神戸徳洲会病院(神戸市垂水区)で今年9月、入院していた70歳代男性患者に対し、糖尿病の治療に必要なインスリン投与などが行われず、その後、男性が死亡していたことが神戸市への取材でわかった。
主治医は新保雅也院長で、病院側は当初、遺族に投与ミスを伝えていなかったという。市は医療安全体制に問題があるとして、22日に立ち入り検査を実施した。
同病院では、循環器内科の医師が行ったカテーテル手術後に11人の患者が死亡。市は8月、是正を求める行政指導を行った。引き続き調べたところ、入院した男性へのインスリン投与を一時実施していなかったことが発覚したという。
市によると、男性は糖尿病で通院していたが、新型コロナウイルスに感染して肺炎となり、大学病院に入院。症状が改善したため9月5日に神戸徳洲会病院に肺炎の治療のため入院し、9月15日に死亡した。病院側は当初、遺族側に「死因は肺炎」と説明していた。
市が病院側に指摘した後、病院側は遺族への説明内容を「血糖値をコントロールする治療をできずに死亡した可能性がある」と変更したという。市は新保院長が糖尿病の既往歴を見落としていた可能性があるとみており、再度の行政指導も検討する。同病院は読売新聞の取材に対して、「事案の詳細は調査中で答えられない。調査を早急に進めたい」としている。