家族との思い出がいっぱいに詰まった愛車から、新しい車に乗り換えることになった――
その時の体験を描いたマンガが、2023年10月22日、X(ツイッター)上に投稿され、注目を集めている。
作品を投稿したのは、フォロワーや自身の体験を漫画にして発表しているババレオ(@babareoyomeko)さん。今回の作品は、フォロワーから寄せられた体験談を元にしたものだ。
その人、坂本さんには、お気に入りの愛車があった。
両親との旅行も何度も体験し、バックミラーには家族で撮ったプリクラ。思い出がいっぱい詰まった車だ。
しかし、10年も乗っていると年々故障も増えていく。そこで買い替えを決心したという。
訪れたのは、かつて愛車を購入した販売店だった。担当者は、以前のことを覚えている様子。
彼は、懐かしそうに振り返る。
当時、坂本さんは免許を取ったばかりで、愛車を買ったのは母親だった。その時のやり取りを思い出したのか、1人で来た坂本さんに「お母様はお元気でいらっしゃいますか?」と担当者。
しかし、母親はすでに亡くなっていた。
坂本さんがそのことを伝えると、担当者の笑顔は一変する。
坂本さんの愛車は、母から引き継いだものだった。亡き母の思い出があるから、できるだけ長く乗りたい――そんな思いで、寿命が来た車で乗り続けていたのだ。
車を大事にしていた坂本さんの気持ちに胸を打たれてか、担当者はキリッとした表情で、愛車を「どこよりも高値で買い取らせていただきます」と提案。坂本さんも、彼に任せることにした。
そして、納車の日がやってくる。
購入したのは、思い出の車の新型。旧型の面影も残るその車を、坂本さんも父親も気に入った様子。そこに、あの担当者がやってきて、こう言った。
どこかジ~ンとした顔を浮かべた二人は、提案通りドライブに行くことに。すると、車内で「あるもの」を見つけた。
前の車に貼っていた、家族のプリクラが貼ってあったのだ。しかも、ラミネートを施し、簡単に剥がせるようにしてくれていたという。
車に乗った二人を見守る担当者を見て、坂本さんは気づく。
かつての愛車を買い取らせてくれないかと彼が言ったのは、新しい車に家族の記憶を引き継がせたい、と考えたからだったのだ。
ドライブしながら、涙を浮かべる坂本さんと父親。担当者の粋な計らいによって「3人のドライブ」の思い出が新車にも刻まれた。
前の車の購入時のことを覚えていたからこそ、坂本さんたちがプリクラの貼り直しを喜んでくれることが分かったのだろう。人間のあたたかみを感じる接客に、ユーザーからは1万5000件を超えるいいね(24日夕時点)のほか、こんな声が寄せられている。