岡崎署勾留死「非を認め謝って」 遺族、県警に映像の開示要求

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愛知県警岡崎署(同県岡崎市)の留置場で無職男性(43)が勾留中に死亡した問題で、県警は16日、署員らの対応が法に触れる疑いがあるとして、特別公務員暴行陵虐容疑で同署を家宅捜索し、本格捜査に乗り出した。一方、男性の父親(71)が17日に県警幹部と面会し、男性が収容されていた保護室内の様子を記録した監視カメラ映像の開示を求めた。面会後、取材に応じた父親は「警察は非を認め、息子に謝ってほしい」と怒りをあらわにした。
愛知県警、暴行陵虐容疑で岡崎署を捜索 県警は署内の監視カメラの撮影データの記録媒体など約40点を押収した。押収物には、県警本部の留置管理課から差し押さえた関係書類なども含まれる。 署員による暴行を含めた一連の行為が「刑罰法令に触れる可能性が認められた」として、刑事部長をトップとする約40人の捜査態勢を確立。押収資料を精査するとともに、関係した署員らから事情を聴くなどして、全容解明を目指す。 父親と幹部らの面会は17日午後、岡崎署とは別の警察署で非公開で行われた。父親によると、県警側からは今枝克之・県警本部留置管理課長ら4人が出席。冒頭、「大切な息子さんが亡くなったことに心からお悔やみ申し上げます」などと弔意を伝えられたが、謝罪の言葉はなかった。幹部は調査・捜査の進捗(しんちょく)状況について説明し、「時間はかかるが、誠心誠意調べていく」と述べた。父親は保護室内を撮影した監視カメラ映像を見せるよう求めたが、「調査中だ」と答えるにとどまったという。 面会後の記者会見で、父親は「『息子さんに申し訳なかった』と謝罪して仏壇に手を合わせるというなら納得できるが、形だけなら息子は怒ると思う」と県警への不信感を口にした。 父親によると、逮捕の3日後、同署から男性が暴れて食事も取っていないと連絡を受けた。この際、父親は「息子には精神疾患がある。鎮静剤の注射を打ち、病院で治療を受けさせてほしい」と求めたが、署員は応じなかったという。 この問題では、幹部を含む複数の署員が男性に暴行を加えている様子が監視カメラに映っていたことが明らかになっている。「戒具」と呼ばれるベルト手錠と捕縄による身体拘束は延べ140時間以上に及び、約5日間食事をしていなかった。男性が自ら食べなかったとされるが、同署は栄養補給など必要な措置を取っていなかった。また、男性には糖尿病の持病があったが、医師の診察を受けさせることを怠っていた。 男性は11月25日に公務執行妨害容疑で逮捕され、同署で勾留されていた。暴れるなどしたため、戒具で手足を縛られ保護室に収容されていたが、今月4日、息をしていない状態で見つかった。男性は病院搬送時、脱水症状になっていた。司法解剖の結果、死因は腎不全だった。【熊谷佐和子、森田采花】
県警は署内の監視カメラの撮影データの記録媒体など約40点を押収した。押収物には、県警本部の留置管理課から差し押さえた関係書類なども含まれる。
署員による暴行を含めた一連の行為が「刑罰法令に触れる可能性が認められた」として、刑事部長をトップとする約40人の捜査態勢を確立。押収資料を精査するとともに、関係した署員らから事情を聴くなどして、全容解明を目指す。
父親と幹部らの面会は17日午後、岡崎署とは別の警察署で非公開で行われた。父親によると、県警側からは今枝克之・県警本部留置管理課長ら4人が出席。冒頭、「大切な息子さんが亡くなったことに心からお悔やみ申し上げます」などと弔意を伝えられたが、謝罪の言葉はなかった。幹部は調査・捜査の進捗(しんちょく)状況について説明し、「時間はかかるが、誠心誠意調べていく」と述べた。父親は保護室内を撮影した監視カメラ映像を見せるよう求めたが、「調査中だ」と答えるにとどまったという。
面会後の記者会見で、父親は「『息子さんに申し訳なかった』と謝罪して仏壇に手を合わせるというなら納得できるが、形だけなら息子は怒ると思う」と県警への不信感を口にした。
父親によると、逮捕の3日後、同署から男性が暴れて食事も取っていないと連絡を受けた。この際、父親は「息子には精神疾患がある。鎮静剤の注射を打ち、病院で治療を受けさせてほしい」と求めたが、署員は応じなかったという。
この問題では、幹部を含む複数の署員が男性に暴行を加えている様子が監視カメラに映っていたことが明らかになっている。「戒具」と呼ばれるベルト手錠と捕縄による身体拘束は延べ140時間以上に及び、約5日間食事をしていなかった。男性が自ら食べなかったとされるが、同署は栄養補給など必要な措置を取っていなかった。また、男性には糖尿病の持病があったが、医師の診察を受けさせることを怠っていた。
男性は11月25日に公務執行妨害容疑で逮捕され、同署で勾留されていた。暴れるなどしたため、戒具で手足を縛られ保護室に収容されていたが、今月4日、息をしていない状態で見つかった。男性は病院搬送時、脱水症状になっていた。司法解剖の結果、死因は腎不全だった。【熊谷佐和子、森田采花】

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