2018年に和歌山県田辺市の資産家で「紀州のドン・ファン」と呼ばれた会社経営者野崎幸助さん(当時77歳)が急性覚醒剤中毒で死亡した事件で、殺人罪と覚醒剤取締法違反(使用)で起訴された元妻の須藤早貴被告(28)の弁護側が公判で無罪を主張する方針であることが関係者への取材でわかった。
裁判員裁判の初公判は9月12日、和歌山地裁で開かれる。
起訴状によると、須藤被告は18年5月、同市内の野崎さん宅で、何らかの方法で野崎さんに致死量を超える覚醒剤を飲ませて殺害したとされる。須藤被告は捜査段階で黙秘していた。
争点を絞り込む公判前整理手続きは21年11月以降、6回行われた。
検察側は公判で、須藤被告のスマートフォンの解析結果などを基に、現場にいたのは須藤被告で、被告以外に野崎さんを殺害できた人物はいないとする状況証拠を積み重ねて立証するとみられる。
一方、弁護側は起訴事実を全面的に争い、無罪を主張する見通し。
公判前整理手続きは9月2日にも実施される。その後、初公判を含めて25回審理し、12月12日に判決が言い渡される予定。