新型コロナ・減らない“後遺症”患者 感染回数増でリスク増加…3日以上動けなくなる「クラッシュ」とは?

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新型コロナウイルスが5類に移行してから1年以上、医療機関には、いまだに後遺症に悩む患者が後を絶たないといいます。
コロナ後遺症に悩む女性(40代):肩の痛みがどんどんひどくなってて、寝るのも妨げられる痛みなんですけど…。
リモート診療で、医師に苦しい現状を訴えるのは、九州に住む40代の女性。1年以上前に新型コロナに感染、それ以来、後遺症に苦しみ続けています。
1日で多いときは70人以上のコロナ後遺症患者が訪れるという、「ヒラハタクリニック」によると、毎日午前9時半から午後8時まで診察を行っているものの、後遺症外来は3カ月先まで予約で埋まり、その数は一向に減らないといいます。
2年前の夏に新型コロナに感染してから、強い倦怠感や集中力の低下を引き起こす「ブレインフォグ」などの重い後遺症に苦しんでいるという30代の男性は、後遺症で外出するのもつらい状況だと話します。
コロナ後遺症に悩む男性(30代):なんだか力が出ない感じですかね、活力がない。外に頑張って出ようとしても、1~2分で限界ですね。シャワー浴びるのも…相当気合がいりますね。
コロナ感染者の約4人に1人が苦しめられているという“コロナ後遺症”。
「ヒラハタクリニック」の院長で、東京iCDC後遺症タスクフォースメンバーでもある、平畑光一医師によると、4年半もの間、後遺症に悩まされ続けているという患者もいるといいます。
平畑光一医師:どの臓器にどういう症状が出てきてもおかしくはないというのが、この後遺症の怖いところということになります。「クラッシュ」とは、もともとは筋痛性脳脊髄炎、慢性疲労症候群という疾患の症状なんですね。ぐっと動けなくなる、例えば、ご飯食べるとかトイレに行くぐらいのことはできるけども、それ以上のことは何もできなくなる。体が鉛のように重くなり、動きませんっていうのが3日以上続く、これが「クラッシュ」ということになります。
倦怠感など自覚症状の軽い後遺症の中、仕事の復帰。運動・ストレス・頭脳労働などで、一定の負荷を超えると、突発的に3日以上寝込んで、ほとんど動けなくなる「クラッシュ」という症状。
――何かきっかけはあるのでしょうか?平畑光一医師:近所への買い物とか、家族との喧嘩とか、リモート会議への参加とか、普段であれば全然たいしたことはないものでも、コロナ後遺症になっているとそういったことがきっかけで、クラッシュになってしまうと。
――付加がかかった後に動けなくなるという事は、後遺症以外であると思いますが、どのように判断すればいいのでしょうか?「やる気が起きなくなる」ということであれば、ちょっと抑うつみたいな事もあると思います。ただ、この「クラッシュ」の場合は、やりたいことがいっぱいあるけれども、体の方が言うことを聞いてくれない。鉛のように重くなっていると。その差がすごく大きいかなと。うつ病の方も、動きたいという気持ちはあるんですけども、“動かそうと思っている体が動かない”、そこの差かなと。
新型コロナの症状が治まった後も、苦しめる“後遺症”。カナダ統計局 (2023年12月)によると、感染回数が増えることによって、後遺症になる割合が1回目は14.6%、2回目は25.4%、3回以上は37.9%と、どんどん増加していくといいます。
平畑光一医師:コロナのウイルスというのは、感染した後ずっと、体の中に居続けるんです。この残っているウイルスがどんどん積み重なっていって、ある時点をこえた時に後遺症が出てくると言われています。
――回数以外に要因は?色々言われています。後遺症になりやすい方というのは、中高年に多いとか、女性に多いとか。ただ、どの方でもなり得るという事は間違いないので、そこを間違えてはいけないと思います。
――絶対に罹患しないという事は難しいですが、後遺症にならないためにはどうしたらよいのでしょうか?そうですね、やはり基本的な感染予防ですよね。マスクとか、うがい、鼻うがいもすごく有効だと言われていますので、そういう事を徹底していただいて、可能な限り予防する。その上でかかってしまった場合には、2カ月無理をしないことが大事になってきます。2カ月無理をしないと、後遺症の重症化を予防できますので。
後遺症は、生活にも大きな影響を及ぼします。
平畑医師のクリニックでは、後遺症になった労働者4102人中、時短・在宅に変更 318人 、欠勤しながら就業342人 、休職1635人 、退職・解雇・廃業517人 、計2812人、約7割の働き方に影響が出たといいます。
――コロナ後遺症との向き合い方は何が必要でしょうか?平畑光一医師:抑うつもすごく大事なので、場合によっては精神科とか心療内科と後遺症外来、両方かかるというのも一つの手だと思います。また、関連する症状がある場合は、その科の検査を受けることが大切になってきます。治療が長期化することが結構ありますので、その場合は年単位かかることもあるんですが、新しい治療法は必ず出てきますので、決して希望を捨てることなく、治療に取り組んでいただきたいと思います。(「めざまし8」8月20日放送より)

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