小林製薬の調査に続き、国立医薬品食品衛生研究所の分析でも紅こうじのサプリメントに「プベルル酸」が含まれていたことが確認された。
【リスト】小林製薬が紅こうじを供給していた173社
プベルル酸は分子量の低い有機化合物だ。1932年に英国の研究者によって、青カビが生み出す物質として発見された。
その後あまり研究は進まず、研究論文の数も少ない。だが2010年代以降、感染症の原因となるマラリア原虫や家畜伝染病の原因となる寄生虫への効果が明らかとなってきた。
北里大の研究チームによると、マラリア原虫に効果のある物質を探すふるい分けの試験で、プベルル酸が抗マラリア活性があることを突き止め、11年に論文発表した。
その後、チームはプベルル酸の合成を進め、抗マラリア薬としての可能性を探ってきた。17年にはマウス5匹にプベルル酸を投与したところ、4匹が死亡したと報告した。ヒトの細胞や腎臓への毒性などについて、同大チームは毎日新聞の取材に対し「エビデンスがないので回答できない」としている。
帯広畜産大など日本とエジプトの研究チームは23年、プベルル酸が試験管内で、家畜の伝染病の原因である寄生虫の増殖を抑えたと発表した。
紅こうじのサプリ摂取後に健康被害を訴えている人では腎機能の低下が確認されているが、その原因の特定には至っていない。腎臓を含め、プベルル酸が人体に与える影響についても不明だ。【金秀蓮】