3大疾病の1つである「脳卒中」ですが、発症後に仕事に復帰できる人はわずか3割ほどだといいます。アイドルとして活動する20代のころに発症し、体にまひが残っているものの、社会復帰を遂げた女性を追いました。
山田阿実さん(30)。都内の介護施設でリハビリをサポートする作業療法士として働いていますが、自分も左半身まひの後遺症を抱えています。
山田阿実さん「手首から先が障害が残っていて、ちょっとだけ握ることができる」
22歳のとき、山田さんは駆け出しのアイドルとして活動していました。
異変が起きたのは、まさにステージの上。ダンスパフォーマンス中、突然、その場で大きく転倒。立ち上がってダンスを続けますが、動きにキレは無くなり、ふらつくような様子も見られます。
山田阿実さん「すごく大きな耳鳴りがして、それと同時にブチッという音が耳元で聞こえた。前後は曖昧で、もう本当に意識がただ目を開けてるだけみたいな。ボーっとしている感じ」
その後、緊急搬送され一命は取り留めたものの、「脳卒中」の症状だと判明しました。
リハビリに励みましたが、後遺症が残り、社会復帰は困難を極めました。作業療法士になるための学校に通おうとしても…
山田阿実さん「受け入れ態勢を整えられないという事で、やんわり遠まわしに『来られても』ということを告げられたり、テストみたいなものをアルバイト(の採用)でもするので、それに引っかかって落ちていくことがほとんど」
厚生労働省によりますと、現在、国内で脳卒中患者は174万人いるとされています。ただ、そのうち仕事に復帰できた人は3割に届かないという調査もあります。
山田さんの場合、いまの職場で働けるようになったのは「周りのサポートが大きい」と話します。
山田阿実さん「『身体的な介助できないよね』となったら、私の代わりに他の人が介助に就いてくれたりとか、高いところを結んだりできないので、さりげなく戻してくれたりとか」
脳卒中患者などの就労支援を行う施設の代表は…
合同会社来夢 関根周一代表「企業の方で脳卒中という障害を理解してもらう事が最初。そこが整わないと行政も動きづらい」
脳卒中になった人でも、働くことが出来る社会に。
山田阿実さん「こういうハンディキャップがあるから、こういうところに配慮してくださいと。そういう窓口があったら、もっと何かいろいろスムーズにハードルがそんな高くなく、越えることもできるのかなと」