「この度、時世を鑑みて、10月いっぱいでLINEの使用をやめることに致しました」「組からLINEの使用をやめるよう言われましたので、退会します。今後は電話やメッセージでご連絡願います」──10月末から11月初旬にかけ、暴力団組員や関係者が親しい人物にこうした「脱LINE」のメッセージを相次いで送っているという。なぜこのタイミングでLINEの“一斉退会”が始まったのか。
【写真】実際のLINEアプリ「使用禁止」規約、流出した六代目山口組系組員射殺事件の凄惨映像も 今回の組員らの一斉退会について関東に拠点を置く広域組織の二次団体幹部はこう語る。

「LINEの規約が変わって、『反社会勢力の人間は10月でLINEが使えなくなる』という話が広まったんだ。LINEはヤクザにとっても必須ツール。組員同士の連絡は当然のこと、組によっては組織への連絡事項もLINEのグループで済ませている。 いま、暴力団はこうしたルール変更に敏感だ。きっかけは今年2月、親族名義のETCカードを使ったという理由で、六代目山口組の幹部3人が逮捕されたこと。 LINEの使用がNGになるなら、ETCの件と同様、『LINEを使った』というだけで組員の一斉逮捕に繋がりかねない。ある有名組織は組員にLINE使用禁止令を出すという噂も広がって大騒ぎになっていた」 暴力団組員は暴力団排除条例の関係で、クレジットカードに付帯するETCカードを取得できない。さらに今年3月には、ETC専用カードの約款にも暴力団排除が明記されたことを受け、暴力団のなかで「高速道路がいよいよ使えなくなる」と話題になっていたという。 LINEの利用規約を見ると、〈当社は、反社会的勢力の構成員(過去に構成員であった方を含みます。)およびその関係者の方や、当社サービスを悪用したり、第三者に迷惑をかけたりするようなお客様に対してはご利用をお断りしています〉とし、アカウントを反社会的勢力が利用した場合、通知なしにデータやコンテンツ、アカウント自体を削除できるとしている。 11月から反社条項を加えたのかについてLINE側に確認すると、「そのようなことはございません。反社条項や詐欺行為に関し、利用規約について実質的な変更はございません」(コーポレートPR部)とのこと。つまり以前から「LINEは暴力団のご利用お断り」だったというわけだ。なぜそれが「11月から禁止になる」と誤った話が広まったのか。LINEはヤクザにとって不可欠なツール 取材を進めると、10月に「11月からLINEが使えなくなる!?」とSNSなどで話題になったLINEのプライバシーポリシーの変更が発端のようだ。「10月1日、ヤフーとLINEが合併し、LINEヤフー株式会社が誕生しました。それにともないユーザーはプライバシーポリシー(個人情報保護方針)への同意が改めて必要となっていた。 実際、LINEの画面上ではLINEのキャラクターが並ぶ『プライバシーポリシー統合のご案内』という画面が表示されていたことを覚えている人も多いでしょう。これに『同意する』をタップしないと、11月以降LINEをはじめとした同社のサービスが使用できなくなってしまう可能性があると明記されていたため、騒動になってしまった」(IT雑誌編集者) このプライバシーポリシーの変更については「個人情報保護のための方針で、利用規約の内容ではございません」(前出・コーポレートPR部)とのこと。どうやら、このプライバシーポリシーの変更が、利用規約の変更として誤って広まった結果、このような騒動が起きたとみられる。前出の二次団体幹部はこう指摘する。「今回の騒動はヤクザがきちんと確認せずデマに踊らされたマヌケな話だけども、LINEがヤクザにとって必要不可欠な存在になっているのは間違いない。ヤクザや関係者がかかわっている事件は、いち早く当事者の名前や現場の写真・動画がLINEで転送される。こうした情報は警察やメディアにとっても貴重な情報源にもなっている。 そもそもLINEの使用でビクついているようじゃヤクザとして話にならない。ほとんどのヤクザが親族や第三者の名義でスマホを契約しているから、警察が捕まえようと思えばいつでも引っ張れるんだしな」 令和のヤクザは「情報戦」が重要と言われている。皮肉にもその情報に踊らされる形となってしまった。
今回の組員らの一斉退会について関東に拠点を置く広域組織の二次団体幹部はこう語る。
「LINEの規約が変わって、『反社会勢力の人間は10月でLINEが使えなくなる』という話が広まったんだ。LINEはヤクザにとっても必須ツール。組員同士の連絡は当然のこと、組によっては組織への連絡事項もLINEのグループで済ませている。
いま、暴力団はこうしたルール変更に敏感だ。きっかけは今年2月、親族名義のETCカードを使ったという理由で、六代目山口組の幹部3人が逮捕されたこと。
LINEの使用がNGになるなら、ETCの件と同様、『LINEを使った』というだけで組員の一斉逮捕に繋がりかねない。ある有名組織は組員にLINE使用禁止令を出すという噂も広がって大騒ぎになっていた」
暴力団組員は暴力団排除条例の関係で、クレジットカードに付帯するETCカードを取得できない。さらに今年3月には、ETC専用カードの約款にも暴力団排除が明記されたことを受け、暴力団のなかで「高速道路がいよいよ使えなくなる」と話題になっていたという。
LINEの利用規約を見ると、〈当社は、反社会的勢力の構成員(過去に構成員であった方を含みます。)およびその関係者の方や、当社サービスを悪用したり、第三者に迷惑をかけたりするようなお客様に対してはご利用をお断りしています〉とし、アカウントを反社会的勢力が利用した場合、通知なしにデータやコンテンツ、アカウント自体を削除できるとしている。
11月から反社条項を加えたのかについてLINE側に確認すると、「そのようなことはございません。反社条項や詐欺行為に関し、利用規約について実質的な変更はございません」(コーポレートPR部)とのこと。つまり以前から「LINEは暴力団のご利用お断り」だったというわけだ。なぜそれが「11月から禁止になる」と誤った話が広まったのか。
取材を進めると、10月に「11月からLINEが使えなくなる!?」とSNSなどで話題になったLINEのプライバシーポリシーの変更が発端のようだ。
「10月1日、ヤフーとLINEが合併し、LINEヤフー株式会社が誕生しました。それにともないユーザーはプライバシーポリシー(個人情報保護方針)への同意が改めて必要となっていた。
実際、LINEの画面上ではLINEのキャラクターが並ぶ『プライバシーポリシー統合のご案内』という画面が表示されていたことを覚えている人も多いでしょう。これに『同意する』をタップしないと、11月以降LINEをはじめとした同社のサービスが使用できなくなってしまう可能性があると明記されていたため、騒動になってしまった」(IT雑誌編集者)
このプライバシーポリシーの変更については「個人情報保護のための方針で、利用規約の内容ではございません」(前出・コーポレートPR部)とのこと。どうやら、このプライバシーポリシーの変更が、利用規約の変更として誤って広まった結果、このような騒動が起きたとみられる。前出の二次団体幹部はこう指摘する。
「今回の騒動はヤクザがきちんと確認せずデマに踊らされたマヌケな話だけども、LINEがヤクザにとって必要不可欠な存在になっているのは間違いない。ヤクザや関係者がかかわっている事件は、いち早く当事者の名前や現場の写真・動画がLINEで転送される。こうした情報は警察やメディアにとっても貴重な情報源にもなっている。
そもそもLINEの使用でビクついているようじゃヤクザとして話にならない。ほとんどのヤクザが親族や第三者の名義でスマホを契約しているから、警察が捕まえようと思えばいつでも引っ張れるんだしな」
令和のヤクザは「情報戦」が重要と言われている。皮肉にもその情報に踊らされる形となってしまった。