マスク着用を“任意”にして3カ月…GMO社内に変化は起きた?担当者に現在の様子を聞いた

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コロナ禍ではマスクを着けるべきか、外していいのかの判断に悩ましさを感じることがある。2022年12月時点では、厚生労働省は「屋外での着用は原則不要」「屋内では距離が確保でき、会話をほとんど行わない場合をのぞいて着用」との方針で、場面に応じた適切な着脱を呼び掛けている。しかし、実際は周囲の反応が気になり、外すことが難しかったりもする。特に職場では「とりあえず着けておこう」となってはいないだろうか。

感染対策を前提として着用を“任意”にこの状況に企業として動いたのが、従業員数が7000人を超える「GMOインターネットグループ」。もともとは着用を必須としていたが、2022年9月20日から条件付きで任意とした。社内アンケートの結果を反映したもので、執務室内での着用ルールをどう思うか、パーティションがある場合・ない場合で聞いたところ、ある場合は不要派が約6割にのぼったという。(調査期間:2022年9月13日~16日、回答数:2279件)そのため、感染対策を続けることを前提として、デスクの間などにパーティションを設けた執務室では着用を任意とした。一方で、社外の人間が出入りする共有スぺ-スでは必須としている。それから約3カ月。今はどうなっているのだろう。周囲を気遣って着脱している個人の価値観はそれぞれだが、会社としてマスク着脱について方針転換を示したことで実際にはどうなっているのか。職場の雰囲気は変わったのだろうか。GMOインターネットグループの担当者に、方針転換の経緯や影響を聞いた。――マスクはもともとは着用必須だったの?当社は社員が働きやすい環境を整備することを基本方針としていて、2020年1月に「新型コロナが出てきた」と言われ始めたくらいで、いち早く在宅勤務の導入に取り組んでいます。そのタイミングでマスクの着用は必須としています。安心や安全は考えつつ、柔軟に対応してきました。――9月に着用を任意としたのはなぜ?グループパートナー(従業員)のワクチン接種率が約90%であること。国内における段階的な感染対策が進んでいること。社内アンケートの結果。こうした理由から、入館時の検温、アルコール消毒、パーティションなどの従来の感染症対策はそのままに、着用基準は任意としました。ただ、お客様をお迎えするフロアでは着用しているほか、先日4回目のワクチンの職域接種も行いました。――マスクを外したいときはどうしているの?着用が任意なのは、パーティションのある執務室のみになります。何もないところで外してもいいわけではありません。実際の様子ですが、従業員は周囲を気遣いながら着脱している印象です。周囲に外すことを伝えたりはしませんが、パーティションがないような場所では外していません。マスク姿では感情が分かりにくい、話が聞き取りにくい――着用を任意としたことに、社内の反応は?顔や表情が見えるようになったことで「コミュニケーションが良くなった」「呼吸がしやすくなることで集中力が増す」「息苦しかったのでありがたい」といった声が聞かれました。職場の雰囲気が明るくなったという反応もありました。――逆にいうと、着用で良くない影響もあったの?聞いた話だと、相手の表情が分かりにくいのがつらいそうです。マスクを着用すると、目の付近しか見えないので感情が分かりにくい、伝えにくい。声量が小さくなりがちで、口の動きも分からないので話が聞き取りにくい。それが続くとコミュニケーションが理解しにくく、疲れを感じるそうです。――方針転換から約3カ月。職場に変化は起きた?統計は取っていませんが、パーティションのある執務室内においては、マスクを外している人が当初より増えてきた感覚があります。以前はもちろん、皆が着用していました。任意でも相手を思いやる気持ちが必要――マスクを着用してほしい人、着けたい人が働く環境を選ぶことはできる?当社はフリーアドレスを導入しているので、好きな場所やデスクで働けます。ただ、従業員はパーティションがないときはマスクを着けるので、(着用を求める)そうした声は聞かれません。――着けたい人、外したい人で対立はしない?入館時の検温、アルコール消毒、パーティションなどの従来の感染症対策は引き続き実施することを前提としている中で、あくまでも「任意」であり、個人の意思を尊重しておりますため、意見が対立するようなシーンは見られません。パートナーごとに置かれている事情も異なりますので、相手を思いやる気持ちでマスクの着脱を判断することがなによりも重要かと思います。――ルールの見直しで業績などに影響はあった?マスクの着脱だけで業績に直接影響があるのかは分かりません。ただ、コミュニケーションがとりやすくなったことで、従業員間の交流は活性化するはずです。そこが積み重なり、結果として業績にもプラスにつながることは期待したいですね。――着用基準をまた見直す可能性はある?ゼロではありません。今までも柔軟に対応してきましたので、感染者数だけではなく、重症者数などの状況も見ながら、必要であれば見直すことになると思われます。着用を任意にしたことで、コミュニケーション面では良い傾向が出ているようだ。マスクの着脱をめぐっては、着けたい人、外したい人が共存するには、基本的な感染対策は続けつつ、互いを思いやる気持ちがポイントになりそうだ。
コロナ禍ではマスクを着けるべきか、外していいのかの判断に悩ましさを感じることがある。
2022年12月時点では、厚生労働省は「屋外での着用は原則不要」「屋内では距離が確保でき、会話をほとんど行わない場合をのぞいて着用」との方針で、場面に応じた適切な着脱を呼び掛けている。
しかし、実際は周囲の反応が気になり、外すことが難しかったりもする。特に職場では「とりあえず着けておこう」となってはいないだろうか。
この状況に企業として動いたのが、従業員数が7000人を超える「GMOインターネットグループ」。もともとは着用を必須としていたが、2022年9月20日から条件付きで任意とした。
社内アンケートの結果を反映したもので、執務室内での着用ルールをどう思うか、パーティションがある場合・ない場合で聞いたところ、ある場合は不要派が約6割にのぼったという。(調査期間:2022年9月13日~16日、回答数:2279件)
そのため、感染対策を続けることを前提として、デスクの間などにパーティションを設けた執務室では着用を任意とした。一方で、社外の人間が出入りする共有スぺ-スでは必須としている。
それから約3カ月。今はどうなっているのだろう。
個人の価値観はそれぞれだが、会社としてマスク着脱について方針転換を示したことで実際にはどうなっているのか。職場の雰囲気は変わったのだろうか。GMOインターネットグループの担当者に、方針転換の経緯や影響を聞いた。
――マスクはもともとは着用必須だったの?
当社は社員が働きやすい環境を整備することを基本方針としていて、2020年1月に「新型コロナが出てきた」と言われ始めたくらいで、いち早く在宅勤務の導入に取り組んでいます。そのタイミングでマスクの着用は必須としています。安心や安全は考えつつ、柔軟に対応してきました。
――9月に着用を任意としたのはなぜ?
グループパートナー(従業員)のワクチン接種率が約90%であること。国内における段階的な感染対策が進んでいること。社内アンケートの結果。こうした理由から、入館時の検温、アルコール消毒、パーティションなどの従来の感染症対策はそのままに、着用基準は任意としました。ただ、お客様をお迎えするフロアでは着用しているほか、先日4回目のワクチンの職域接種も行いました。
――マスクを外したいときはどうしているの?
着用が任意なのは、パーティションのある執務室のみになります。何もないところで外してもいいわけではありません。実際の様子ですが、従業員は周囲を気遣いながら着脱している印象です。周囲に外すことを伝えたりはしませんが、パーティションがないような場所では外していません。
――着用を任意としたことに、社内の反応は?
顔や表情が見えるようになったことで「コミュニケーションが良くなった」「呼吸がしやすくなることで集中力が増す」「息苦しかったのでありがたい」といった声が聞かれました。職場の雰囲気が明るくなったという反応もありました。
――逆にいうと、着用で良くない影響もあったの?
聞いた話だと、相手の表情が分かりにくいのがつらいそうです。マスクを着用すると、目の付近しか見えないので感情が分かりにくい、伝えにくい。声量が小さくなりがちで、口の動きも分からないので話が聞き取りにくい。それが続くとコミュニケーションが理解しにくく、疲れを感じるそうです。
――方針転換から約3カ月。職場に変化は起きた?
統計は取っていませんが、パーティションのある執務室内においては、マスクを外している人が当初より増えてきた感覚があります。以前はもちろん、皆が着用していました。
――マスクを着用してほしい人、着けたい人が働く環境を選ぶことはできる?
当社はフリーアドレスを導入しているので、好きな場所やデスクで働けます。ただ、従業員はパーティションがないときはマスクを着けるので、(着用を求める)そうした声は聞かれません。
――着けたい人、外したい人で対立はしない?
入館時の検温、アルコール消毒、パーティションなどの従来の感染症対策は引き続き実施することを前提としている中で、あくまでも「任意」であり、個人の意思を尊重しておりますため、意見が対立するようなシーンは見られません。パートナーごとに置かれている事情も異なりますので、相手を思いやる気持ちでマスクの着脱を判断することがなによりも重要かと思います。
――ルールの見直しで業績などに影響はあった?
マスクの着脱だけで業績に直接影響があるのかは分かりません。ただ、コミュニケーションがとりやすくなったことで、従業員間の交流は活性化するはずです。そこが積み重なり、結果として業績にもプラスにつながることは期待したいですね。
――着用基準をまた見直す可能性はある?
ゼロではありません。今までも柔軟に対応してきましたので、感染者数だけではなく、重症者数などの状況も見ながら、必要であれば見直すことになると思われます。
着用を任意にしたことで、コミュニケーション面では良い傾向が出ているようだ。マスクの着脱をめぐっては、着けたい人、外したい人が共存するには、基本的な感染対策は続けつつ、互いを思いやる気持ちがポイントになりそうだ。

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