ヘリで行くミシュラン二つ星レストラン ぐるなび77万円仰天ツアーの舞台裏

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

京都から和歌山までヘリで移動し、ミシュランの二つ星レストランで特別ランチを堪能…。
国内最大級のグルメ情報サイト「ぐるなび」が今年10月、1組(2人)限定で料金77万円という仰天のツアーを開催し、注目を集めた。同社は新事業として富裕層対象の有料会員制サービスを始めており、ツアーはその第1弾。今後はヘリを活用した遊覧飛行なども計画しており、地元自治体とも連携して一層の事業拡大を目指している。
同社によると、ツアーには事前に2組の申し込みがあり、1組(男女2人)が参加した。
参加者は、まずは京都市下京区のJR京都駅から伏見区のヘリポートまで、用意された高級外車で移動。ヘリに乗り換えて約25分間フライトし、昨年10月発売の「ミシュランガイド京都・大阪+和歌山」で二つ星を獲得した和歌山県岩出市のレストラン「ヴィラ・アイーダ」横のヘリポートに到着した。
店では「和歌山風味 初秋の頃」と題した特別ランチを堪能。メニューはタマネギやナス、サンマなど地元産の食材をふんだんに使った豪華な内容で、「素材の良さを徹底的に生かした品々で構成しました」とぐるなび広報担当者。もちろん食事にあう高級ワインも提供された。
参加者は約3時間かけてランチを楽しみ、再びヘリで京都のヘリポートまで戻った。
ツアーを終えた参加者は「ヘリコプターを使った移動を含むランチプランは非常に面白い取り組み」と満足そうだったという。
自力でヘリポート整備
ツアーを企画したのは、ぐるなびのプロモーション事業部食と観光企画部長、西原史郎さん(48)。「初めてのことだらけだったので、手探りの連続だった」と振り返る。
ツアーに使用したレストランには約3カ月前から打診していた。店側から「ヘリの離着陸は大丈夫か」と心配されたが、店敷地に隣接する土地所有者と交渉。ヘリポートとして使用する許可を得た。
ただ、その後も難題は山積していた。ヘリの離着陸には店周辺の約30世帯すべての理解や協力が必要だった。西原さんは一軒一軒回り、「着陸4分前と離陸4分後までは、ヘリの大きな音がするかもしれません」などと丁寧に説明し、頭を下げた。
ヘリ発着に必要な関係機関への許可申請手続きをはじめ、ヘリポートの整備も自力で進めた。
ヘリポート整備は「もちろん初めて」と西原さん。縦20メートル、横40メートルほどの予定地は当初草の茂る荒れ地だったが、部下らと手作業で草刈りし、砂利を敷き詰めるなどして4日がかりで仕上げた。
苦労のかいもあり、ツアー参加者の満足度も上々だった。今後も同じようなランチツアーを計画。内容も、さらに充実させる予定だ。
西原さんは「約3時間のランチタイム中、ただヘリを駐機させておくだけではなく、地元住民らを対象にした遊覧飛行などができないか検討したい」と話す。
地元自治体とも連携
ぐるなびは和歌山県内で地元自治体との連携も進めている。
昨年8月には、食文化振興や観光、移住・定住促進などに関する協定を和歌山市と締結。地域産品のブランド化推進などを手掛ける「地域活性化起業人」として市に社員を2人派遣している。その一人が西原さんだ。
派遣を受けた市の担当者も、西原さんの働きぶりについて「1カ月の約半分は和歌山で、食に関するさまざまな事業に取り組んでいただいている」と高く評価する。
和歌山の食の魅力だけでなく、和歌山そのものの魅力も積極的に発信したいと考える西原さん。「ぐるなびとしても、新たな活動のフィールドを和歌山をきっかけに広げたい」と意欲をみせる。(香西広豊)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。