自民党の石破茂元幹事長(67)=衆院鳥取1区=は24日、自民党総裁選(9月12日告示、27日投開票)への立候補を地元の鳥取県八頭町の神社で正式に表明した。立候補に必要な推薦人20人のめどを付けての出馬表明は小林鷹之前経済安全保障担当相(49)に続き2人目。5回目となる総裁選への挑戦を「最後の戦い」と位置づけ、背水の陣で挑む。
【写真まとめ】自民党総裁選「候補者」たち
石破氏は、派閥の政治資金パーティー裏金事件などを念頭に、「自民党に対する不信がかつてのリクルート事件の時以上に高まっている」と指摘。「政治は変わる、自民党は変わる。それを実現できるのは自分だ。ルールを守る政治、ルールを守る自民党を確立する」と述べ、政治資金の透明性向上などに取り組むと強調した。
自らが総裁選に勝利して新首相に就任した場合は、速やかに衆院解散・総選挙に踏み切る考えも表明。「全閣僚出席の予算委員会を一通りやって、政権が何を考えているのか、何を目指そうとしているかを国民に示せた段階で、可能な限り早く信を問うべきだ」と語った。
政権批判も辞さない物言いで知られる石破氏は、報道各社の世論調査で「次の首相にふさわしい人」のトップ常連。2008年以降、過去4回出馬した総裁選では国会議員票が伸び悩むなどして苦杯をなめ続けてきたが、「政治とカネ」を巡り自民に逆風が吹く今回は、次期衆院選の「顔」になり得る存在として、同僚議員らから待望論が上がっていた。
石破氏はこうした声を背景に水面下で推薦人集めに取り組みつつ、政治への思いや自身の政策をまとめた著書を今月出版。23日には今回の総裁選について「38年間の政治生活の総決算。原点に戻って最後の戦いに挑む」と記者団に語り、出馬表明を「初めて一軒ずつ頭を下げて歩き始めた地元」で行う方針を示していた。
石破氏は慶応大卒。三井銀行(現三井住友銀行)勤務などを経て1986年に自民公認で衆院初当選し、現在12期目。防衛相や農相などを歴任し、第2次安倍政権では党幹事長や地方創生担当相を務めた。父は鳥取県知事や自治相などを歴任した故・二朗氏。
一方で、09年の麻生政権末期、閣僚(農相)の立場でありながら「麻生降ろし」に加わるなど石破氏の過去の言動を問題視する党実力者も多い。2度目の挑戦だった野党時代の12年総裁選では党員票の過半数を得たものの議員票のみによる決選投票で安倍晋三氏に逆転を許した。18年総裁選で安倍氏との一騎打ちに敗北。菅義偉首相を誕生させた20年総裁選は候補者3人中最下位で、直近21年総裁選への出馬は見送っていた。
総裁選には10人超が出馬に意欲を示しており、26日に河野太郎デジタル相(61)が、早ければ30日には小泉進次郎元環境相(43)が出馬を表明する方向だ。【川口峻】