居酒屋でハマグリを注文したのに、安い別の貝が出てきた–。
そんな投稿がXで注目を集めています。投稿者によると、とある居酒屋店でハマグリを注文したのに、出てきたのは格安の「ホンビノス貝」だったそうです。そこで、店員に問いただし、貝の代金は無料になりました。
千葉県船橋市の公式サイトによると、「ホンビノス貝」は外来種で、東京湾で最初に発見されたのは約20年前とのことです。大きいものは10センチメートルを超えて、ハマグリと同じ程度の大きさになります。
ハマグリと一見よく似ていることから、間違われることもあるそうですが、メニューと異なる料理を客に提供した店側に法的な問題はないのでしょうか。西口竜司弁護士に聞きました。
–注文を受けたあと、メニューと異なるものを提供することに法的な問題はないのでしょうか。
今回のような事例を考えると、ハマグリを頼んでホンビノス貝が出された場合、民法の考え方ですと、お店側も頼んだ人もハマグリだと思っているので、ハマグリについての契約が成立することになります。お店の側がハマグリだと勘違いしているような場合でもハマグリと言っているのでハマグリについての契約が成立します。
そして、ハマグリではないホンビノス貝をお客様に提供した場合、お客様がお願いしたものではないので民法415条の債務不履行ということになります。したがいまして、お店側はハマグリを提供することが必要になります。ハマグリを用意していない場合、お金を返すということになります。
–もしも、ホンビノス貝を食べてしまった後に支払いたくないと主張することはできますか。
ここは難しい問題ですね。ハマグリではないなということが分かって食べてしまったような場合、お客様の方がホンビノス貝でもいいと考えたと理解されます。したがって、「黙示の承諾」があったとして債務不履行の主張は難しいでしょう。もちろん、代金額が不当に高くなっているような場合、返金を請求する余地はあります。
なお、このような場合、通常お店の側から返金されることが多いです。
法的に考えていくと難しいようですが、法律というのは至って常識的に考えていいですよ。ハマグリ美味しそうですね。私は、ハマグリと言われてホンビノス貝を提供されても気づかない自信があります。
【取材協力弁護士】西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。今年からXリーグにも復帰した。事務所名:神戸マリン綜合法律事務所事務所URL:http://www.kobemarin.com/