地方公務員の定年の段階的引き上げに伴い、自治体の間では、60歳になり、管理職から退く職員向けに新たなポストを設ける動きが出ている。
長く働きたいと希望するシニア職員を活用する狙いがあり、経験や人脈を生かして若手職員らの育成につなげてもらうことへの期待もある。
地方公務員の定年は、国家公務員に合わせて2023、24両年度に61歳に延長。25年度に62歳、27年度には63歳と、2年ごとに1歳ずつ引き上げ、31年度に65歳となる。同時に、定年に達した職員が管理職から外れる「役職定年制」も導入。役職定年の対象範囲や処遇などは、各自治体が条例で定める。
岩手県は24年度、管理職向けに2種類のポストを新設。このうち、副部長級だった職員は「企画指導監」となり、企画立案に参画して助言するとともに、新たに管理職となった職員の相談相手になる。
秋田県も今月1日付で部長級や次長級の職員向けに新ポスト「シニアエキスパート」を設けた。副主幹級の位置付けで、経験が長い部署を中心に配置。部長級だった職員には対外的な調整業務を担当してもらうことも想定している。
両県とも給与は役職定年前の7割程度とする。
愛知県津島市では、部長級だった職員が課長補佐級ポスト「調整官」に就き、管理職らに指導や助言を行うほか、各課との調整役を担う。
人事院によると、定年後も働き続けることを希望する国家公務員は8割に達している。人材不足が課題となっている地方公務員でも、同様の傾向があるとみられ、今後、シニア職員向けポストを設定する動きは加速しそうだ。