有料化20年でごみ激減 日本一“ごみが少ない街”八王子で聞いた“袋代節約術” 23区でも有料化検討【Nスタ解説】

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広がる家庭ごみの有料化。今は無料の東京23区でも検討されています。すでに有料化された街では「少しでもごみを減らしたい」と、日本一ごみの排出量が少ない街を取材しました。
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熊崎風斗キャスター:東京23区でも、家庭ごみの有料化が検討されているといいます。なぜなのか、その理由をみていきましょう。
まず、1日1人あたりどれぐらいのごみを出しているのかというと、全国平均で約880gだそうです。家庭のほか、レストランなどのごみが出やすいところも全部合わせて、これぐらいの数字になっているといいます。

これが年間でどれぐらいになるのかというと、2022年の全国のごみ排出量は4034万トンで、東京ドーム約108個分です(環境省ホームページより)。3日で東京ドーム1個が埋まるぐらいのごみが出ているということになります。さらに、全国の最終処分場は、あと23.4年で限界になってしまうそうです。
そこで、ごみの量を少しでも減らそうと、ごみ袋が有料化された市区町村は全国に66.7%あります(2022年度)。東京23区は現段階では無料ですが、有料化が検討されている状況だということです。
井上貴博キャスター:有料化により、ごみを減らそうという意識になると思うので賛成です。ただ、不法投棄も少なからず増えてしまいそうで、その対策も並行して必要なのかなという気はします。
田中ウルヴェ京スポーツ心理学者(博士):捨ててはいけない場所や、ご近所に捨ててしまうなどの不法投棄を、どうやって抑止するのかという部分はありますよね。
熊崎キャスター:さて、ごみ袋が有料化されている66.7%の自治体のうちの一つが東京都八王子市です。有料化されたのは2004年で、40リットルのごみ袋が10枚750円で売られています。現状、八王子市は1人あたりのごみ排出量が日本一少なくなっています(人口50万人以上の市町村)。また、集積場から戸別収集に変えたというのも特徴ですが、八王子市ではどんな工夫をしているのでしょうか?市民の方々に聞きました。
Q.年間の出費にすると?八王子市民(50代)「1万円弱はかかるのかな」八王子市民(40代)「なんでここの市だけこんなに払わなきゃいけないのかな」
10年前に無料の地域から引っ越してきたという渡辺直子さん(40代)は、夫と娘と3人暮らしです。ごみを出す日に心がけていることは「1袋に収めるために、いかに容量を小さくするか」だといいます。
袋代を節約するためにひとつの袋にまとめており、キッチンの大きなごみ箱を見てみると、有料の袋ではありません。なぜなら「大きい袋をセッティングしちゃうと、その容量にごみが満たなかったときもったいない」からだと話します。
つまり、有料のごみ袋がスカスカだともったいないため、集まったごみの量を見て大きい袋か小さい袋かを判断しているそうです。
有料の袋に詰め替えるときには「(1袋に)たぶん収まらないなと思うんですけど、収まるように無理矢理入れます。ギュウギュウにして、ギリギリ結べるぐらいまで入れます」とのこと。
一方、八王子に住んで4年という大学生(21)は「生ごみとかはちゃんと乾かしてから捨てる。一晩中(袋を)開けといて、乾かしてから捨てるようにしてます」と工夫を教えてくれました。
熊崎キャスター:ごみ袋の有料化によって、その袋をどれだけ有効活用できるかを皆さんは考えるようになるということです。
八王子市のごみ排出量は、有料化前の2003年度は約20.7万トンで、有料化後の2022年度は約14.9万トンと、一気に少なくなっています。八王子市も含まれる多摩地区では、2018年から最終処分場の埋め立てなしという状況になっており、明確に効果があったということです。
井上キャスター:しかも、有料化した分を施設の修理などに回していけますからね。
熊崎キャスター:ところで、小さくまとめるのが大変なごみがあります。たとえばピザの箱です。節約アドバイザーの和田由貴さんによると、油汚れがあるピザの箱は、資源ごみとしては出せません。可燃ごみとして出すことになりますが、そのままごみ袋の中に入れるとかさばってしまいます。
そこで宅配チェーンの「ドミノ・ピザ」が公式SNSの動画で紹介しているのが、箱を水につけるという方法です。こうすると箱が柔らかくまとめやすくなり、キュッキュと丸められ、袋にもたくさん入れることができます。
ホラン千秋キャスター:私の実家のほうではごみ袋が有料だったので、やはり隙間がないようにごみを入れるための工夫をしていました。有料化によって最初は戸惑いもあると思いますが、「無駄にごみを出さないようにしよう」とそもそもの考え方が変わるなど、長期的には効果があると思います。
熊崎キャスター:まさに無駄をなくすということで、節約アドバイザーの和田さんは「プラスチックやペットボトルなど、資源になるものは無料で回収されます。しっかり資源ごみを分別して、有料の袋に入れるごみの量を減らしましょう」と話しています。
それから今、「トラッシュレンズ」というごみ分別アプリがリリースされています。アプリを開き、捨てたいものをカメラで読み取ると、AIがごみの種類をすぐ判別してくれるのです。自分が登録した住所により、どういう捨て方があるのか教えてくれます。
また、パソコンのように回収できない電子機器などについては、近くにある買取店を紹介し、リサイクルの提案までしてくれます。
ホランキャスター:ごみの捨て方の一覧表を冷蔵庫などに貼っている方も多いと思いますが、そこに書かれていなくて「これは何ごみなんだろう」と悩むことも結構あるので、そういうときにすごく便利なアプリかもしれません。
==========<プロフィール>田中ウルヴェ京さんスポーツ心理学者(博士)五輪メダリスト慶應義塾大学特任准教授こころの学びコミュニティ「iMiA(イミア)」主宰

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