神奈川県横浜市にある総戸数100戸を超える築17年のマンション2650万円(80?)を購入した金子健太(34歳・仮名、以下同)さん。美容室に勤めており、年収は約430万円、奥様の陽子さん(33歳)はパートタイマーで約100万円の年収がありました。
購入時に担当した不動産業者からの
「独立してお店を出した後では住宅ローンが組みにくい」「家賃を支払い続けるのはもったいない」「住宅ローンの金利が低いうちに不動産を買っておけば将来的に損はしない」
という説得も後押しとなり、購入するに至ったのです。しかし、結局、3年ほどである出来事が起き、購入を後悔することになります。ご夫婦に何が起きたのでしょうか。

金子さんはいつかご自身でお店を出す夢を抱いていましたが、物件を探していた当時は、とりあえず勤務先まで自転車で通える範囲内であることと、奥様は美術関係の学校を卒業しており趣味の絵画を堪能するために、居室の1室をアトリエに使用できるような部屋数に余裕のあることを条件にしていました。
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またお二人は友人が多く、頻繁に家で食事会やお泊まり会を開催したいという思いと、ご両親が泊まりに来たときのことや、いつか子どももできるであろうとの考えから、4LDKの間取りを探し、10件ほどの見学を重ねて、二人の希望が重なる物件をようやく見つけることができました。
住宅ローンの審査も無事に通過して物件の引き渡しを受け、平日休みだからこそ選べる料金が安めの設定である火曜日にお引越しをしました(※)。
※「文末にお引越し料金を安くしたい鉄則」を記載しておきますのでご参照ください。
一国一城の主となり順風満帆な生活がスタートしたのですが、居住から約3年が経過した時点で、住宅に関わる出費で「住宅ローン以外」の部分が月に1万5990円も上がることになってしまいました。
ほとんどの分譲マンションには、住宅ローンのほかに毎月徴収される代表的な費用が2つあります。
(1)「管理費」…清掃員さんや管理人さんなどの人件費や共有部分の電気料金など、基本的には共有部分で快適かつ安心して過ごすための費用。管理会社の収益。
(2)「修繕積立金」…10~20年ごとに行われる大規模修繕という建物の壁や階段などの共用部分の維持修繕の費用。修繕のための費用は、数百万円から数千万円という高額になるケースが多く急に支払うことが難しいため、毎月積み立てておくもの。
今回はそのうち(2)修繕積立金の金額が上昇してしまいました。単月ではなく、これから毎月のことになるため、金子さんの住宅関係の出費は、半年で9万5940円、1年で19万1880円も購入時より増えることになってしまいました。

【実際の負担金額の変化】
値上げ前:総合計3万6720円/月(内訳)管理費1万7300円+修繕積立金1万6750円+団地修繕積立金2340円+CATV(ケーブルテレビの費用)330円
値上げ後:総合計5万2710円/月(内訳)管理費1万7300円+修繕積立金3万2740円+団地修繕積立金2340円+CATV330円
結果として、値上げ前後の差額は、前述の通り「1万5990円」になってしまったのです。
実は契約締結時に、重要事項説明書など5つの書類を確認し、値上げの改定予定があることは知っていました。一瞬気がかりには思ったものの、買う気満々で挑んだ契約だったうえ、売主さんも目の前にいて調印が当然のような空気感の中では購入を取りやめる気持ちは生まれませんでした。

マンションにはぜいたくなサービスがあるわけではないのですが、宅配ボックスやクリーニングの受付サービスがあり、24時間管理人さんがいることも考えて、購入時は仕方ないと思っていました。
当初は、もし値上げしたとしてもまあ大丈夫だろうという思いもありました。しかし、実際に値上げをされると、ご夫婦は思いがけぬ感情を抱くようになります。
その経緯については、【後編】「横浜に2650万で中古マンションを買った夫婦の悲劇…3年で家を手放したワケ」でお伝えします。