栃木県にあるホンダのディーラー「ホンダカーズ野崎」で2024年8月19日に盗難被害が発生しました。 その後、8月中には盗難されたクルマがすべて見つかったと言いますが、どのような経緯で発見に至ったのでしょうか。
SNSで見ない日は無いと言えるほど、クルマの盗難被害は連日のように発生しています。
【画像】「えっ…!」これが被害にあった店舗&金庫です。画像を見る!(26枚)
盗難被害にあうのは、最新の人気モデルに加えて、市場価値が高まっている往年の国産スポーツカーまで多岐に渡ります。
また最近では、個人の愛車を狙う以外に中古車販売店やメーカー系販売店なども被害に遭っています。
とくに関東地方で大規模な盗難被害が相次いで報告されており、例えば「ビッグモーター(現:WECARS)」では、2024年に入ってから半年近くで約50台が盗難被害に。
2024年8月5日には群馬県にある「ホンダカーズ沼田南」が、新車・中古車・試乗車・代車など合わせて十数台が盗難され、計2700万円相当の被害に遭ったと言います。
そして、前述の8月19日の未明にホンダカーズ野崎でも盗難被害が発生しました。
当時の状況について、ホンダカーズ野崎の松本店長は「元々、群馬の事件があったのでクルマのキーは金庫に入れていたほか、キーのなかには電池を抜いていたのもありましたが、金庫は高速カッターのようなもので切られていました。現場には残りのキーのほかに電池も散乱していたので、泥棒は電池を持参していたと思われます。防犯カメラはあったものの暗くて特定は困難でした。さらにふたつの防犯カメラは線が切られていました」と話しています。
さらに被害については「盗難された台数はオデッセイやZR-Vなどの11台です。なぜか狙われやすいシビックタイプRは無事でした。事件の発覚は宇都宮で放置されていたシビック(下取り車)が発見され、警察から連絡があったことで分かりました。被害総額は4700万円ほどと試算されます」と話していました。
その後、店舗では警察による調査が行われた他、ホンダカーズ野崎ではSNSを駆使して、情報提供を募りました。
結果的に盗難された11台はすべて発見。以下のような状況だったと言います。
ーーー 8月19日 6:30 宇都宮岡本付近交差点(警察からの連絡)1台目 シビック(MT)黒
8月20日 8:00 さくら市コインパーキング(お客様からの通報)2台目 ZR-V 茶3台目 WR-V 白4台目 フィットRS 白5台目 シビック(MT)青
8月21日 16:00 佐野アウトレッ近隣のコインパーキング(警察からの連絡)6台目 フィット(レンタカー) 白
8月23日 8:40 西那須野コインパーキング(社員が発見)7台目 オデッセイ 白
8月23日 9:00 埼玉県久喜市コインパーキング(警察からの連絡)8台目 シビックハイブリッド 白9台目 ヴェゼル 白
8月23日 10:00 埼玉県久喜市コインパーキング(警察からの連絡)10台目 ヴェゼル 青
8月30日 10:00 岩槻市内(警察からの連絡)11台目 フィット 茶ーーー
8月19日の事件発生から12日目ですべてのクルマが発見されましたが、今回の事件について前出の松本店長は次のように話しています。
「全数発見に至ったのは警察の捜査だけでなく、SNSのフォロアーさんによる情報の拡散と、お店のお客様、メディアの報道があったことが大きいと思います。
同じように多数の車両が盗難された成田の『スーパーパーキング』さんからも助言と協力が得られました。
なお各所のパーキングに放置していたのは、GPSで追跡されているかを確認するためだったようです。
そして最後の1台だったフィットは『ホンダ インターナビ』の機能の一部を使って、だいたいの場所を特定できたことも発見の至った要因です。
またいくつかのクルマではスマートキーを車内に置いて、ロックしないで放置されているケースもありました。おそらく主犯以外の『出し子(闇バイト等)』が存在する可能性があるようです」
※ ※ ※
なおホンダカーズ野崎ではすでに店舗のセキュリティを強化済みだと言います。
一方で今回と同様な大規模盗難は、いつどこで発生するか分かりません。個人の愛車同様に最近では新たな盗難手口として通称「ゲームボーイ」という機器が使われます。
前出の松本店長によれば「ゲームボーイを使われたら盗難対策は無力だと思います。GPS発信機も『発見機』があるので、クルマに仕込んでおいても犯人に外される可能性が高いです」と話しており、年々盗難の手口が巧妙になっていることが伺えます。