めています。しかし県の財政も決して豊かではありませんので時間がかかります。市も働きかけているのですが……」
盤石なインフラの整備が進まない背景には、単純なお金の問題だけではなく、縦割り行政の弊害が絡む事例も存在するようだ。
【浦安市議会議員・折本龍則氏】’84年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。在学中は雄弁会幹事長。’19年に浦安市議に初当選。著書多数。言論誌『維新と興亜』主宰
取材・文/SPA!インフラの崩壊取材班

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