居酒屋やスナックを2軒ハシゴし、生ビールやハイボールを大量に飲んで車を運転。こんな行動が許されるワケがない――。
7月3日、大阪高裁は危険運転致死傷の罪に問われている猪木康之被告(50)の控訴を退け懲役10年の判決を言い渡した。猪木被告は’22年12月、4時間以上飲酒し酩酊状態で運転したうえ、大阪府堺市で夜間パトロール中だった町内会の男性4人をひき、逃亡。2人が死亡、2人がケガを負ったのだ。
「’23年3月に始まった裁判で、猪木被告は『酒の影響で事故が起きたかはわからない』と主張し起訴内容を否認していました。しかし大阪高裁は『飲酒による危険運転である』と判断。一審の懲役10年の判決を支持したんです」(全国紙司法j担当記者)
『FRIDAYデジタル』は’23年1月18日の配信の記事で、猪木被告が大量に酒を飲んで起こした飲酒運転事故について詳しく報じている。再録して、被告の呆れた言い分や事故前後の驚くべき言動を振り返りたい(内容は一部修正しています)――。
「事故を起こし走り去ったのは確かですが、電柱か何かにぶつかったと思いました。人をはねた認識はなかった。ひき逃げだとは思っていません」
警察に対しこう話していた男の供述が、白々しく感じる事実が明らかになった。’23年1月16日、各メディアの報道で男は事故直前に居酒屋2軒で飲酒していたことが判明。泥酔状態だった可能性が高いのだ――。
大阪府堺市の市道で事故が起きたのは、’22年12月27日深夜11時半過ぎのことだった。逮捕されたのが猪木被告。夜間パトロールを行っていた、いずれも40代の男性4人を運転する車ではね、2人が死亡、2人に軽傷を負わせたとされる。猪木被告は、適切な処置をすることなく走り去ったという。
「パトロールに参加していたのは、地元の町内会の男性8人です。現場の市道は片側1車線で幅約6m。8人は2列になり、近隣住民に火の用心などを訴えていました。猪木被告の車は後方から猛スピードでパトロール隊に接近し、男性4人を次々にはねたとみられます。猪木被告は居眠りをしていたようです。
亡くなったのは最後尾を歩いていた2人です。司法解剖の結果2人とも頭の骨が折れていました。はねられた衝撃で頭部から地面に強く打ちつけられたのでしょう。現場にはブレーキ痕がなく、減速せずに4人をはねたと考えられます」(全国紙社会部記者)
事故翌日、警察は複数の防犯カメラに映っていた逃走車と酷似したスポーツタイプの多目的車(SUV)を現場から700mほど離れた住宅の駐車場で発見。所有者は猪木被告だった。
「猪木被告は『電柱にぶつかったと思った』と、容疑を一部否認していました。しかし事故現場付近に電柱はありません。逮捕時は、被害者への謝罪の言葉もなかったそうです。
事故翌朝には、作業着を着て仕事へ向かう猪木被告の姿も目撃されています。猪木被告は事故直前に酒を飲んでいたことは認めていますが、逮捕は事故から丸一日近くたった12月28日深夜だったため呼気検査ではアルコールが検出されていません」(同前)
警察によると、事故当日の夜8時ごろ猪木被告が1人で行きつけの居酒屋に入ったことがわかっている。生ビールやハイボールを計8杯以上飲み、夜10時過ぎに店を出たとか。猪木被告は千鳥足で別の店に入り酒を飲み、事故を起こしたようだ。
「1軒目の居酒屋の店主の証言から、猪木被告の重大な嘘も明らかになっています。店主が被告に『車で来ていないか』と聞くと『違う』と否定。さらに翌朝、猪木被告から『(帰りに車で)電柱に当たってしまった』と電話が入ったそうです。店主が『人ではないのか』とたずねると、『電柱だ』と説明していたといいます」(同前)
2人の命が奪われた悪質な事故から2年――。ようやく司法の場で判決が下された。