「水戸京成百貨店」による雇用調整助成金不正受給事件で、茨城県警は7日、元社長の斎藤貢容疑者(66)=千葉県柏市=を詐欺容疑で再逮捕した。また水戸地検は同日、斎藤容疑者を詐欺罪で起訴し、元取締役総務部長の片岡卓也被告(57)も同罪で在宅起訴した。片岡元部長は起訴前、毎日新聞の取材に休業日数の改ざんを認める一方で、勤務時間は実態通りに記録したと説明し、「ばれた方がいいと思ってそのままにしていた」と話していた。
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起訴状などによると、2人は部下3人に指示し、2020年4~5月の休業日数を従業員401人で延べ2903日分水増しし、雇調金約1億3265万円をだまし取ったとされる。また県警は斎藤元社長の再逮捕容疑は同年6~7月分の水増しで約6200万円をだまし取ったとしている。認否は明らかにしていない。
片岡元部長によると、総務部では休業日数についてデータを改ざんした一方で、勤務時間数については給与明細などで実態通り記載していたという。取材に「計算する時間がなくて後回しになっていたが、給与明細を見たら勤務日数と差が出ておかしいと分かる。(不正が発覚して)労働局が(査察に)入る前提でいた。好きで(不正を)しているわけではないので、ばれた方がいい」と話していた。水戸京成百貨店によると、実際に給与明細を見て不審に思った従業員からの問い合わせも数件あった。
片岡元部長は取材に「常に社長に報告、相談しながらだった。入った雇調金の額も報告していた。罪は一緒だが、人の罪は背負えない」と元社長の指示を主張。斎藤元社長は逮捕前の取材に「不正を指示するはずがない」と関与を否定していた。【西夏生、森永亨】