今の大学3年生、「対人スキル」低め…コロナ禍で授業やサークル制限の影響

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大学入学当初からコロナ禍でキャンパスライフを制限されてきた現3年生は、対人関係を築く力が伸び悩んでいる――。
河合塾グループなどが実施している、社会人に必要とされる基礎能力の成長度を測る「PROGテスト」で、そんな結果が出た。
同テストは今年度、全国の大学・短大約300校で学生約22万人が受けた。各学年の約2万人について1年次と3年次のデータを比較したところ、現3年生はコロナ禍前の世代と比べると、人間関係を構築して協働する「対人基礎力」の成長率に低下傾向が出た。コロナ禍によって、授業がオンライン中心となり、サークル活動が制限されるなどした影響が出たとみられる。
一方、感情やストレス、意欲をコントロールする「対自己基礎力」は2年ぶりに上昇に転じた。課題を発見・分析したり、計画を立案したりする「対課題基礎力」は例年並みに伸びていた。現4年生と比較すると、現3年生は、全体的に能力の停滞感は小さくなった。2021年度以降、授業や課外活動などの対面活動が緩やかに回復してきた影響とみられる。
現3年生からは「コロナ禍でキャンパスライフを奪われ、就職活動でアピールできる成果がない」と悩む声があがるが、テストを共同開発した「リアセック」(東京)の松村直樹・キャリア総合研究所主幹研究員(59)は「困難な状況下でもオンライン授業や学業に主体的に取り組んで能力を伸ばしてきた姿が表れているといえる。採用側の企業も、学生たちが積み重ねてきた努力や工夫を評価してほしい」と話していた。

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