「パッカパッカ」とリズミカルな音が夜のネオン街に響く。北海道帯広市の中心部で「馬車BAR」が営業を始めて4年。馬車をひく元ばんえい競馬の競走馬「ムサシコマ」(オス、11歳)は「コマちゃん」の愛称で皆に親まれ、今年10月には人以外で初めて「とかち観光大使」に就任した。
【写真】帯広の人に、街に愛される元競走馬の「ムサシコマ」 馬車BARを2019年から運行するのは、ホテルなどを経営する「十勝シティデザイン」。社長の坂口琴美さん(45)と、馬車を使った観光を模索していた永田剛さん(64)の出会いから始まった。

幕別町出身の坂口さんは高校卒業後に上京。大学3年の時に東京都内で飲食店を始めた。その後、数軒の店の運営や古民家改修に携わる中で、映画製作の関係者と出会い、帯広のホテルが廃業することを知った。 「好きな人たちが集ってくる宿を経営したいと思っていた」こともあり、地元の十勝に戻って7年前、「HOTEL NUPKA(ホテル ヌプカ)」をオープンさせた。 ホテル開業後に永田さんと出会い、馬車観光の案を聞いて意気投合した。馬車の運行ルートを決める際、坂口さんは街中にこだわった。「馬を実際に見る人を増やしたい」。北海道の大地を開いてきたばん馬と、幼い頃から触れ合ってきた。地元のばんえい競馬以外では見ることが少なくなった馬への思いが強く、決断した。 月、火、金、土曜の営業で、午後6時からの1日3回運行。ワンドリンクとおつまみがついて3300円。発着地となるホテル前では乗客以外もムサシコマと触れ合い、会話が弾む。約1時間、乗客らも馬を通じて自然と互いが交流できる場になっている。 坂口さんがエプロン姿のままホテルから出てきて、出発するムサシコマの顔をなでた。ホテル1階のカフェでは、従業員と同じくシフトに入る。「私はつなぎ役。朝食おばちゃんでいい」。坂口さんの人との出会いが生み出す物語が、ムサシコマに引き継がれる。【貝塚太一】
馬車BARを2019年から運行するのは、ホテルなどを経営する「十勝シティデザイン」。社長の坂口琴美さん(45)と、馬車を使った観光を模索していた永田剛さん(64)の出会いから始まった。
幕別町出身の坂口さんは高校卒業後に上京。大学3年の時に東京都内で飲食店を始めた。その後、数軒の店の運営や古民家改修に携わる中で、映画製作の関係者と出会い、帯広のホテルが廃業することを知った。
「好きな人たちが集ってくる宿を経営したいと思っていた」こともあり、地元の十勝に戻って7年前、「HOTEL NUPKA(ホテル ヌプカ)」をオープンさせた。
ホテル開業後に永田さんと出会い、馬車観光の案を聞いて意気投合した。馬車の運行ルートを決める際、坂口さんは街中にこだわった。「馬を実際に見る人を増やしたい」。北海道の大地を開いてきたばん馬と、幼い頃から触れ合ってきた。地元のばんえい競馬以外では見ることが少なくなった馬への思いが強く、決断した。
月、火、金、土曜の営業で、午後6時からの1日3回運行。ワンドリンクとおつまみがついて3300円。発着地となるホテル前では乗客以外もムサシコマと触れ合い、会話が弾む。約1時間、乗客らも馬を通じて自然と互いが交流できる場になっている。
坂口さんがエプロン姿のままホテルから出てきて、出発するムサシコマの顔をなでた。ホテル1階のカフェでは、従業員と同じくシフトに入る。「私はつなぎ役。朝食おばちゃんでいい」。坂口さんの人との出会いが生み出す物語が、ムサシコマに引き継がれる。【貝塚太一】