2月24日、千葉市美浜区の山崎製パン千葉工場で、同市若葉区に住むアルバイトの女性(61)が、菓子類の製造中にベルトコンベヤーに巻き込まれ死亡する事故が発生した。千葉県警千葉西署によると事故は午前10時10分ごろ発生、異変に気付いた工場関係者に救助され、約10分後に119番通報があったが、女性は胸を強く圧迫されており、搬送先の病院で死亡が確認された。
山崎製パンでは2月1日より恒例の「春のパンまつり」が開催されており、事故はイベント期間中に起きてしまった。求人情報サイトによると、山崎製パン千葉工場のアルバイトは時給1,100~1,375円で、朝9時から翌5時までの間で1日2時間から勤務でき、日払い制や単発、短期でのアルバイトも受け入れているという。
また、仕事内容は山崎製パンのパンやケーキ、和洋菓子を作る補助の仕事として主にライン作業を任され、具体例としてパンやケーキの製造、流れてくる製品のトッピング、天板やケースの出し入れ、箱詰め、仕分けがあげられている。
2月1日より開催されている「春のパンまつり」(読者提供)
事故の報道を受け、ネット掲示板やSNS上では山崎製パンの工場で勤務経験があるとみられる人々から「コンベヤーのスピードが速い」「60代の女性がここで働くのはキツい」などの声が多く書き込まれ、地元紙「千葉日報」もこうしたネットの声を紹介していた。
事故に遭った女性は60代ながら無理をして勤務していたのだろうか。同工場に勤める被害者と同年代の女性はこう答えた。
千葉にある山崎製パンの工場(撮影/集英社オンライン)
「この工場ではこれまで機械関連の事故がまったくなかったので驚いてます。工場は敷地がかなり広く、製品の数に合わせて担当グループも多い。事故に遭われた方と直接お会いしたことはありませんが、今はアルバイトですが、この工場ではもう20年近く働いてるベテランさんだったみたいですよ。
どこの機械でどのように事故に遭われたかは、説明されてないので詳しいことはわかりません。ただ私が担当しているコンベヤーは確かに速いかもしれないですけど、年配者や未経験の学生さんでも問題なく仕事できている速さです。私もまだ数年ですけど、コンベヤーの速さで困ったことはありません」
また他の女性従業員も事故に遭った女性とは面識はないとしながらも「勝手知ったるベテランだったのにどうしてこんなことに…」と疑問に思いながらこう話した。
「被害に遭った女性は長く働かれていて、定年の60歳を迎えてからアルバイト雇用になった方で、初心者ではないので驚いてます。受け持っていた業務内容は、菓子類の中でも和菓子のライン作業の担当だったようですが、ふだんから作業に手こずったりするような方ではなかったみたいですから」
千葉工場(撮影/集英社オンライン)
被害女性は工場内でもミスなどは聞かれないベテランだったようだ。ならば、ベルトコンベヤーの速さや管理体制、安全面にはたして問題はなかったのか。
「ベルトコンベヤーの速さは社員さんが調整できて、繁忙期になると少し速くしたりしますけど、今は和菓子の製造も落ち着いてる時期なのでそんな無茶もさせないと思うんですよね。
それに工場や担当エリアによって差はあるかもしれないですけど、私の担当する部署に関していえば、ベルトコンベヤーなどの危険な機械には安全のため基本的にカバーがついていて、体を巻き込んだりというような間違いは起きづらいはずです。
機械にもよりますけど、だいたいのものが安全カバーを外せば勝手に機械も止まるようになっているし、すぐ近くにある停止ボタンで止められるようにもなっている。機械の危険性など考えて、定期的に講習会も行ってました。
でもいざ挟まれたりしたらパニックになっただろうし、教えられた対処も上手くできなかったのかもしれないですね。事故後、かなり状況を重く見たのか、社長が直々に工場の安全の見回りをしてました」
ヤマザキパンの人気和菓子(撮影/集英社オンライン)
事故に遭った女性の担当ラインには安全カバーはついていたのか。ベルトコンベヤーの速度は適正だったのか。山崎製パン千葉工場と本社である山崎製パン株式会社に問い合わせると「担当者が不在しています」「いますぐお電話では回答できません」と答えるのみだった。
回答がありしだい、追記する。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班