福岡空港の保安検査場、2~3時間待ちの大混雑も どうして?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

福岡空港(福岡市)で、保安検査場の混雑が激化している。新型コロナウイルス対策の行動制限が緩和され旅行客が急増する一方、コロナ禍で減った保安検査業務のスタッフ確保が進まないためだ。九州の空の玄関口は年末年始の出国、帰省ラッシュが今後ピークを迎えるが、混雑緩和の対策は限られており、航空業界は頭を悩ませている。
「この路線がなぜ?」 混雑率全国2位、福岡の私鉄 27日昼過ぎ、福岡空港国際線ターミナルの保安検査場前は、出発を予定する利用客の列が100メートルほどに延びていた。同僚と韓国・釜山(プサン)に向かう宮崎市の女性会社員(60)は「人が滞留してコロナに感染しそう。水際対策は緩和されたが、空港の受け入れ態勢が追いついていないのでは」と不安そうな様子。知人の見送りで訪れた福岡市の男子大学生(22)は「コロナ前にタイへ行った時はここまで並んでいなかった。『乗り遅れるのでは』と焦る人もいるだろう」と話した。

空港を運営する「福岡国際空港(FIAC)」によると、混雑が始まったのは10月ごろ。訪日外国人の水際対策が緩和され、観光需要回復を目的とした「全国旅行支援」がスタートした時期に当たる。発着する便数も増え、国際線は9月の235便から12月は1219便と5倍超に。国内線の利用客も9月の116万人が、11月は151万人になった。年末年始(12月23日~1月4日)の国内線利用客は、コロナ前の2019年度と同程度を見込む。スタッフ不足にスマートレーン未設置 一方で、コロナ禍による利用客減とともに減った保安検査スタッフの確保は追いついていない。保安検査業務は、各航空会社の委託を受けた警備会社がスタッフを派遣するが、業務内容によっては国家資格が必要な上、長時間勤務やクレーム対応の多い仕事を敬遠する人も少なくないという。福岡空港の国内線では、16ある検査レーンのうち、最大でも11しか使えない状況が続く。国際線も6レーンのうち3レーンの使用にとどまる。 羽田空港(東京都)や関西国際空港(大阪府)などの保安検査場には、複数の利用者が荷物を取り出して検査を待てる「スマートレーン」を設置し混雑緩和を図っているが、福岡空港には整備されていない。こうした事情も重なって、混雑が激しい時は2~3時間待ちとなる事態も生じた。 混雑は出発便が重なる時間帯で激しくなる。搭乗時刻が迫る人を優先的に案内する一方で、列が進まないことに早くから並んだ客がいらだつなど混乱も生じている。FIACの担当者は「年末年始は事務職員も総動員で当たる。保安検査場前の列の整理や、すいている列への誘導の他、事前にコートを脱いでもらったり、ペットボトルの持ち込みを減らしてもらうよう声かけをしたりするなど、できることはなんでもする」と強調した。「時間に余裕をもって来て」 国土交通省によると、保安検査場の混雑は国際線の便数が増えた新千歳空港(北海道)、羽田空港、関西国際空港、那覇空港(沖縄県)で起きているが、中でも福岡空港は早朝や夕方などのピーク時の混雑が顕著だという。担当者は「コロナの影響で久しぶりに空港を利用する人もいて、慣れない保安検査で時間を取られることもあると思う。現状では即効性のある対応が打てないので、年末年始に空港を利用する人は時間に余裕をもって来てほしい」と呼びかけている。【城島勇人、久野洋】
27日昼過ぎ、福岡空港国際線ターミナルの保安検査場前は、出発を予定する利用客の列が100メートルほどに延びていた。同僚と韓国・釜山(プサン)に向かう宮崎市の女性会社員(60)は「人が滞留してコロナに感染しそう。水際対策は緩和されたが、空港の受け入れ態勢が追いついていないのでは」と不安そうな様子。知人の見送りで訪れた福岡市の男子大学生(22)は「コロナ前にタイへ行った時はここまで並んでいなかった。『乗り遅れるのでは』と焦る人もいるだろう」と話した。
空港を運営する「福岡国際空港(FIAC)」によると、混雑が始まったのは10月ごろ。訪日外国人の水際対策が緩和され、観光需要回復を目的とした「全国旅行支援」がスタートした時期に当たる。発着する便数も増え、国際線は9月の235便から12月は1219便と5倍超に。国内線の利用客も9月の116万人が、11月は151万人になった。年末年始(12月23日~1月4日)の国内線利用客は、コロナ前の2019年度と同程度を見込む。
スタッフ不足にスマートレーン未設置
一方で、コロナ禍による利用客減とともに減った保安検査スタッフの確保は追いついていない。保安検査業務は、各航空会社の委託を受けた警備会社がスタッフを派遣するが、業務内容によっては国家資格が必要な上、長時間勤務やクレーム対応の多い仕事を敬遠する人も少なくないという。福岡空港の国内線では、16ある検査レーンのうち、最大でも11しか使えない状況が続く。国際線も6レーンのうち3レーンの使用にとどまる。
羽田空港(東京都)や関西国際空港(大阪府)などの保安検査場には、複数の利用者が荷物を取り出して検査を待てる「スマートレーン」を設置し混雑緩和を図っているが、福岡空港には整備されていない。こうした事情も重なって、混雑が激しい時は2~3時間待ちとなる事態も生じた。
混雑は出発便が重なる時間帯で激しくなる。搭乗時刻が迫る人を優先的に案内する一方で、列が進まないことに早くから並んだ客がいらだつなど混乱も生じている。FIACの担当者は「年末年始は事務職員も総動員で当たる。保安検査場前の列の整理や、すいている列への誘導の他、事前にコートを脱いでもらったり、ペットボトルの持ち込みを減らしてもらうよう声かけをしたりするなど、できることはなんでもする」と強調した。
「時間に余裕をもって来て」
国土交通省によると、保安検査場の混雑は国際線の便数が増えた新千歳空港(北海道)、羽田空港、関西国際空港、那覇空港(沖縄県)で起きているが、中でも福岡空港は早朝や夕方などのピーク時の混雑が顕著だという。担当者は「コロナの影響で久しぶりに空港を利用する人もいて、慣れない保安検査で時間を取られることもあると思う。現状では即効性のある対応が打てないので、年末年始に空港を利用する人は時間に余裕をもって来てほしい」と呼びかけている。【城島勇人、久野洋】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。