海外の料理について、昔から定説のように言われていることがあります。それは、「イギリス料理は不味い」ということ。こう言われるのは理由があり、土壌が痩せ地で野菜が育ちにくいこと、歴史的に質素な食事を好むこと、18世紀後半の産業革命の都市過密によって低所得者層の栄養状態が悪化したことなどがあげられます。このイメージに引っ張られてきたことは一理あると思いますが、時代は進みました。ロンドンは世界で最も国際色豊かな大都市のひとつであり、多様な食文化が入り混じる状況に。果たして、いまだにイギリス料理は不味いのでしょうか?
私は食文化研究家としてイギリスに出向き、リアルな食事情をリサーチしています。結論から申し上げると、感動するほどの美食を味わうことは可能だとお伝えしたいのです。そこで今回は、2024年夏の最新・英国食事情を実体験してきた私が、ロンドンだけではなく地方でも味わったメニューを6つほど紹介しながら、定説を覆すおいしい話をさせていただきたいと思います。

◆5:インド料理やタイ料理。ハーブやスパイスが効いた「エスニック料理」