気象庁によると、4月は黄砂を観測する日が最も多くなっています。そんな中、黄砂に付着した大気汚染物質などが影響する、いわゆる“黄砂アレルギー”が増加。
都内在住の女性(30代):最初は喉がちょっと痛いなぐらいだったんですけど、咳もひどくなるにつれて、喉もかなり痛くなって、しゃべるのもちょっとつらくなるような感じでした。
「めざまし8」の取材にこう話すのは、都内に住む30代の女性。夜に何度も目が覚めるようなひどいせきが出ていたといいます。さらに40代の女性もひどい症状が出ているといいます。
岡山在住の女性(40代):朝から左目だけが目やにがすごく出るなと思ってたんです。どんどんなんか目やにが両方の目から出るようになって。(翌日)目やにで目が開かない。花粉症の検査をして陰性だったので(医者から)「黄砂だね」って言われました。
東京・北区のクリニックでは4月中旬以降、多い日には10人近くが受診していました。
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:4月の頭からの症状があって、ゼーゼーするような、呼吸が苦しい感じがして、せきもあったと。花粉症はあるんでしたっけ?ぜんそく症状のある女性(40代):ないです。いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:花粉症もないのに?そんな感じだったんですね。可能性としては黄砂。ぜんそく症状のある女性(40代):あー。
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:4月の中盤から非常に黄砂の影響を受けている患者さんが増えてきました。今まさにピークといってもいいような時期になっていると思います。
年々増えているという黄砂の影響とみられる症状。専門家は、最近のある変化を指摘しています。
国立環境研究所 地域環境保全領域 清水厚 上級主幹研究員:東日本や北日本に届きやすいという傾向は、ここ数年研究者の間では共通認識かと思います。先週の黄砂は本当かなり全国的だったんですよね。今後もそういうものが来る可能性は考えられます。(黄砂は)元々イメージとして西日本だと思ってまして、それが変わってくるというのは予想していなかったことが起こりつつある状況ということです。
西日本だけでなく、関東や北海道など各地で黄砂の飛来が見られるようになってきた中、ゴールデンウィーク中に黄砂が関東などにも飛来する可能性があるといいます。黄砂に詳しい、聖路加国際大学の大西一成准教授に解説していただきました。
黄砂によるアレルギーとはどんな症状なのでしょうか?
大西先生によると、モンゴルで採取された黄砂と鳥取で採取された黄砂を比べてみると、鳥取で採取された黄砂の方が黒ずんで見えます。この鳥取の黄砂を拡大してみると、黄砂の周りに花粉のようなものや大気汚染物質が付着していて、これによって黒ずんでいることがわかります。
聖路加国際大学 大西一成准教授:黄砂の付着・吸引で黄砂に含まれる金属成分や付着した大気汚染物質・カビ・細菌によりアレルギー症状などを引き起こすのです。
体への影響はというと、大きく分けて3つの症状があるといいます。1つ目は、目のかゆみ・鼻水・くしゃみ・皮膚の炎症などの「アレルギー症状」。そして「呼吸器疾患」ぜんそくなどの症状悪化を引き起こすこともあります。さらに「循環器疾患」脳梗塞や心筋梗塞による救急搬送・入院増加もあるということです。
聖路加国際大学 大西一成准教授:アレルギー疾患や呼吸器系の疾患を持っていない方でも目のかゆみであるとか鼻水、くしゃみ、喉のたん、せき、といった症状が出ることが確認されています。花粉症の検査で陰性であったとしても、黄砂が飛来して来ているときにこのような症状が出る場合は黄砂アレルギーを疑うことができます。
――もともと花粉症の症状がない人でも、黄砂アレルギーが出た場合、普通のアレルギー薬で対応できるのでしょうか?対症療法になりますので、症状を抑える治療になります。
この黄砂ですが、花粉症の人が黄砂の影響を受けると、症状が重症化してしまうことも確認されています。
取材した40代男性は、もともと花粉症とハウスダストのアレルギーを持っているのですが、4月中旬の黄砂の影響で鼻水やせき、目や喉の痛みなど、花粉症の症状が悪化。声がかすれ、会話に支障をきたすほどだったといいます。
そして気になるゴールデンウィーク。九州大学が1週間先まで予測を行っています。
ゴールデンウィークがスタートする、27日未明に東北地方の一部に少ない量、北海道にはやや多い黄砂が飛来。その後は、日本列島を離れていきますが、GW中盤以降戻ってくる可能性があるといいます。統計的に5月3日周辺は黄砂が多く飛来する時期ということです。
――注意した方がいい年代などはあるのでしょうか?聖路加国際大学 大西一成准教授:一般的に、子どもや高齢者の方というのは環境の変化による健康への影響を受けやすいとされていますけども、特に子どもや高齢者の方でぜんそくの入院が増えるということが報告されています。
では、黄砂の対策はどうすればいいのかというと、黄砂の飛散が予測されている日などは…外出する場合は時間を短くし、帽子、マスク、表面がツルツルした素材など服装に注意すること。帰宅後はシャワーなどですぐに黄砂を洗い流し、洗濯は外干しを避けることが重要です。
――花粉症対策に近いですね。聖路加国際大学 大西一成准教授:日常、普段やられているような日焼け止めクリームを塗ったりだとか、帽子をかぶったりサングラスやメガネをかけておしゃれをされたりとかそういった中で、直接黄砂が肌に触れるのを防ぐということができますので、そういったことで黄砂の対策を効率よくご家庭でやっていただければいいと思います。(「めざまし8」4月25日放送より)