「木のまな板を下に敷いて、指の関節のところに包丁を乗せて、ブロックで上から叩くんです。ためらわず一気にドカンといくのがコツですね」
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今では更生を果たし、地域住民からの信頼も厚いNPO法人「五仁會」(主な活動内容は暴力団および非行少年の更生支援など)の広報として活躍する西村まこさんだが、現役ヤクザ時代は“指落としの名人”として、さまざまな男たちの指を落としてきた。彼女がそこで見た「男ヤクザたちの情けない反応」「想像を絶する指の落とし方」とは?(全6回の5回目/最初から読む)
現役ヤクザ時代は“指落としの名人”として知られていた西村まこさん。そこで見た、男たちの“情けない反応”とは… 細田忠/文藝春秋
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――法に触れること以外で、今までどんな仕事をしてきましたか?
西村まこ(以下、西村) 中学卒業後、不良の私を更生させようとした親に有無を言わさず縫製工場に就職させられたりはしました。すぐに寮を脱走して、また地元でケンカ三昧でしたけどね。あとは元旦那と別れてシャブ屋も辞めた後、解体業者でアルバイトをしました。重機で建物を壊したり、瓦を下ろしたり、そこでも男に混ざって楽しく働いていましたよ。
ほかに性に合った仕事としては、レース編みですね。特別少年院時代に教科で家庭科を取ったんですが、私はなかなか手先が器用だったようで、少年院の中で金賞をもらって、私が作ったテーブルクロスが展示されました。少年院の法務教官に頼まれて、自宅用のピアノカバーも作りました。もしかしたら、今も関西方面のどこかの家に私が編んだピアノカバーがあるのかもしれない(笑)。まぁ小指を詰めてからレース編みはできなくなっちゃったんですが……。
――なぜ指を詰めることになったんですか?
西村 うちの組はシャブ禁止というルールに一応なってはいましたが、実際はポン中ばかりでした。その実態が親分にバレて、私が組のポン中を代表し、指を詰めて謝罪することになりました。シャブは16歳くらいの頃から食っていましたからね。
――理不尽……!
西村 ヤクザの世界では上の言うことは絶対で、黒いカラスも上が白いと言えば白いんです。ただ、私としては「せっかくヤクザやるからには指がないくらいがかっこいいな」と思って、軽い気持ちで詰めちゃった部分もあります。
他人に見られたくなくて、ひとりで部屋にこもってやったんですが、なかなか苦労しました。床と日本刀の間に指を挟んで、上から足で踏んで切ろうとしたんですが、もう血の気引いちゃって……。たぶん真っ青な顔をしていたと思います。手間取ったせいで少し切りすぎちゃったんで、小指の第1関節から先を切るはずが、第2関節までなくなった。だから、2回下手打ったと勘違いされてしまう(笑)。

――ヤクザ的に指が何本ないのがかっこいいとか、あるんですか?
西村 私自身がそうではありますが、指が1本だけない人を見ると、「ヤクザだからって、かっこつけて詰めてみただけじゃないかな?」とは感じます。かといって、あまりたくさん指がないと、「こいつ、どれだけ下手打ったんだ」とも思うし、指がなければないほど良いってもんでもない。両方の小指がないくらいが一番ヤクザらしくてちょうどいいんじゃないですかね。
――そういうものなんですねぇ……。まこさんは、“指落としの名人”として、ほかの組員から指詰めの手伝いを頼まれていたと聞きました。

西村 少なくとも5本くらいは落としたかな。この家でも落としたことありますよ。木のまな板を下に敷いて、指の関節のところに包丁を乗せて、ブロックで上から叩くんです。ためらわず一気にドカンといくのがコツですね。指詰めを頼んできた相手の中には、普段いばっているくせに「すぐ病院に行けるように、病院の前の公園でやってくれ」なんて言うやつもいました。あるヤクザの幹部は「もったいないから、もうちょっと上にしてくれ」なんて注文つけてきて、ケチんじゃねーよって(笑)。
――土壇場で人間の本性が出ますね。それに比べたら、ひとりで完遂したまこさんは立派です。
西村 いやいや、もっとすごい人がいます。「ノコギリでゴリゴリやって落とした」とか「噛みちぎった」とか聞くと、上には上がいるもんだなと思いますよ。
〈美しすぎてヤクザ時代の呼び名は「タカラヅカ」…日本初の女ヤクザが明かした「ヤクザの恋愛事情」〉へ続く
(原田イチボ@HEW)