NTTグループは25日、独自に開発した生成AI(人工知能)を使った企業や自治体向けのサービス提供を始めた。
日本語に特化しており、比較的低コストで導入できるのが特徴だ。議事録の自動作成や接客などで活用を見込んでおり、2027年までに年間1000億円の売上高を目指す。
■日本語特化 低コスト
新サービスは、コールセンターでの音声対応記録の自動要約や、実店舗やオンラインでのバーチャル(仮想)接客などを想定している。自治体の窓口業務の支援や、医師が患者に治療方針を説明する資料や動画の作成にも活用できる。
NTTは昨年11月、生成AIの基盤技術となる大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi(ツヅミ)」を開発したと発表した。AIに学習させるデータを厳選するなどして、米オープンAIの「チャットGPT」に匹敵する日本語能力を実現したとしている。
顧客の用途に応じて学習データを調整し、運用も支援する。グループのデータセンターと専用回線でつないだ運用が可能で、機密性の高さも売りにしている。
島田明社長は記者会見で、ツヅミについて「純国産で作ったことが評価された」と胸を張った。企業や自治体、大学などから500件以上の問い合わせがあったという。
国内では、日本語に特化した生成AIの開発を急ぐ動きが広がっており、商用化の段階に入りつつある。NECは昨夏、自社で開発した生成AI「コトミ」を使ったサービスを開始した。ソフトバンクもLLMを開発中で、24年度中の完成を目指している。