「要らねぇから捨ててこい」「貝に名前書いてない」ハマグリ密漁者VS海保 “逆ギレ”続出 緊迫の取り締まり現場

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これから、鍋が美味しい季節を迎えるが、その具材としても人気のハマグリが高騰している。その影響からか、”密漁”が横行してるという。今回、「イット!」では、海上保安庁などによるパトロールに密着取材した。
茨城県大洗町(おおあらいまち)のビーチで目についたのは不審な動きをする人の姿。この男性は、次々と、何かを拾っている。
男性が、バケツの中に入れたのは、ハマグリ。茨城の名産品だ。ハマグリをとることが禁止されているエリアなのだが、次々とハマグリを拾っていたのだ。
ハマグリの潮干狩りスポットとして人気の大洗町だが、資源保護のため、潮干狩りのエリアを限定。突き出た波消しブロックを境に、ハマグリをとって良いエリアと禁止エリアに分けているのだ。
禁止エリアで貝をとる行為は、漁業権侵害などの罪にあたり、いわゆる“密漁”となる。禁止エリアでハマグリをとっていた男性に声をかけた。
貝をとっていた男性に「ここはハマグリ禁止のエリアだと知ってましたか?」と声をかけたところ、男性は「いや、知らない」と言って、バケツをその場に置いたまま、足早に立ち去ったのだ。
バケツの中を見ると、ハマグリがどっさり入っていた。ところが、5分後、この男性は、バケツを回収に現れた。そして、ハマグリを海に戻すことなく、何ごともなかったかのように、帰って行ったのだった。
禁止エリアで不審な動きをする人は、何人もいて、堂々と持ち帰る人が後を絶たない。その理由のひとつが、ハマグリの価格だ。
今年のハマグリの取引価格は、去年、おととしと比べて高騰。9月には1キロあたり1682円と今年最高値となった。また、寒くなると、鍋の具材としても需要が増えるため、密漁被害が続いているとみられている。
海上保安庁によると今年の摘発件数は、すでに95件。去年の4倍以上。取材に対して、海保の担当者は、「密漁が横行してしまっている。これを解決するために、今年10月、4回取締りを企画して、きょうがその4回目になる」と話した。
今年10月最後の日曜日に、海上保安庁や茨城県などによる、総勢27人態勢での一斉取締りが行われた。「イット!」は、その取り締まりに同行取材。ハマグリの密漁者がいたとの情報が寄せられ、海保の担当者らが、一斉に現場に急行した。
パトロール隊が取り囲んでいたのは、1台の軽トラック。海保の担当者が、「ここ第三ビーチは、保護区域で、ハマグリはとっちゃダメなの」と声を掛けたところ、現場にいた男性は「ダメなんすか」と答えた。
軽トラックの荷台に乗せられたケースの中に入っていたのは、大量のハマグリ。とても個人で楽しむ量には見えない。当然、禁止エリアでとったハマグリは海に戻されることになる。
その後、「イット!」は、男性に取材をしようと声をかけたところ、「海上保安庁が終わりって言ってるんだから、関係ないだろう」と逆ギレ。いらだちの言葉が返ってきた。
その後も、現場では、道具を使って、ハマグリをとっているとみられる人を発見。この男性は、ハマグリをとって良い場所にもかかわらず、禁止されている道具を使っていたのだ。
海保の担当者が、「きょうは、何を使って(ハマグリを)とったんですか?」と質問したところ、男性は、「歩いて行って、手でハマグリをとった」と説明した。
道具は使わず、手でハマグリをとっていたと主張する男性。ところが、海保は、この男性が、道具を手にしていた”証拠の写真”を、しっかりとカメラにおさめていたのだ。
しかも、近くの草むらには、禁止されている網の付いた熊手を発見。海保の担当者が、「これが、お父さんが使ってたやつ?」と問い詰めたところ、男性は「そうそう」と、違法な道具を使っていたのを認めたのだった。
禁止された道具でとったハマグリも、海に戻さなければいけない。ところが、この男性は、態度を一変させた。「あんたらの言い方だと、俺がこれで全部とったことになっている」と、突然、反論を始めたのだ。
道具を使ってとったハマグリは、最初の一部だけで、あとは、手でとっていたと怒り始めた男性。しかも、「貝に名前書いてる訳じゃないし。番号がついてるわけじゃないんだから」などと開き直った。
さらに、男性は、逆ギレ。自分がとったハマグリを、「要らねぇから捨ててこい。要らないって、こんなの」などと海保の担当者に迫ったのだった。
禁止された道具を使って採る違反行為には、6カ月以下の懲役、もしくは10万円以下の罰金が科される可能性がある。海上保安庁は、ハマグリという特産品をみんなで楽しむため、ルールを事前に確認し、必ず守って欲しいと呼びかけている。
(「イット!」11月3日放送分)

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