香川県三木町の住宅で9月1日、5歳の男児と80代の曾祖父が自宅で死亡し、曾祖母も負傷しているのが見つかった。解剖の結果、男児も曾祖父も、ともに死因は頚部圧迫による窒息死と判明。香川県警は、男児は殺害されたと見ているが家には外部から侵入した形跡がなく、曾祖父の死亡や曾祖母の負傷がどのような状況で起きたのか慎重に調べている。
〈画像〉4世代5人が暮らしていた自宅、窓際にはぬいぐるみが転がっていた
事件の現場は、収穫期を迎えた田んぼの中に住宅が点在するような、のどかな郊外の一角だ。
「香川県警の発表では、この家には5歳の鎌野唯颯(ゆら)ちゃんとその母親、祖母、83歳の曾祖父と80代の曾祖母の4世代5人が暮らしています。1日午前10時ごろ、祖母が帰宅して、亡くなっている唯颯ちゃんと曾祖父、負傷している曾祖母を見つけ通報しました。祖母は前日の昼過ぎから外出していましたが、外出時は唯颯ちゃんにも曾祖父にも『とくに異常はなかった』と県警に話しています」(地元記者)
9月2日の司法解剖で、唯颯ちゃんはひものようなもので首を圧迫されたことによる窒息死とわかり、県警は殺害されたとみている。
「唯颯ちゃんは、1日の午前7時以降、祖母が帰宅するまでの間に死亡したとみられます。県警は、外部の人間による犯行の形跡がないことから、無理心中の可能性も視野に曾祖父と曾祖母の当時の行動を慎重に調べ、祖父母から事情を聴こうとしているようです。一方、3日の解剖で、曾祖父の死因も頚部圧迫による窒息死とわかりました」(地元記者)
近所の人は5歳の命が奪われたことを悲しみながら、驚きも隠せない。「テレビではおじいさん(曾祖父)が男の子の死亡に関与して自殺したのかも、っていうような報道が出ていますけど、ちょっとありえん、信じがたい…」と話すのはすぐ近所に暮らす女性だ。
「おじいさんは曾孫ちゃんをかわいがっていて、いつも面倒をみてたのよ。家の前で三輪車に乗る時に車が来ないか見守ったり、夏には小さなプールに水を張って曾孫ちゃんを遊ばせたりして。散歩も一緒にやって。うん、おじいさんが曾孫ちゃんの面倒をみていたんよね。それだけでなくて、鎌野さんの家はおばあちゃん(曾祖母)が体を壊して入院したこともあって、退院した後もあまり具合がよくないみたいなんですけど、家の中にずっとおったら体によくないって、おじいちゃんが付き添って杖をついて二人で散歩に出かけていました。それに加えて、洗濯も掃除も、家事はおじいちゃんがみんなやってたように見えました。買い物は娘さんたちがやってたみたいですけど」(近所の女性)
別の近所の男性も、曾祖父がいつも唯颯ちゃんと一緒にいたと話す。「俺は散歩のときに会うだけだけど、いっつもおじいちゃんが男の子と一緒にいたよ。おじいちゃん自身もいつも穏やかな優しい人で、男の子についてもかわいいって言って大事に育てていたよ。ほんと常に一緒にいるって感じだったよ。男の子を自転車に乗せて走らせて、それを眺めていたり、いっつもそんな感じだった」(男性)
近所の人の話を総合すると、周辺は田んぼが少しずつ住宅地に変わる場所で、この地で農業を営んでいたのではない曾祖父は約50年前に当時田んぼだった土地を購入し、そこを宅地にして暮らし始めたらしい。
「おじいちゃんはこの近所の中ではかなり早くから暮らしていて、もちろん近所とのトラブルもなかったし、当番で回ってくる町会長もきちんと務めていました。礼儀正しくてはつらつとしていて、今回事件があって年齢が83って聞いてびっくりしたの。70歳くらいにしか見えなかった」と同じ町内の女性。
別の80代の女性も「あのおじいちゃんはほんとに、なんでもやる人やったんよ。家の壁も自分で塗っているし、庭で七輪でサンマを焼いたりもしていた。えらいなんでもできる人やったよ」と話し、突然の悲劇に驚きを隠さなかった。
事件のあった日の朝、異変に気づいた人はいなかったようだ。「パトカーが何台も来て騒ぎになった後に、警察の人が『朝の7時から8時の間に何か大きな物音を聞きませんでしたか?』って聞き込みに来られたんです。でもそんな音には気づかなかったし、うちの家にいる犬も騒ぐことはなかったんです」(近所の女性)
「おじいさんは精神的に不安定なとこなんて全然見受けられなかったんですよ。おばあちゃんが具合が悪くなって介護に疲れて、というのは、ないこともないかなあ、って思うんですけど、あんなにかわいがっていた曾孫ちゃんが何で死なないといけなかったのか…」(近所の女性)
曾祖父の生前の姿からは想像もつかない惨劇が起きたことに近所の人たちが受けた衝撃は大きく、生き残った曾祖母の話などで、実態が解明されることが望まれる。
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