イラストや写真を無料でダウンロードして利用できる、いわゆる“フリー素材”。複数の事業者がダウンロードサイトを運営しています。そのフリー素材について、私たちの元にある情報が…。内容は「息子が盗撮され、フリー素材として無断掲載されていた」という母親の怒りと不安の声でした。さらに、写真は誰でも無料でダウンロード出来る状態だったというのです。いったい、何が起きているのでしょうか。そして、撮影者や運営会社に問題はないのか、取材しました。(報道局 調査報道班 及川光昭)

■知らぬ間に 息子の写真が“フリー素材”に…「息子の写真が他人に盗撮され、無断でウェブサイトのフリー素材として利用されていました」日本テレビの情報提供サイトに投稿してくれたのは、神奈川県在住で、小学生の子を持つ母親です。発覚したのは知人からの連絡でした。無断掲載された息子の母親「10月に、知人から『スポーツ関連のメールマガジンに、私の息子の写真が使われているよ』と連絡がありました」なぜ息子の写真がメールマガジンに。メールマガジンの発行元に問い合わせをしたところ、「写真はあるウェブサイトからダウンロードした」と説明されたといいます。無断掲載された息子の母親「息子の写真は“フリー素材”を提供するウェブサイトに無断で投稿されていたことが分かりました。最初にその写真を見たときに間違いなく“うちの息子”だと分かり、すごく驚きしました。息子の写真が勝手に世に出回っていると思うと、ゾッとしましたね」母親によると、息子の写真は今年7月に行われたサッカーの試合中に撮影されており、知らぬ間に、何者かが勝手に撮影していたといいます。無断掲載された息子の母親「全身が写っていて、後ろ姿ですが、クラブの公式ユニホームの背番号が写っていたので、見る人が見れば誰だかすぐに分かってしまいます。私の息子の写真だけではなく、チームメイトの写真も数枚掲載されていました」息子だけでなく、他のチームメイトも盗撮され、フリー素材としてウェブサイトに掲載されていたというのです。その後、母親は、ウェブサイトの運営会社に削除を依頼。すると、運営会社は調査をした上で、母親に「撮影者は許可は得ていなかったが、顔がわからなければ問題ないと自己判断して投稿したようだ」と回答した上で、掲載していた写真を削除したといいます。この運営会社の説明によると、ウェブサイトにフリー素材として掲載している写真は、一般の撮影者から投稿されたものを活用していて、ダウンロードされると、撮影者にお金が支払われる仕組みだといいます。■母親「ダウンロードされた息子の写真は、誰が何に使っているのか」およそ3か月間、無断掲載されていたという息子の写真。その間、誰でもダウンロード出来る状態だったといいます。無断掲載された息子の母親「3か月も無料で掲載されていたので、今 世の中に、息子の写真がどれくらい出回っているのか…ダウンロードした人が、どこでどんな目的で使っているのか全く分からないんです。それが怖いですね。今回、たまたま気がつくことが出来ましたが、もし気がつかなければ、ずっとウェブサイトに公開されていたと思います。自分の息子が勝手に利用され、投稿者が報酬を得ようとしていたと思うと腹立たしい気持ちです」そして、投稿者だけでなく、無断掲載されていたウェブサイトの運営会社にも憤りを感じているといいます。無断掲載された息子の母親「(無断掲載された)ウェブサイトの規約には、“撮影の許可を得たものを投稿するように”と規約にありますが、私は息子の撮影を許可していません。勝手に無断で撮った写真かどうかのチェックもせず、無料でダウンロード出来る状態を放置していたことは企業として問題だと思います」■弁護士「“子どもの写真”肖像権侵害になるのでは」“フリー素材”として無断掲載されていた、息子の写真。法的に問題はないのでしょうか?肖像権に詳しい弁護士に話を聞きました。弁護士法人PRESIDENT 福永臣吾弁護士「肖像権侵害になるのではないか。無断で撮影され個人が特定されうる上、不特定多数の人が見られる場所に公開され、さらに営利目的であることを考えれば違法の可能性は高い。肖像権は顔が写っていないかどうかは関係なく、容姿を無断で撮られないためのものだ」また、別の弁護士は、盗撮の行為自体が問題になると指摘します。骨董通り法律事務所 原口恵弁護士「撮影されたグラウンドは、不特定多数の人が利用する公共の場所なので、無断での撮影が迷惑防止条例違反になる場合もある」盗撮され無断掲載されていた子どもの写真。運営会社に責任はないのでしょうか?骨董通り法律事務所 原口恵弁護士「今回、お母様がサイト側に削除要請をして数日後に削除されていますので、肖像権侵害というのを理由として責任追及をするのは難しいかなと思います。ただ、(仮に)削除を求めたにもかかわらず、サイト側が放置して掲載を続けた場合は、サイト側に対し、肖像権侵害についての責任が認められる可能性があります」■運営会社「改善すべき部分がある場合には改善に努めたい」ウェブサイトの運営会社はどう受け止めているのでしょうか?運営会社 ACワークスを取材しました。運営会社 ACワークス「当社サービスである写真ACにアップロードされている写真につき、ご自身のお子様が許可なく撮影されたものと思われるため削除いただきたいとのご連絡を頂きました。当該写真は、被写体の顔が見えるものではなく、スポーツのユニホームを着用した子どもがスポーツをしている場面を背後から写したと思われるものでした。また、当該ユニホームには背番号の記載がなされているものの、その他の文字やエンブレム等は付されていないものでした。そのため、当該写真から、ご家族や関係者ではない一般の方々が個人を特定することができるようなものではありませんでした」写真の削除には応じたものの、あくまで「個人を特定できるものではない」と主張しています。また、撮影者が許可をとっているかどうかを確認する作業をしているかについてはー。運営会社ACワークス「当社としては、写真ACを含むサービス全般に関して厳格な規約を設け、運用し、また、ご利用者にはその遵守をお願いしているところでございますが、引き続き、厳格な運用をしつつ、改善すべき部分がある場合には改善に努めたいと考えております」今回、被害にあった母親は、こう訴えています。無断掲載された息子の母親「運営会社は、投稿者任せではなく、本当に利用許可がおりている写真なのかどうか、ウェブサイト上の写真をチェックをしてほしい」●あなたの身の回りの怒りやギモンをお寄せください。お寄せいただいた情報をもとに日本テレビ報道局が調査・取材します。#みんなのギモンhttps://www.ntv.co.jp/provideinformation/houdou.html
イラストや写真を無料でダウンロードして利用できる、いわゆる“フリー素材”。複数の事業者がダウンロードサイトを運営しています。そのフリー素材について、私たちの元にある情報が…。内容は「息子が盗撮され、フリー素材として無断掲載されていた」という母親の怒りと不安の声でした。さらに、写真は誰でも無料でダウンロード出来る状態だったというのです。いったい、何が起きているのでしょうか。そして、撮影者や運営会社に問題はないのか、取材しました。(報道局 調査報道班 及川光昭)
「息子の写真が他人に盗撮され、無断でウェブサイトのフリー素材として利用されていました」
日本テレビの情報提供サイトに投稿してくれたのは、神奈川県在住で、小学生の子を持つ母親です。発覚したのは知人からの連絡でした。
無断掲載された息子の母親「10月に、知人から『スポーツ関連のメールマガジンに、私の息子の写真が使われているよ』と連絡がありました」
なぜ息子の写真がメールマガジンに。メールマガジンの発行元に問い合わせをしたところ、「写真はあるウェブサイトからダウンロードした」と説明されたといいます。
無断掲載された息子の母親「息子の写真は“フリー素材”を提供するウェブサイトに無断で投稿されていたことが分かりました。最初にその写真を見たときに間違いなく“うちの息子”だと分かり、すごく驚きしました。息子の写真が勝手に世に出回っていると思うと、ゾッとしましたね」
母親によると、息子の写真は今年7月に行われたサッカーの試合中に撮影されており、知らぬ間に、何者かが勝手に撮影していたといいます。
無断掲載された息子の母親「全身が写っていて、後ろ姿ですが、クラブの公式ユニホームの背番号が写っていたので、見る人が見れば誰だかすぐに分かってしまいます。私の息子の写真だけではなく、チームメイトの写真も数枚掲載されていました」
息子だけでなく、他のチームメイトも盗撮され、フリー素材としてウェブサイトに掲載されていたというのです。
その後、母親は、ウェブサイトの運営会社に削除を依頼。すると、運営会社は調査をした上で、母親に「撮影者は許可は得ていなかったが、顔がわからなければ問題ないと自己判断して投稿したようだ」と回答した上で、掲載していた写真を削除したといいます。
この運営会社の説明によると、ウェブサイトにフリー素材として掲載している写真は、一般の撮影者から投稿されたものを活用していて、ダウンロードされると、撮影者にお金が支払われる仕組みだといいます。
およそ3か月間、無断掲載されていたという息子の写真。その間、誰でもダウンロード出来る状態だったといいます。
無断掲載された息子の母親「3か月も無料で掲載されていたので、今 世の中に、息子の写真がどれくらい出回っているのか…ダウンロードした人が、どこでどんな目的で使っているのか全く分からないんです。それが怖いですね。今回、たまたま気がつくことが出来ましたが、もし気がつかなければ、ずっとウェブサイトに公開されていたと思います。自分の息子が勝手に利用され、投稿者が報酬を得ようとしていたと思うと腹立たしい気持ちです」
そして、投稿者だけでなく、無断掲載されていたウェブサイトの運営会社にも憤りを感じているといいます。
無断掲載された息子の母親「(無断掲載された)ウェブサイトの規約には、“撮影の許可を得たものを投稿するように”と規約にありますが、私は息子の撮影を許可していません。勝手に無断で撮った写真かどうかのチェックもせず、無料でダウンロード出来る状態を放置していたことは企業として問題だと思います」
“フリー素材”として無断掲載されていた、息子の写真。法的に問題はないのでしょうか?
肖像権に詳しい弁護士に話を聞きました。
弁護士法人PRESIDENT 福永臣吾弁護士「肖像権侵害になるのではないか。無断で撮影され個人が特定されうる上、不特定多数の人が見られる場所に公開され、さらに営利目的であることを考えれば違法の可能性は高い。肖像権は顔が写っていないかどうかは関係なく、容姿を無断で撮られないためのものだ」
また、別の弁護士は、盗撮の行為自体が問題になると指摘します。
骨董通り法律事務所 原口恵弁護士「撮影されたグラウンドは、不特定多数の人が利用する公共の場所なので、無断での撮影が迷惑防止条例違反になる場合もある」
盗撮され無断掲載されていた子どもの写真。運営会社に責任はないのでしょうか?
骨董通り法律事務所 原口恵弁護士「今回、お母様がサイト側に削除要請をして数日後に削除されていますので、肖像権侵害というのを理由として責任追及をするのは難しいかなと思います。ただ、(仮に)削除を求めたにもかかわらず、サイト側が放置して掲載を続けた場合は、サイト側に対し、肖像権侵害についての責任が認められる可能性があります」
ウェブサイトの運営会社はどう受け止めているのでしょうか?運営会社 ACワークスを取材しました。
運営会社 ACワークス「当社サービスである写真ACにアップロードされている写真につき、ご自身のお子様が許可なく撮影されたものと思われるため削除いただきたいとのご連絡を頂きました。当該写真は、被写体の顔が見えるものではなく、スポーツのユニホームを着用した子どもがスポーツをしている場面を背後から写したと思われるものでした。また、当該ユニホームには背番号の記載がなされているものの、その他の文字やエンブレム等は付されていないものでした。そのため、当該写真から、ご家族や関係者ではない一般の方々が個人を特定することができるようなものではありませんでした」
写真の削除には応じたものの、あくまで「個人を特定できるものではない」と主張しています。また、撮影者が許可をとっているかどうかを確認する作業をしているかについてはー。
運営会社ACワークス「当社としては、写真ACを含むサービス全般に関して厳格な規約を設け、運用し、また、ご利用者にはその遵守をお願いしているところでございますが、引き続き、厳格な運用をしつつ、改善すべき部分がある場合には改善に努めたいと考えております」
今回、被害にあった母親は、こう訴えています。
●あなたの身の回りの怒りやギモンをお寄せください。お寄せいただいた情報をもとに日本テレビ報道局が調査・取材します。#みんなのギモンhttps://www.ntv.co.jp/provideinformation/houdou.html
●あなたの身の回りの怒りやギモンをお寄せください。
お寄せいただいた情報をもとに日本テレビ報道局が調査・取材します。
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https://www.ntv.co.jp/provideinformation/houdou.html