「被告人を死刑に処する。よろしいですね」。
京都地裁で開かれた京都アニメーション放火殺人事件の判決公判。裁判長が死刑を告げると、青葉真司被告(45)は身じろぎすることなく、大きくうなずいた。
午前10時半ごろ、青色のジャージー姿の青葉被告が入廷。車いすに乗ったまま下を向き、傍聴席の遺族らと目を合わせることはなかった。裁判長から「最後に言いたいことはありますか」と発言の機会を与えられると、「ありません」と短く答えた。
裁判長は主文に先立ち、判決理由の朗読を始めた。「被害者の恐怖、苦痛は計り知れず、筆舌に尽くしがたい」。犠牲者が亡くなった時の状況が詳しく語られると、傍聴席からすすり泣く声が漏れた。青葉被告は静かに聞き入っていたが、首をかしげる場面もあった。
「犯行態様は危険性が極めて高く、誠に残虐非道なものだ」。裁判長は厳しい非難の言葉を連ねた後、「死刑に処する」と2度繰り返した。青葉被告は顔色を変えずにうなずき、遺族らは目元をハンカチで押さえた。
閉廷すると、青葉被告は弁護人に軽く会釈。遺族に視線を向けることなく、車いすを押され法廷を後にした。