日本橋高島屋(東京都中央区)の「大黄金展」の会場から純金製の抹茶茶わん(販売価格1040万6000円)が盗まれた事件で、窃盗容疑で逮捕された男が古物買い取り店に茶わんを持ち込んだ際、価格交渉などをせず、店側が提示した金額で売却していたことが20日、捜査関係者への取材で分かった。
茶わんはその日のうちに別の買い取り店への転売が決まり、翌日引き渡されていた。警視庁捜査3課が詳しい経緯を調べている。
逮捕されたのは職業不詳堀江大容疑者(32)=江東区塩浜。捜査関係者によると、同容疑者は、事件当日の11日、日本橋周辺を散策中に大黄金展が開催されていることを知り、会場へ入った。目に付いた茶わんをリュックに詰め、さらに約30分間、会場内を物色。高島屋側が110番したのは同容疑者が会場を出た約5分後だった。
捜査3課は防犯カメラの解析を中心に同容疑者の足取りを捜査した。会場を出た後、東京メトロ日本橋駅から東西線に乗り、木場駅で降りたことを突き止めた。13日午前10時前、同駅周辺で防犯カメラに映った男に似た格好の堀江容疑者を見つけ、午後2時半ごろ任意同行を求めた。同容疑者は当初、知らないふりをしたという。
茶わんは同容疑者の供述から、11日午後1時半ごろ、江東区内の古物買い取り店に売却されていたことが判明した。同容疑者はリュックからむき出しの茶わんを取り出して査定を依頼し、金取引相場の半額以下とみられる約180万円での売却を承諾していた。
茶わんは台東区の買い取り店に約480万円で転売され、いずれの店も「盗品と気付かなかった」と説明した。堀江容疑者は「借金があった」と供述しており、身柄を確保された際、財布には現金約130万円が入っていたが、約50万円の所在は分かっていないという。