NHKは11月6日、東京都内の3世帯について、受信契約の締結、受信料と不払い割増金の支払いを求める民事訴訟を提起しました。NHKによると「やむを得ず最後の手段として」行ったとのことであり、割増金の請求は初めてです。「不払い」の状態でも直ちに「割増金」を課されるわけではありません。また、そもそも、受信契約を締結しても、受信料を支払わなくてよいケースもあります。本記事で解説します。
NHKは、受信料の不払いに対する制裁として、受信料の2倍の「割増金」を請求しています。その前提には、法律上、テレビを持っている人に対し、NHKの受信料の支払いが義務づけられているということがあります。
受信料の支払義務を定めているのは放送法64条1項です。
【放送法64条1項】「協会(NHK)の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、同項の認可を受けた受信契約の条項(認可契約条項)で定めるところにより、協会と受信契約を締結しなければならない。」「受信することのできる受信設備」とあるので、テレビだけでなく、テレビ放送を受信できる「チューナー内蔵のスマホ」や「カーナビ」を持っていれば、「受信契約」をNHKと結ぶ義務があります。そして、その受信契約に基づいて受信料を支払わなければならないということです。この受信料の支払義務は、たとえNHKをまったく視聴していなくても負います。NHKが受信料について、受信の対価ではなく「組織運営のための特殊な負担金」と説明しているのは、このことをさしています。受信料不払いですぐ「2倍の割増金」を請求されるわけではない2023年4月から、NHKは、受信料の不払いに対する制裁として、受信料の2倍の「割増金」を請求できることになりました。しかし、NHKは割増金を請求「できる」にとどまり、受信料の不払いがあれば直ちに割増金の請求をするというわけではありません。NHKも、公式HPで、以下のように、不払いがあっても直ちに割増金を請求することはないと表明しています。「NHKとしては、文書・電話・訪問などさまざまなアプローチを通じて、受信料制度の意義や公共放送の役割を丁寧にご説明したうえで、割増金の対象となる事由に該当するか、割増金の請求を行うかどうかを個別に判断していく考えです。恣意的に割増金を運用していると受けとられないよう十分留意してまいります。」また、NHKは今回の件に関する報道資料で、以下のように記載しています。「今回の3世帯は、契約締結をお願いする文書の送付や電話・訪問などにより誠心誠意説明し、丁寧な対応を重ねてまいりましたが、応じていただけなかったため、やむを得ず最後の手段として、割増金の請求を含む民事訴訟の提起に至りました。割増金の支払いを求めるのは初めてです。」これらのことからすると、まず、NHKから受信契約申込みあるいは受信料の支払いを促す「督促状」が届き、それでも応じない場合は電話や訪問員による説得がなされるとみられます。この段階で応じれば、割増金を請求される可能性は低いということです。それでも応じなければ、民事訴訟の提起等、司法の手を借りることになり、この段階に達すれば、割増金を請求される可能性が高まるといえます。NHKの受信料を「合法的に」支払わなくてよいケースは?前述のように、テレビ放送を受信できる設備を持っている限り、NHKとの受信契約を結ばなければならず、受信契約に基づいて受信料の支払義務を負うのが原則です。しかし、実は、受信契約を結んだとしても、受信料を支払わなくてよいと認められているケースがあります。それは、経済的事情により、受信料の全額または一部を負担させるのが酷な複数のケースです。以下、それぞれについて説明します。◆学生が「全額免除」を受けられるケースまず、親元から離れて暮らす学生は、実家とは別世帯として受信契約の締結義務を負いますが、以下のいずれかの条件をみたせば、受信料が全額免除されます。【学生が受信料の全額免除を受けられる場合】・経済的理由の選考基準がある奨学金を受給している・経済的理由の選考基準がある授業料免除制度の適用を受けている・親元等が市町村民税(特別区民税を含む)非課税世帯である・親元等が公的扶助受給世帯である・年間収入が一定額以下(給与収入なら130万円以下)である・国民年金保険料の「学生納付特例」の対象になっている・国民年金保険料の「修学特例」の対象になっているなお、最後の3つの条件は2023年10月から追加されたものです。これにより事実上、大多数の学生が免除対象に含まれることになりました。◆その他の免除の制度その他にも免除の制度があります。「全額免除」のケースと「半額免除」のケースがあります。それぞれ、以下の通りです。【全額免除になるケース】・公的扶助受給者(生活保護等)・市町村民税非課税の身体障害者・市町村民税非課税の知的障害者・市町村民税非課税の精神障害者・社会福祉施設等入所者【半額免除になるケース】・視覚・聴覚障害者(身体障害者手帳を持っている)・重度の身体障害者(障害等級1級・2級で身体障害者手帳を持っている)・重度の知的障害者(判定を受けている)・重度の精神障害者(障害等級1級で精神障害者保健福祉手帳を持っている)・重度の戦傷病者(障害程度が特別項症~第1款症で戦傷病者手帳を持っている)NHK受信料の支払義務は、テレビ放送を受信できる設備を持っている限り、原則として免れられません。また、不払いが続き、NHKからの説得にも応じなければ、最悪のケースだと受信料だけでなく受信料の2倍の不払割増金もあわせて請求されることになります。今回、NHKは、民事訴訟の提起と同時に不払割増金を請求したものであり、司法の手を借りる段階に至れば不払割増金の請求が行われるという一応の基準が示されたとみることができます。ただし、親元から離れて暮らす学生は事実上、受信料の全額の支払いが免除されます。また、その他にも、経済的事情により全額、または一部を支払わなくてよいことがあります。したがって、条件をみたす場合は、速やかに免除の手続きをすることをおすすめします。
【放送法64条1項】
「協会(NHK)の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、同項の認可を受けた受信契約の条項(認可契約条項)で定めるところにより、協会と受信契約を締結しなければならない。」
「受信することのできる受信設備」とあるので、テレビだけでなく、テレビ放送を受信できる「チューナー内蔵のスマホ」や「カーナビ」を持っていれば、「受信契約」をNHKと結ぶ義務があります。そして、その受信契約に基づいて受信料を支払わなければならないということです。
この受信料の支払義務は、たとえNHKをまったく視聴していなくても負います。NHKが受信料について、受信の対価ではなく「組織運営のための特殊な負担金」と説明しているのは、このことをさしています。
2023年4月から、NHKは、受信料の不払いに対する制裁として、受信料の2倍の「割増金」を請求できることになりました。しかし、NHKは割増金を請求「できる」にとどまり、受信料の不払いがあれば直ちに割増金の請求をするというわけではありません。
NHKも、公式HPで、以下のように、不払いがあっても直ちに割増金を請求することはないと表明しています。
「NHKとしては、文書・電話・訪問などさまざまなアプローチを通じて、受信料制度の意義や公共放送の役割を丁寧にご説明したうえで、割増金の対象となる事由に該当するか、割増金の請求を行うかどうかを個別に判断していく考えです。恣意的に割増金を運用していると受けとられないよう十分留意してまいります。」
また、NHKは今回の件に関する報道資料で、以下のように記載しています。
「今回の3世帯は、契約締結をお願いする文書の送付や電話・訪問などにより誠心誠意説明し、丁寧な対応を重ねてまいりましたが、応じていただけなかったため、やむを得ず最後の手段として、割増金の請求を含む民事訴訟の提起に至りました。割増金の支払いを求めるのは初めてです。」
これらのことからすると、まず、NHKから受信契約申込みあるいは受信料の支払いを促す「督促状」が届き、それでも応じない場合は電話や訪問員による説得がなされるとみられます。この段階で応じれば、割増金を請求される可能性は低いということです。
それでも応じなければ、民事訴訟の提起等、司法の手を借りることになり、この段階に達すれば、割増金を請求される可能性が高まるといえます。
NHKの受信料を「合法的に」支払わなくてよいケースは?前述のように、テレビ放送を受信できる設備を持っている限り、NHKとの受信契約を結ばなければならず、受信契約に基づいて受信料の支払義務を負うのが原則です。しかし、実は、受信契約を結んだとしても、受信料を支払わなくてよいと認められているケースがあります。それは、経済的事情により、受信料の全額または一部を負担させるのが酷な複数のケースです。以下、それぞれについて説明します。◆学生が「全額免除」を受けられるケースまず、親元から離れて暮らす学生は、実家とは別世帯として受信契約の締結義務を負いますが、以下のいずれかの条件をみたせば、受信料が全額免除されます。【学生が受信料の全額免除を受けられる場合】・経済的理由の選考基準がある奨学金を受給している・経済的理由の選考基準がある授業料免除制度の適用を受けている・親元等が市町村民税(特別区民税を含む)非課税世帯である・親元等が公的扶助受給世帯である・年間収入が一定額以下(給与収入なら130万円以下)である・国民年金保険料の「学生納付特例」の対象になっている・国民年金保険料の「修学特例」の対象になっているなお、最後の3つの条件は2023年10月から追加されたものです。これにより事実上、大多数の学生が免除対象に含まれることになりました。◆その他の免除の制度その他にも免除の制度があります。「全額免除」のケースと「半額免除」のケースがあります。それぞれ、以下の通りです。【全額免除になるケース】・公的扶助受給者(生活保護等)・市町村民税非課税の身体障害者・市町村民税非課税の知的障害者・市町村民税非課税の精神障害者・社会福祉施設等入所者【半額免除になるケース】・視覚・聴覚障害者(身体障害者手帳を持っている)・重度の身体障害者(障害等級1級・2級で身体障害者手帳を持っている)・重度の知的障害者(判定を受けている)・重度の精神障害者(障害等級1級で精神障害者保健福祉手帳を持っている)・重度の戦傷病者(障害程度が特別項症~第1款症で戦傷病者手帳を持っている)NHK受信料の支払義務は、テレビ放送を受信できる設備を持っている限り、原則として免れられません。また、不払いが続き、NHKからの説得にも応じなければ、最悪のケースだと受信料だけでなく受信料の2倍の不払割増金もあわせて請求されることになります。今回、NHKは、民事訴訟の提起と同時に不払割増金を請求したものであり、司法の手を借りる段階に至れば不払割増金の請求が行われるという一応の基準が示されたとみることができます。ただし、親元から離れて暮らす学生は事実上、受信料の全額の支払いが免除されます。また、その他にも、経済的事情により全額、または一部を支払わなくてよいことがあります。したがって、条件をみたす場合は、速やかに免除の手続きをすることをおすすめします。
前述のように、テレビ放送を受信できる設備を持っている限り、NHKとの受信契約を結ばなければならず、受信契約に基づいて受信料の支払義務を負うのが原則です。
しかし、実は、受信契約を結んだとしても、受信料を支払わなくてよいと認められているケースがあります。それは、経済的事情により、受信料の全額または一部を負担させるのが酷な複数のケースです。以下、それぞれについて説明します。
まず、親元から離れて暮らす学生は、実家とは別世帯として受信契約の締結義務を負いますが、以下のいずれかの条件をみたせば、受信料が全額免除されます。
【学生が受信料の全額免除を受けられる場合】・経済的理由の選考基準がある奨学金を受給している・経済的理由の選考基準がある授業料免除制度の適用を受けている・親元等が市町村民税(特別区民税を含む)非課税世帯である・親元等が公的扶助受給世帯である・年間収入が一定額以下(給与収入なら130万円以下)である・国民年金保険料の「学生納付特例」の対象になっている・国民年金保険料の「修学特例」の対象になっているなお、最後の3つの条件は2023年10月から追加されたものです。これにより事実上、大多数の学生が免除対象に含まれることになりました。◆その他の免除の制度その他にも免除の制度があります。「全額免除」のケースと「半額免除」のケースがあります。それぞれ、以下の通りです。【全額免除になるケース】・公的扶助受給者(生活保護等)・市町村民税非課税の身体障害者・市町村民税非課税の知的障害者・市町村民税非課税の精神障害者・社会福祉施設等入所者【半額免除になるケース】・視覚・聴覚障害者(身体障害者手帳を持っている)・重度の身体障害者(障害等級1級・2級で身体障害者手帳を持っている)・重度の知的障害者(判定を受けている)・重度の精神障害者(障害等級1級で精神障害者保健福祉手帳を持っている)・重度の戦傷病者(障害程度が特別項症~第1款症で戦傷病者手帳を持っている)NHK受信料の支払義務は、テレビ放送を受信できる設備を持っている限り、原則として免れられません。また、不払いが続き、NHKからの説得にも応じなければ、最悪のケースだと受信料だけでなく受信料の2倍の不払割増金もあわせて請求されることになります。今回、NHKは、民事訴訟の提起と同時に不払割増金を請求したものであり、司法の手を借りる段階に至れば不払割増金の請求が行われるという一応の基準が示されたとみることができます。ただし、親元から離れて暮らす学生は事実上、受信料の全額の支払いが免除されます。また、その他にも、経済的事情により全額、または一部を支払わなくてよいことがあります。したがって、条件をみたす場合は、速やかに免除の手続きをすることをおすすめします。
【学生が受信料の全額免除を受けられる場合】
・経済的理由の選考基準がある奨学金を受給している
・経済的理由の選考基準がある授業料免除制度の適用を受けている
・親元等が市町村民税(特別区民税を含む)非課税世帯である
・親元等が公的扶助受給世帯である
・年間収入が一定額以下(給与収入なら130万円以下)である
・国民年金保険料の「学生納付特例」の対象になっている
・国民年金保険料の「修学特例」の対象になっている
なお、最後の3つの条件は2023年10月から追加されたものです。これにより事実上、大多数の学生が免除対象に含まれることになりました。
その他にも免除の制度があります。「全額免除」のケースと「半額免除」のケースがあります。それぞれ、以下の通りです。
【全額免除になるケース】・公的扶助受給者(生活保護等)・市町村民税非課税の身体障害者・市町村民税非課税の知的障害者・市町村民税非課税の精神障害者・社会福祉施設等入所者【半額免除になるケース】・視覚・聴覚障害者(身体障害者手帳を持っている)・重度の身体障害者(障害等級1級・2級で身体障害者手帳を持っている)・重度の知的障害者(判定を受けている)・重度の精神障害者(障害等級1級で精神障害者保健福祉手帳を持っている)・重度の戦傷病者(障害程度が特別項症~第1款症で戦傷病者手帳を持っている)NHK受信料の支払義務は、テレビ放送を受信できる設備を持っている限り、原則として免れられません。また、不払いが続き、NHKからの説得にも応じなければ、最悪のケースだと受信料だけでなく受信料の2倍の不払割増金もあわせて請求されることになります。今回、NHKは、民事訴訟の提起と同時に不払割増金を請求したものであり、司法の手を借りる段階に至れば不払割増金の請求が行われるという一応の基準が示されたとみることができます。ただし、親元から離れて暮らす学生は事実上、受信料の全額の支払いが免除されます。また、その他にも、経済的事情により全額、または一部を支払わなくてよいことがあります。したがって、条件をみたす場合は、速やかに免除の手続きをすることをおすすめします。
【全額免除になるケース】
・公的扶助受給者(生活保護等)
・市町村民税非課税の身体障害者
・市町村民税非課税の知的障害者
・市町村民税非課税の精神障害者
・社会福祉施設等入所者
【半額免除になるケース】・視覚・聴覚障害者(身体障害者手帳を持っている)・重度の身体障害者(障害等級1級・2級で身体障害者手帳を持っている)・重度の知的障害者(判定を受けている)・重度の精神障害者(障害等級1級で精神障害者保健福祉手帳を持っている)・重度の戦傷病者(障害程度が特別項症~第1款症で戦傷病者手帳を持っている)NHK受信料の支払義務は、テレビ放送を受信できる設備を持っている限り、原則として免れられません。また、不払いが続き、NHKからの説得にも応じなければ、最悪のケースだと受信料だけでなく受信料の2倍の不払割増金もあわせて請求されることになります。今回、NHKは、民事訴訟の提起と同時に不払割増金を請求したものであり、司法の手を借りる段階に至れば不払割増金の請求が行われるという一応の基準が示されたとみることができます。ただし、親元から離れて暮らす学生は事実上、受信料の全額の支払いが免除されます。また、その他にも、経済的事情により全額、または一部を支払わなくてよいことがあります。したがって、条件をみたす場合は、速やかに免除の手続きをすることをおすすめします。
【半額免除になるケース】
・視覚・聴覚障害者(身体障害者手帳を持っている)
・重度の身体障害者(障害等級1級・2級で身体障害者手帳を持っている)
・重度の知的障害者(判定を受けている)
・重度の精神障害者(障害等級1級で精神障害者保健福祉手帳を持っている)
・重度の戦傷病者(障害程度が特別項症~第1款症で戦傷病者手帳を持っている)
NHK受信料の支払義務は、テレビ放送を受信できる設備を持っている限り、原則として免れられません。また、不払いが続き、NHKからの説得にも応じなければ、最悪のケースだと受信料だけでなく受信料の2倍の不払割増金もあわせて請求されることになります。
今回、NHKは、民事訴訟の提起と同時に不払割増金を請求したものであり、司法の手を借りる段階に至れば不払割増金の請求が行われるという一応の基準が示されたとみることができます。
ただし、親元から離れて暮らす学生は事実上、受信料の全額の支払いが免除されます。また、その他にも、経済的事情により全額、または一部を支払わなくてよいことがあります。したがって、条件をみたす場合は、速やかに免除の手続きをすることをおすすめします。