大学院進学でも海外留学でもなく、国内での就職を決められた愛子さま。しかし海外への道が完全に閉ざされたわけではない。むしろ、日赤への就職は、日本国民だけでなく、世界中の困難を抱えた人々に寄り添われたいという愛子さまにとって最善の選択だった──。
【写真】腰かけて笑顔でケニア閣僚と話す愛子さま。全身白のコーデ。他、たこ焼きを持つ佳子さま、畳に正座するピンク色セットアップ姿の雅子さまも
天皇陛下と雅子さまに案内されて、2月9日午後、ケニア共和国大統領夫妻が皇居内の午餐会場に入った。続いて姿を見せられたのは秋篠宮さま、そして天皇家の長女・愛子さまだった。席次は、大統領の正面に陛下、左隣に雅子さま、右隣に愛子さま。淡いピンクのセットアップとパールのアクセサリーをお召しになった愛子さまは、頬をやや紅潮させて着席された。
緊張されるのも無理はない。当初は紀子さまがご出席予定だった午餐だが、胃腸の不調で大事を取って欠席。急遽、愛子さまが参加されることになったのだ。それでも愛子さまは、慎み深い笑みとともに堂々とケニアの公用語であるスワヒリ語で挨拶をされた。
「ハバリ?」(ごきげんよう)
ケニア大統領夫妻は公式実務訪問賓客として、2月6~9日の日程で日本を訪問しており、両陛下は9日、夫妻と会見され、そののち午餐が開催された。初めての国際親善の食事会、さらに大統領、ケニアの閣僚に挟まれるという重責のかかる席次ながら、愛子さまは積極的に2人に話しかけられたそうだ。
「愛子さまがスワヒリ語で挨拶されると、大統領は“上手ですね”と褒めたそうです。その後もほとんど英語で会話を交わされ、大臣から海外訪問の経験を尋ねられた愛子さまが『イギリスとオランダです』と答えられると、大統領から『3か国目はケニアですね』と“招待”を受けられるという一幕もありました」(宮内庁関係者)
放送作家のつげのり子さんは、愛子さまの外交デビューについてこう分析する。
「雅子さまが時折愛子さまを気にかけられて目を向けられることもあったそうですが、ご心配をよそに、愛子さまは終始にこやかに会話を楽しまれているようでした。お姿からは、自信も感じられました」
抜群の語学力をいかんなく発揮された愛子さま。別の宮内庁関係者は、愛子さまの実力に舌を巻く。
「皇室の国際親善において必要なのは、語学力だけではありません。当然、プロトコール(国際儀礼)に通じていなければなりませんし、なにより、先方が興味を示す日本の歴史や文化について、自分の言葉で説明する力が重要です。愛子さまは両陛下のなさりようをおそばで拝見されており、歴史や文化にも造詣が深い。完璧すぎる外交デビューは、愛子さまの素地に裏打ちされているのです」
皇族としてのご活動と並行し、愛子さまは、4月から日本赤十字社(以下、日赤)で嘱託社員として働かれる。かねて災害ボランティアに強い関心を持たれてきた愛子さまが、自ら希望された就職先だった。天皇家のご子息で研究職ではない就職先を選ばれたのは愛子さまが初めてだ。
「実務的な仕事をされたいというご意向が強く、宮内庁側は“特別扱いの必要はない”と日赤に伝えているといいます。実務経験を積みたいというお気持ちの背景には、外交官として第一線でご活躍された雅子さまへの憧憬が少なからずあるでしょう。皇室のご活動をお支えしたいという一方で、愛子さまには、雅子さまのように本気で仕事に取り組みたいという思いもあるのではないでしょうか」(前出・宮内庁関係者)
◆同世代の王女は軍事訓練に参加
愛子さまの午餐デビューの傍ら、雅子さまは圧倒的な存在感を放たれていた。
「雅子さまは、終始通訳を通さずに英語でご歓談されていました。午餐のテーブルに飾られたバラは、ケニアから輸入されたもの。実は、日本のバラの半分以上はケニア産だそうです。また、アルコールを飲まない大統領夫妻に合わせ、乾杯はりんごジュースで行われました。細やかなお気遣いが随所から感じられる午餐でした」(前出・宮内庁関係者)
両陛下のご意向で、乾杯の挨拶やスピーチはスワヒリ語で行ったそうだ。実は、平成時代には相手の国の言葉で挨拶する光景は見られなかったという。
「雅子さまは父の小和田恆さんの外交官時代に海外で過ごされていますし、ご自身の留学経験からも、相手方の国の言葉でのコミュニケーションの大切さを身にしみて感じられているのでしょう」(皇室記者)
恆氏は外交官を退官したのち、国連大使や国際司法裁判所所長を歴任。また、小和田家においては、恆氏、雅子さまだけでなく、妹の池田礼子氏も国連官僚を経て日本ユニセフ協会の顧問を務めるなど、世界を代表する組織で活躍した。
「小和田家は、日本と海外の懸け橋になることで平和に貢献したいという思いが強い。愛子さまも、雅子さまから思いを受け継がれているはずです。ただ、災害ボランティアをはじめとした愛子さまのご関心分野は、さらに国民の目線に近いところにある。常に国民に寄り添うという天皇家のポリシーもまた、愛子さまにとって大切な指針なのでしょう」(前出・皇室記者)
愛子さまは当初、ご卒業後すぐ、あるいは大学院進学後に海外留学をされるとみられていたが、国内での就職を選ばれた。とはいえ日赤は、191の国や地域に広がる世界的ネットワークを誇る。紛争地の人道的支援や災害救援は、世界の赤十字社との連携なくしてはなし得ない。
「日赤への就職は、海外で学ぶことの妨げにはなりません。むしろ、日赤には諸外国との密接な関係がありますから、海外志向で、かつ災害ボランティアに強い関心のある愛子さまにとってはこれ以上ない環境です。まずは基本的な仕事を覚えられるところから始められるでしょうが、将来的には国際ボランティアとして、海外に渡るというのが既定路線だとみられています」(前出・別の宮内庁関係者)
近年では、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻や、イスラエル・パレスチナ間の武力衝突に際しても、日赤の職員が派遣された。
「世界に目を向ければ、英王室のチャールズ国王は海軍と空軍に所属していました。また、愛子さまと同世代のスペインのレオノール王女は、昨年から軍事訓練に参加しています。将来的には、愛子さまが国際ボランティアとして、戦地で苦しむ人々を救済されることも大いにあり得るでしょう。雅子さまを超えるようなご活動に期待が高まります」(皇室ジャーナリスト)
天皇家の長子だからこそできる道を切り開こうとされている。
※女性セブン2024年2月29日・3月7日号