男子小学生の3割、和式トイレ「使えない」 我慢で便秘にも

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男子小学生の3人に1人が和式便器を使えない――。そんな実態が、NPO法人「日本トイレ研究所」(東京都)の排便に関する調査で明らかになった。便意を催しても我慢を続けると、便秘の原因にもなる。子どもたちを快便に導くために何ができるのか。19日は、国連が定める世界トイレデー。【金志尚】
学校トイレ洋式化 自治体ごとに「格差」も男子小学生の1割は便秘 調査は11月9~10日、全国の小学1~6年生と保護者を対象にインターネットで行い、計1000組から回答を得た。

日本トイレ研究所は、排便の回数が週2回以下▽うんちが漏れる(下着に便が付着している)▽うんちを我慢したり、無理におなかにためようとしたりする▽うんちが硬い、排便時に痛みがある、出血する▽トイレが詰まるほどの大きな塊のうんちが出る――のうち、二つ以上に該当する場合を便秘状態、一つでも当てはまれば便秘予備軍と定義。調査の結果、便秘状態の児童は9・9%、便秘予備軍は10・2%に上った。 調査から浮かぶのは、うんちの我慢と便秘の相関関係だ。便秘状態ではない児童は、学校で我慢することが「よくある」は4・7%、「ときどきある」は33・1%で、合わせて4割に満たなかった。一方で、便秘状態の児童は「よくある」が38・4%、「ときどきある」は43・4%で、計81・8%に達した。 トイレを我慢する理由について複数回答で尋ねると、最も多かったのが「友達に知られたくない」で26・5%。次いで、「落ち着かない」22・2%▽「休み時間内に間に合わない(終わらない)」22%▽「友達にからかわれる」15%――と続いた。「トイレが汚い」(12・9%)、「トイレが臭い」(10・5%)、「和式便器が使いづらい」(9・1%)という声もあった。小中学校の4割は「和式」 今回の結果について、「子どもたちに我慢させない工夫を大人は考えないといけません」と指摘するのは、日本トイレ研究所の加藤篤代表理事(50)だ。我慢する理由の上位に挙がった「友達に知られたくない」や「落ち着かない」も含め、「学校のトイレ環境にそもそもの問題がある」と言う。 加藤さんによると、今の小学生の大半は家で洋式便器を使っている。一方、文部科学省による2020年9月の調査では、全国の小中学校のトイレの洋式率は57%にとどまる。16年調査から13・7ポイント上昇したものの、まだ4割が和式だ。 「家と学校のギャップは子どもにとってストレスになります」と加藤さん。日本トイレ研究所の調査では、和式便器を「使用できない」と回答した児童は全体で26・7%に上った。男女別では男子33・4%、女子18・9%で、男子のほうが高い。「抵抗はあるが使用できる」は男子が47・1%、女子が55・3%で、和式を使える子どもでも抵抗感を抱いている場合が多いのだ。ちなみに「抵抗なく使用できる」は男子が19・5%、女子は25・8%だった。 まずは洋式便器を増やすことが不可欠、という点は学校側も認識している。20年の文科省調査では、和式より洋式をより多く設置する方針の学校設置者は全体の約9割。文科省も洋式への切り替え工事に最大7000万円(単年度)を助成するなど、普及を後押ししている。うんちの我慢は食事の我慢と同じ 加藤さんは、「洋式化だけではまだ不十分」とも話す。トイレを明るく清潔に保ち、安心して使いやすい雰囲気にすることが大切だという。「洋式にしたとしても、汚かったら子どもは我慢すると思います。トイレ空間全体が与える心理的な影響も大きいのです」 同時に求めるのが、先生の関わりだ。予算の問題もあり、トイレ環境の改善は一朝一夕には実現できない。予算を理由に何もしないのではなく、大人が関心を持っているという姿勢を見せることが重要、という。 子どもたちに意見を聞く。トイレのデコレーションにみんなで取り組む。加藤さんは「できることはあります。嫌な場所というイメージが薄まれば、排便への抵抗感も減ります」と話す。 トイレ環境を改善した自治体に文科省が確認したところ、「我慢して体調不良を訴える児童生徒が減少した」との声が上がったという。早退する児童が減ったとする報告もある。 加藤さんは、うんちの我慢は食事を我慢することと同じだと考えている。「ご飯を食べられない状況を子どもたちが強いられたら、大変でしょう。そう思えば、トイレ環境を良くする大切さが分かるはずです」 国連は13年、地球規模のトイレの衛生問題に関する課題に対して意識を高め、行動を促すことを目的とし、11月19日を世界トイレデーに制定した。
男子小学生の1割は便秘
調査は11月9~10日、全国の小学1~6年生と保護者を対象にインターネットで行い、計1000組から回答を得た。
日本トイレ研究所は、排便の回数が週2回以下▽うんちが漏れる(下着に便が付着している)▽うんちを我慢したり、無理におなかにためようとしたりする▽うんちが硬い、排便時に痛みがある、出血する▽トイレが詰まるほどの大きな塊のうんちが出る――のうち、二つ以上に該当する場合を便秘状態、一つでも当てはまれば便秘予備軍と定義。調査の結果、便秘状態の児童は9・9%、便秘予備軍は10・2%に上った。
調査から浮かぶのは、うんちの我慢と便秘の相関関係だ。便秘状態ではない児童は、学校で我慢することが「よくある」は4・7%、「ときどきある」は33・1%で、合わせて4割に満たなかった。一方で、便秘状態の児童は「よくある」が38・4%、「ときどきある」は43・4%で、計81・8%に達した。
トイレを我慢する理由について複数回答で尋ねると、最も多かったのが「友達に知られたくない」で26・5%。次いで、「落ち着かない」22・2%▽「休み時間内に間に合わない(終わらない)」22%▽「友達にからかわれる」15%――と続いた。「トイレが汚い」(12・9%)、「トイレが臭い」(10・5%)、「和式便器が使いづらい」(9・1%)という声もあった。
小中学校の4割は「和式」
今回の結果について、「子どもたちに我慢させない工夫を大人は考えないといけません」と指摘するのは、日本トイレ研究所の加藤篤代表理事(50)だ。我慢する理由の上位に挙がった「友達に知られたくない」や「落ち着かない」も含め、「学校のトイレ環境にそもそもの問題がある」と言う。
加藤さんによると、今の小学生の大半は家で洋式便器を使っている。一方、文部科学省による2020年9月の調査では、全国の小中学校のトイレの洋式率は57%にとどまる。16年調査から13・7ポイント上昇したものの、まだ4割が和式だ。
「家と学校のギャップは子どもにとってストレスになります」と加藤さん。日本トイレ研究所の調査では、和式便器を「使用できない」と回答した児童は全体で26・7%に上った。男女別では男子33・4%、女子18・9%で、男子のほうが高い。「抵抗はあるが使用できる」は男子が47・1%、女子が55・3%で、和式を使える子どもでも抵抗感を抱いている場合が多いのだ。ちなみに「抵抗なく使用できる」は男子が19・5%、女子は25・8%だった。
まずは洋式便器を増やすことが不可欠、という点は学校側も認識している。20年の文科省調査では、和式より洋式をより多く設置する方針の学校設置者は全体の約9割。文科省も洋式への切り替え工事に最大7000万円(単年度)を助成するなど、普及を後押ししている。
うんちの我慢は食事の我慢と同じ
加藤さんは、「洋式化だけではまだ不十分」とも話す。トイレを明るく清潔に保ち、安心して使いやすい雰囲気にすることが大切だという。「洋式にしたとしても、汚かったら子どもは我慢すると思います。トイレ空間全体が与える心理的な影響も大きいのです」
同時に求めるのが、先生の関わりだ。予算の問題もあり、トイレ環境の改善は一朝一夕には実現できない。予算を理由に何もしないのではなく、大人が関心を持っているという姿勢を見せることが重要、という。
子どもたちに意見を聞く。トイレのデコレーションにみんなで取り組む。加藤さんは「できることはあります。嫌な場所というイメージが薄まれば、排便への抵抗感も減ります」と話す。
トイレ環境を改善した自治体に文科省が確認したところ、「我慢して体調不良を訴える児童生徒が減少した」との声が上がったという。早退する児童が減ったとする報告もある。
加藤さんは、うんちの我慢は食事を我慢することと同じだと考えている。「ご飯を食べられない状況を子どもたちが強いられたら、大変でしょう。そう思えば、トイレ環境を良くする大切さが分かるはずです」
国連は13年、地球規模のトイレの衛生問題に関する課題に対して意識を高め、行動を促すことを目的とし、11月19日を世界トイレデーに制定した。

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