保険証の表面をみると、名前や数字、住所などが書かれているのですが、今回注目するのは「保険者番号」です(図表1)。図表1

全国健康保険協会「協会けんぽの健康保険証(被保険者証)のイメージ)」より筆者が作成社会保険(主に会社員や公務員、教職員とその家族)に加入している場合は8桁、国民健康保険(自営業などの個人事業主や年金生活者、非正規雇用者やその家族ら)に加入している場合は6桁の数字で構成されています。重要なのはこの数字の中でも最初の2桁で「法別番号」と言い、タイトルにある「健康保険証の番号が06」というのは、この番号のことを指しています。この数字が何番かで、どんなところに勤めているのかが推測できてしまうんです。
法別番号の主なルールは図表2の通りです。なお、6桁の数字で構成される国民健康保険の場合は法別番号がありません。図表2
医療費の基礎知識「保険証、医療症 法別番号」より筆者が作成法別番号「06」は大企業の従業員であることが推測できますが、それだけで「高収入だ」と言い切れるのでしょうか?大企業と中小企業の平均年収の違いを見ていきましょう。
「令和5年賃金構造基本統計調査」によれば、令和5年の月額給与の平均は、大企業(従業員1000人以上)では34万6000円、中企業(従業員100人から999人)では31万1400円、小企業(従業員10人から99人)では29万4000円となっています。月額賃金を年換算すると、大企業が415万2000円、中企業が373万6800円、小企業が352万8000円となります。大企業と小企業では、年間約62万円の差がある結果でした。
令和5年の「毎月勤労統計調査」によれば、全労働者の夏季賞与の平均支給額は、従業員1000人以上の企業が76万3440円、前述の中企業が含まれる従業員500~999人規模の企業が53万468円、従業員30人以上の企業が42万8518円という結果でした。年末賞与に関しては、大企業が72万7381円、中企業が52万9374円、小企業が43万2821円でした。賞与を含めた年収を計算してみると、従業員1000人以上の企業が564万2821円、従業員500~999人規模の企業が479万6642円、従業員30人以上の企業が438万9339円という結果になりました。
職種によっても収入の差はあるため一概に言い切ることはできませんが、以上の結果から見るに大企業のほうが中小企業よりも高収入である可能性が高いということがわかりました。今回は健康保険証に書かれる数字の違いについて解説しました。細かい年収までは判断できませんが、どんな会社・仕事をしているのかが一目でざっくりとわかる仕様になっているんですね。これまで気にしたことがなかったという人も、ぜひご自身の保険証を眺めてみてください。
厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況 企業規模別にみた賃金厚生労働省 毎月勤労統計調査 全国調査 夏季賞与(令和5年)厚生労働省 毎月勤労統計調査 全国調査 年末賞与(令和5年)執筆者:本条アカネFP2級