フリージャーナリストの安田純平氏が、パスポートの発給を外務所に拒否されたのは違法だとして取り消しなどを求めた訴訟で、東京地裁(品田幸男裁判長)は25日、発給拒否は裁量権の逸脱、乱用にあたり違法だとして処分を取り消した。
処分を取り消す一方で「原告のその余の請求をいずれも棄却する」とした。
安田氏の弁護人は「拒否処分を取り消すということで最低限、私たちが勝ち取るべき事を勝ち取ることができた」と話した。処分取り消し以外に、原告に対してすべての地域を渡航先として記載した一般旅券の発給などを求めていたが認められなかった。「最低限は勝ち取れたとは思っていますけど内容には不満。今後については慎重に考えますけど、控訴を含めて考えて行くことになると思います」とした。
安田氏は「これから実際に申請するとして、どういう制限がされるのか分からない。おそらくそこは外務大臣の裁量みたいになってくると思う。申請する時に細かいものを出させられて、そこから外れた途端に返納命令という可能性もないことはないんじゃないか」と不信感を口にした。続けて「事実上どこにも行けなかったので、そういう意味でやっとそれが終わるかもしれない。ちょっとうれしいけど旅券を手にしてみないと分からない」と手放しでは喜べない様子だった。
安田氏はシリアで拘束中にパスポートを奪われた。2018年に解放され、帰国後の19年1月に再発行を申請。外務省は同年7月、解放時にトルコから5年間の入国禁止措置を受けたことを理由に発給を拒否していた。