昨年12月、海上保安庁は第11管区海上保安本部所属の巡視船「ひさまつ」で、新人の職員が自殺していたことを発表した。自殺の原因は上司からのパワハラであることを認め、イジメの主犯だった航海士を停職2カ月、機関士を減給2カ月の懲戒処分にしたこともあわせて発表された。
【画像】海上保安庁で長官を務める石井昌平氏
巡視船ひさまつ(海保HPより)
だが、その処分内容に怒り、告発する覚悟を決めた人物がいる。亡くなった新人職員と巡視船内でともに起居し、公私で付き合いのあった元海保職員のA氏である。
「彼の死を公表するまで、二年半もの時間を要しました。事実関係を調査して適切な処分が下されるものと期待していました。しかし、この大甘な処分では再発防止はおぼつかないし、彼の死も無駄になってしまう」
「ひさまつ」船内で職員の自殺があったのは2021年6月。その事実が公表されたのは、それから2年半もの月日が経とうとする時期だった。

海保の不祥事の公表は遅すぎ、イジメに対する処分は軽すぎるとA氏は感じている。新人職員がどれほどひどいイジメを受けていたか、どれだけの無念を抱えていたか――故人の遺体の第一発見者だったA氏が初めて重い口を開いた。
2月7日(水)12時公開の「週刊文春 電子版」および8日(木)発売の「週刊文春」では、巡視船内で行われていた地獄のようなイジメの実態、死を選んだ新人職員の人柄、遺族の悲痛な叫びなどを詳報している。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年2月15日号)