「温かい風呂に入れない」“風呂困難者”の悲鳴…相次ぐ銭湯の廃業【北海道発】

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寒い日に体の芯まで温めてくれるのがお風呂。しかし、北海道内には入浴に苦労する「風呂困難者」と言える人たちがいる。函館市の湯川団地。現在630世帯が入居する市営住宅だが、部屋にお風呂はついていない。
湯川団地に住む80代女性:お風呂屋さんなくなったら本当、風呂難民だよ
住民の多くが通うのは、地域でただ一つの銭湯「菊乃湯」だ。
湯川団地に住む女性:週に何回も来る。だけど「ここ、なくなる」と言うから困ります
開業から50年。「閉店検討中」のお知らせが貼られた。
菊乃湯 松倉 重直さん:油代が(1月から)5月までに120万円の赤字だった
冬を前に燃料費が前年の2倍にまで上がってしまった。廃業時期は決めていないが、これ以上営業を続けると、自身の生活が成り立たなくなると言う
菊乃湯 松倉 重直さん:ずっと続けたいと思うけど、なかなか難しい
函館市内には約40年前、銭湯が83軒あったが、今は18軒に減っている。一方で、市営住宅のうちお風呂がないのは1800戸あまりで、全体の3割にも上る。
湯川団地に住む80代女性:行くとすれば湯川(の銭湯)に行くことになると思うけど、バスで行って帰ってくると1回(往復)420円。それに風呂代。少ない年金では無理だから(風呂は週に)1回にしようかなとか
バスの本数も少なく、風呂上がりには体も冷え切ってしまいそうだ。
一方、同じ問題を抱えていた室蘭市。すでに対策を講じているという。
市内の市営住宅・水元団地には、お風呂はついていない。
水元団地から徒歩2分の距離にあった銭湯は3年前に廃業し、最も近い入浴施設には歩いて1時間ほどかかる。
しかし団地の住民は入浴に困っていなかった。毎週4回、午後6時になると、団地の前にマイクロバスが停車するのだ。
水元団地に住む布川 孝治さん:「楽々温泉」まで行く。(バスは)市役所が運行しています

室蘭市は市営住宅に住む人を対象に、4年前から市内2路線で銭湯への無料送迎バスを運行している
水元団地に住む布川 孝治さん:気持ちいい。気持ちがリフレッシュできる爽快感があります
室蘭市はさらに白鳥台団地の敷地内に10年前、公衆浴場をつくった
室蘭市 市営住宅課 熊谷 好晃 係長:公衆衛生の確保というのは市の務め。責任においてやるべき事業
銭湯の廃業が相次ぐ中、「風呂困難者」を出さないために自治体の対応も問われている。
(北海道文化放送)

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