自民党は4月4日、政治資金パーティーの裏金事件に関係した安倍派と二階派の議員ら39人の処分を決定。安倍派幹部の塩谷立・元文部科学相と世耕弘成・前参院幹事長は、党の処分で2番目に重い「離党勧告」となった。その世耕氏の地元・和歌山県では、昨年11月に自民党青年局近畿ブロックが開催した「ハレンチ懇親会」問題が取り沙汰されたばかりだ。今回、懇親会について、報道が出るまでに和歌山県内で水面下の様々なやり取りがあったことが本誌・週刊ポストの取材で新たに分かった。【前後編の後編。前編から続く】
【過激パーティー】派遣されたグループに所属するセクシーなダンサーたち
週刊ポストは「過激パーティー」として話題になった懇親会の画像が流出した経緯について、自民党和歌山県連会長を務める二階俊博・元幹事長の側近で、元和歌山県会議長の藤山将材・県議の証言を3月に報じた。
藤山氏は、懇親会の動画を入手した知人から「自民党は何やってるのか」と怒りの連絡を受け、「マスコミに持っていく」と言われたため、ダンサーを呼んだ和歌山県青年局長の川畑哲哉・県議に責任を取らせて辞任させるということで待ってもらった。そして川畑氏に再三にわたって辞職を求めたが、聞き入れられず、その末に産経新聞のニュースサイトに掲載されたという経緯を詳細に語った。
「それは違うんです」
と言うのは、騒動を受けて自民党を離党した川畑氏だ。川畑氏は世耕弘成・元自民党参院幹事長の秘書出身。本誌の取材にこう語った。
「懇親会が開かれた後、昨年12月のはじめに近畿ブロックの青年局のメンバーで集まって反省会の会議を開きました。そのことは和歌山県連の山下直也・幹事長(県議)にも伝えています。その会議で私は、『私の出処進退も含めて忌憚のない話をしていただきたい』と申し上げました。その後は一切口を出していません。
反省会では、お世話になっていた先輩県議が、参加議員全員に『どう思う?』と意見を聞いた。そこでは、昨年11月の近畿ブロック会議(懇親会)に至るまで、2~3度会議を開いているし、ダンサーの出演も含めて皆で承認していると。詳細は知らなかったけれど、その詳細を詰めようとはしなかった。その上で、皆で承認して通した案件なので、局長(川畑氏)だけが責任を取るという話ではない。責任を取るんだったら皆に責任がある、という話になりました。青年局として深く反省した上で、ガバナンス機能を整えるということでその会議は収まったんですね。
そして先輩県議が山下幹事長に説明をして、幹事長から『それでいいよ』ということになりました。私も山下幹事長に直接お会いして、『こういうことになりました』とご説明して、ついては『引き続き、青年局長を続けさせていただきます』と申し上げた。山下幹事長からお叱りを受けた上で、『では、頑張ってくれ』ということになったんです」
青年局長続投は組織として決定したという主張だ。しかし、藤山氏は納得しなかった。川畑氏が辞職しなかったため、今年2月に世耕弘成氏の事務所所長と面会し、懇親会の動画を見せたうえで、「世耕先生から彼に引導を渡してもらわんことには、誰も川畑君を辞めさせることができないとお願いした」と証言した。それについて、川畑氏はこう言う。
「世耕事務所からは辞職を求められたわけではなく、『藤山さんからこういう話がありました』という形で聞きました。それで先ほどの青年局の反省会のことを話して、『これは県連幹事長マターですよ』と。機関として決めて、幹事長の了解も得ているとお答えしました。
その後、3月に入って、初めて藤山さんから直接辞任を促されたんです。藤山さんが自分のスマホに入っていた動画を僕に見せて、『こういう動画、出るよ』『責任取ったほうがいいのではないか』という話をされた。
藤山さんの話を受けたその日に、改めて青年局でヒアリングして意思を確認し、先輩議員から山下幹事長に『青年局の思いは変わらない』と伝えていただきました。そしたら幹事長から『青年局全員集めてくれ』と言われて、山下幹事長と先輩議員と青年局全員が集まったんです。山下幹事長が『もう一回お前らの話聞かしてくれよ』とおっしゃって、青年局全員が気持ちは同じだと、1回目と同じことを伝えました。それで幹事長から『この話は一度収める』ということになって、その場は解散になったと記憶しています」
ところが、山下氏に聞くと、「(一連の川畑氏の申し出などについては)了承していません。今回の件では国民の皆様をはじめご支援を頂いている関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。今後再発防止に努めて参ります」と答えた。 どうやら食い違いがあるようだ。自民党の裏金議員の処分により、この懇親会については真相がうやむやにされてしまっているが、国民は決してこのことを忘れてはいない。