昨年6月、岡山県和気町で重い知的障がいのある当時8歳の息子の首を絞めて殺害したとして、岡山地方裁判所が今年10月3日、母親の藤井典子被告(36)に対し、懲役7年の判決を言い渡した。この悲劇に自身も障がい児の母親であるジャーナリストがその苦労を訴える。 頻発する母親の障がい児殺人 「しばらくは寝顔を見ていました。息子と一緒に死にたいけど、どうやって殺そうかと考えていました」 母親である藤井典子被告は、弁護人から「寝ている息子を車内に移動させ、どうしていたのか」という問いにこう答えた。

昨年6月、夫から離婚を切り出され、将来を悲観するなどして母親自らが障がい児の長男・蒼天(そうた)くんを車内で殺害するという痛ましい事件が起こった。 筆者の周囲には重度知的障がい児や重度心身障がい児を育てている母親が多くおり、この事件はそんな筆者らの間でも大いに話題となった。 岡山地方裁判所 「率直に『またか……』という思いですね」 そう話すのは、重度心身障がい児を育てている関西在住の亜矢さん(40代・仮名)だ。 この事件にかぎらず、母親が障がい児の我が子を手にかけるケースは、実は決して珍しいことではない。 2017年には京都で発達障害だった当時3歳の長男を母親が浴槽に沈めて殺害する事件が、2020年にもおなじく京都で重度知的障がいを持つ17歳の長男を母親が刺殺する事件が起こっており、それぞれ懲役4年6ヶ月と、懲役3年執行猶予5年が言い渡されている。 「周囲で同じ境遇の母親と出会うことができず、理解もされず、福祉サービスも整備されていない。そんな孤立の中で障がい児育児を強いられる。その負担は家族はもちろん、特に母親にのしかかる。地方はさらに厳しいでしょう。その環境を知っているからこそ、同情してしまうんです」(亜矢さん) 障がい児だとわかったとたんに夫の態度が変わり… 藤井被告は蒼天くんを授かる前に5度の流産と死産を経験しており、夫から「まわりの友人はみんな子どもがいるのに、俺はいつになったら自分の子どもを抱けるんだ。お前と結婚した俺は不幸だ」「障がい者なんか産んだら許さんけえよ」など、夫から心ない言葉を投げ続けられたという。 その後、夫に離婚を切り出されたことがきっかけで、藤井被告は犯行に及んでいる。 障がい児のいる家庭の離婚率は健常児世帯の6倍といわれており、その原因に夫が自身の子供の障がいを受け入れられないケースは少なからず存在する。 関東在住の利香さん(30代・仮名)は、長男に障がいがあることがわかり、離婚にいたった。 「私の夫も当初は受け入れようと必死でしたが、最終的にはそれが難しいことがわかると家に帰ってこなくなり、離婚を迫られました。それまでは専業主婦でしたが、離婚後は働かざるを得なくなり、福祉関係の仕事をしながら、子どもを育てています」 藤井被告の夫は2歳から育児に関わらなくなり、藤井被告はパートで働きながらひとりで家事、育児を担っていたという。しかし、幼稚園からの幼馴染だった夫と21歳で結婚した当初は幸せだったという話も法廷では語られた。 筆者のインタビューに応じる重度知的障がい児の子どもを持つ母親(※本文の内容とは関係ありません) 「私と一緒ですね。夫は結婚前から子どもの障がいわかるまでは、毎年誕生日に花をくれたりと優しかったですよ。でも子どもが生まれて2歳ぐらいから周囲の子どもと違うなと感じてきたようで。 そこからは徐々に子ども、そして私とも距離を置くようになっていきました。 私も必死に夫との関係を修復しようとしたし、いっそ子どもがいないほうがと思い、施設に預けようかと悩んだことも一度や二度ではありません。 夫に離婚を切り出された背景には同情しますが子供を殺す理由には絶対ならない。育児負担はあったにしろ、藤井被告本人の未熟さもあったのではないでしょうか」(利香さん) 同じ境遇にある母親たちから同情の声が多いのは、障がい児育児は定型発達児と比較にならないほどの負担や、その将来への不安が大きいことを知ってるからだ。 障がい児育児に疲弊し、困窮する中では、みずから社会や行政に助けを求める声をあげるのが非常に難しくなる。だからこそ障がい児育児も、一般の子育てと同じ、いやそれ以上に家族や社会の協力が必要不可欠になってくる。 10月3日におこなわれた結審でも、藤井被告は裁判官から「夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ」と指摘されていた。司法関係者によると「現状、藤井被告は控訴はしない意向」だという。 取材・文/中西美穂 集英社オンライン編集部ニュース班
昨年6月、岡山県和気町で重い知的障がいのある当時8歳の息子の首を絞めて殺害したとして、岡山地方裁判所が今年10月3日、母親の藤井典子被告(36)に対し、懲役7年の判決を言い渡した。この悲劇に自身も障がい児の母親であるジャーナリストがその苦労を訴える。
頻発する母親の障がい児殺人 「しばらくは寝顔を見ていました。息子と一緒に死にたいけど、どうやって殺そうかと考えていました」 母親である藤井典子被告は、弁護人から「寝ている息子を車内に移動させ、どうしていたのか」という問いにこう答えた。

昨年6月、夫から離婚を切り出され、将来を悲観するなどして母親自らが障がい児の長男・蒼天(そうた)くんを車内で殺害するという痛ましい事件が起こった。 筆者の周囲には重度知的障がい児や重度心身障がい児を育てている母親が多くおり、この事件はそんな筆者らの間でも大いに話題となった。 岡山地方裁判所 「率直に『またか……』という思いですね」 そう話すのは、重度心身障がい児を育てている関西在住の亜矢さん(40代・仮名)だ。 この事件にかぎらず、母親が障がい児の我が子を手にかけるケースは、実は決して珍しいことではない。 2017年には京都で発達障害だった当時3歳の長男を母親が浴槽に沈めて殺害する事件が、2020年にもおなじく京都で重度知的障がいを持つ17歳の長男を母親が刺殺する事件が起こっており、それぞれ懲役4年6ヶ月と、懲役3年執行猶予5年が言い渡されている。 「周囲で同じ境遇の母親と出会うことができず、理解もされず、福祉サービスも整備されていない。そんな孤立の中で障がい児育児を強いられる。その負担は家族はもちろん、特に母親にのしかかる。地方はさらに厳しいでしょう。その環境を知っているからこそ、同情してしまうんです」(亜矢さん) 障がい児だとわかったとたんに夫の態度が変わり… 藤井被告は蒼天くんを授かる前に5度の流産と死産を経験しており、夫から「まわりの友人はみんな子どもがいるのに、俺はいつになったら自分の子どもを抱けるんだ。お前と結婚した俺は不幸だ」「障がい者なんか産んだら許さんけえよ」など、夫から心ない言葉を投げ続けられたという。 その後、夫に離婚を切り出されたことがきっかけで、藤井被告は犯行に及んでいる。 障がい児のいる家庭の離婚率は健常児世帯の6倍といわれており、その原因に夫が自身の子供の障がいを受け入れられないケースは少なからず存在する。 関東在住の利香さん(30代・仮名)は、長男に障がいがあることがわかり、離婚にいたった。 「私の夫も当初は受け入れようと必死でしたが、最終的にはそれが難しいことがわかると家に帰ってこなくなり、離婚を迫られました。それまでは専業主婦でしたが、離婚後は働かざるを得なくなり、福祉関係の仕事をしながら、子どもを育てています」 藤井被告の夫は2歳から育児に関わらなくなり、藤井被告はパートで働きながらひとりで家事、育児を担っていたという。しかし、幼稚園からの幼馴染だった夫と21歳で結婚した当初は幸せだったという話も法廷では語られた。 筆者のインタビューに応じる重度知的障がい児の子どもを持つ母親(※本文の内容とは関係ありません) 「私と一緒ですね。夫は結婚前から子どもの障がいわかるまでは、毎年誕生日に花をくれたりと優しかったですよ。でも子どもが生まれて2歳ぐらいから周囲の子どもと違うなと感じてきたようで。 そこからは徐々に子ども、そして私とも距離を置くようになっていきました。 私も必死に夫との関係を修復しようとしたし、いっそ子どもがいないほうがと思い、施設に預けようかと悩んだことも一度や二度ではありません。 夫に離婚を切り出された背景には同情しますが子供を殺す理由には絶対ならない。育児負担はあったにしろ、藤井被告本人の未熟さもあったのではないでしょうか」(利香さん) 同じ境遇にある母親たちから同情の声が多いのは、障がい児育児は定型発達児と比較にならないほどの負担や、その将来への不安が大きいことを知ってるからだ。 障がい児育児に疲弊し、困窮する中では、みずから社会や行政に助けを求める声をあげるのが非常に難しくなる。だからこそ障がい児育児も、一般の子育てと同じ、いやそれ以上に家族や社会の協力が必要不可欠になってくる。 10月3日におこなわれた結審でも、藤井被告は裁判官から「夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ」と指摘されていた。司法関係者によると「現状、藤井被告は控訴はしない意向」だという。 取材・文/中西美穂 集英社オンライン編集部ニュース班
頻発する母親の障がい児殺人 「しばらくは寝顔を見ていました。息子と一緒に死にたいけど、どうやって殺そうかと考えていました」 母親である藤井典子被告は、弁護人から「寝ている息子を車内に移動させ、どうしていたのか」という問いにこう答えた。

昨年6月、夫から離婚を切り出され、将来を悲観するなどして母親自らが障がい児の長男・蒼天(そうた)くんを車内で殺害するという痛ましい事件が起こった。 筆者の周囲には重度知的障がい児や重度心身障がい児を育てている母親が多くおり、この事件はそんな筆者らの間でも大いに話題となった。 岡山地方裁判所 「率直に『またか……』という思いですね」 そう話すのは、重度心身障がい児を育てている関西在住の亜矢さん(40代・仮名)だ。 この事件にかぎらず、母親が障がい児の我が子を手にかけるケースは、実は決して珍しいことではない。 2017年には京都で発達障害だった当時3歳の長男を母親が浴槽に沈めて殺害する事件が、2020年にもおなじく京都で重度知的障がいを持つ17歳の長男を母親が刺殺する事件が起こっており、それぞれ懲役4年6ヶ月と、懲役3年執行猶予5年が言い渡されている。 「周囲で同じ境遇の母親と出会うことができず、理解もされず、福祉サービスも整備されていない。そんな孤立の中で障がい児育児を強いられる。その負担は家族はもちろん、特に母親にのしかかる。地方はさらに厳しいでしょう。その環境を知っているからこそ、同情してしまうんです」(亜矢さん) 障がい児だとわかったとたんに夫の態度が変わり… 藤井被告は蒼天くんを授かる前に5度の流産と死産を経験しており、夫から「まわりの友人はみんな子どもがいるのに、俺はいつになったら自分の子どもを抱けるんだ。お前と結婚した俺は不幸だ」「障がい者なんか産んだら許さんけえよ」など、夫から心ない言葉を投げ続けられたという。 その後、夫に離婚を切り出されたことがきっかけで、藤井被告は犯行に及んでいる。 障がい児のいる家庭の離婚率は健常児世帯の6倍といわれており、その原因に夫が自身の子供の障がいを受け入れられないケースは少なからず存在する。 関東在住の利香さん(30代・仮名)は、長男に障がいがあることがわかり、離婚にいたった。 「私の夫も当初は受け入れようと必死でしたが、最終的にはそれが難しいことがわかると家に帰ってこなくなり、離婚を迫られました。それまでは専業主婦でしたが、離婚後は働かざるを得なくなり、福祉関係の仕事をしながら、子どもを育てています」 藤井被告の夫は2歳から育児に関わらなくなり、藤井被告はパートで働きながらひとりで家事、育児を担っていたという。しかし、幼稚園からの幼馴染だった夫と21歳で結婚した当初は幸せだったという話も法廷では語られた。 筆者のインタビューに応じる重度知的障がい児の子どもを持つ母親(※本文の内容とは関係ありません) 「私と一緒ですね。夫は結婚前から子どもの障がいわかるまでは、毎年誕生日に花をくれたりと優しかったですよ。でも子どもが生まれて2歳ぐらいから周囲の子どもと違うなと感じてきたようで。 そこからは徐々に子ども、そして私とも距離を置くようになっていきました。 私も必死に夫との関係を修復しようとしたし、いっそ子どもがいないほうがと思い、施設に預けようかと悩んだことも一度や二度ではありません。 夫に離婚を切り出された背景には同情しますが子供を殺す理由には絶対ならない。育児負担はあったにしろ、藤井被告本人の未熟さもあったのではないでしょうか」(利香さん) 同じ境遇にある母親たちから同情の声が多いのは、障がい児育児は定型発達児と比較にならないほどの負担や、その将来への不安が大きいことを知ってるからだ。 障がい児育児に疲弊し、困窮する中では、みずから社会や行政に助けを求める声をあげるのが非常に難しくなる。だからこそ障がい児育児も、一般の子育てと同じ、いやそれ以上に家族や社会の協力が必要不可欠になってくる。 10月3日におこなわれた結審でも、藤井被告は裁判官から「夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ」と指摘されていた。司法関係者によると「現状、藤井被告は控訴はしない意向」だという。 取材・文/中西美穂 集英社オンライン編集部ニュース班
「しばらくは寝顔を見ていました。息子と一緒に死にたいけど、どうやって殺そうかと考えていました」 母親である藤井典子被告は、弁護人から「寝ている息子を車内に移動させ、どうしていたのか」という問いにこう答えた。

昨年6月、夫から離婚を切り出され、将来を悲観するなどして母親自らが障がい児の長男・蒼天(そうた)くんを車内で殺害するという痛ましい事件が起こった。 筆者の周囲には重度知的障がい児や重度心身障がい児を育てている母親が多くおり、この事件はそんな筆者らの間でも大いに話題となった。 岡山地方裁判所 「率直に『またか……』という思いですね」 そう話すのは、重度心身障がい児を育てている関西在住の亜矢さん(40代・仮名)だ。 この事件にかぎらず、母親が障がい児の我が子を手にかけるケースは、実は決して珍しいことではない。 2017年には京都で発達障害だった当時3歳の長男を母親が浴槽に沈めて殺害する事件が、2020年にもおなじく京都で重度知的障がいを持つ17歳の長男を母親が刺殺する事件が起こっており、それぞれ懲役4年6ヶ月と、懲役3年執行猶予5年が言い渡されている。 「周囲で同じ境遇の母親と出会うことができず、理解もされず、福祉サービスも整備されていない。そんな孤立の中で障がい児育児を強いられる。その負担は家族はもちろん、特に母親にのしかかる。地方はさらに厳しいでしょう。その環境を知っているからこそ、同情してしまうんです」(亜矢さん) 障がい児だとわかったとたんに夫の態度が変わり… 藤井被告は蒼天くんを授かる前に5度の流産と死産を経験しており、夫から「まわりの友人はみんな子どもがいるのに、俺はいつになったら自分の子どもを抱けるんだ。お前と結婚した俺は不幸だ」「障がい者なんか産んだら許さんけえよ」など、夫から心ない言葉を投げ続けられたという。 その後、夫に離婚を切り出されたことがきっかけで、藤井被告は犯行に及んでいる。 障がい児のいる家庭の離婚率は健常児世帯の6倍といわれており、その原因に夫が自身の子供の障がいを受け入れられないケースは少なからず存在する。 関東在住の利香さん(30代・仮名)は、長男に障がいがあることがわかり、離婚にいたった。 「私の夫も当初は受け入れようと必死でしたが、最終的にはそれが難しいことがわかると家に帰ってこなくなり、離婚を迫られました。それまでは専業主婦でしたが、離婚後は働かざるを得なくなり、福祉関係の仕事をしながら、子どもを育てています」 藤井被告の夫は2歳から育児に関わらなくなり、藤井被告はパートで働きながらひとりで家事、育児を担っていたという。しかし、幼稚園からの幼馴染だった夫と21歳で結婚した当初は幸せだったという話も法廷では語られた。 筆者のインタビューに応じる重度知的障がい児の子どもを持つ母親(※本文の内容とは関係ありません) 「私と一緒ですね。夫は結婚前から子どもの障がいわかるまでは、毎年誕生日に花をくれたりと優しかったですよ。でも子どもが生まれて2歳ぐらいから周囲の子どもと違うなと感じてきたようで。 そこからは徐々に子ども、そして私とも距離を置くようになっていきました。 私も必死に夫との関係を修復しようとしたし、いっそ子どもがいないほうがと思い、施設に預けようかと悩んだことも一度や二度ではありません。 夫に離婚を切り出された背景には同情しますが子供を殺す理由には絶対ならない。育児負担はあったにしろ、藤井被告本人の未熟さもあったのではないでしょうか」(利香さん) 同じ境遇にある母親たちから同情の声が多いのは、障がい児育児は定型発達児と比較にならないほどの負担や、その将来への不安が大きいことを知ってるからだ。 障がい児育児に疲弊し、困窮する中では、みずから社会や行政に助けを求める声をあげるのが非常に難しくなる。だからこそ障がい児育児も、一般の子育てと同じ、いやそれ以上に家族や社会の協力が必要不可欠になってくる。 10月3日におこなわれた結審でも、藤井被告は裁判官から「夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ」と指摘されていた。司法関係者によると「現状、藤井被告は控訴はしない意向」だという。 取材・文/中西美穂 集英社オンライン編集部ニュース班
「しばらくは寝顔を見ていました。息子と一緒に死にたいけど、どうやって殺そうかと考えていました」
母親である藤井典子被告は、弁護人から「寝ている息子を車内に移動させ、どうしていたのか」という問いにこう答えた。

昨年6月、夫から離婚を切り出され、将来を悲観するなどして母親自らが障がい児の長男・蒼天(そうた)くんを車内で殺害するという痛ましい事件が起こった。 筆者の周囲には重度知的障がい児や重度心身障がい児を育てている母親が多くおり、この事件はそんな筆者らの間でも大いに話題となった。 岡山地方裁判所 「率直に『またか……』という思いですね」 そう話すのは、重度心身障がい児を育てている関西在住の亜矢さん(40代・仮名)だ。 この事件にかぎらず、母親が障がい児の我が子を手にかけるケースは、実は決して珍しいことではない。 2017年には京都で発達障害だった当時3歳の長男を母親が浴槽に沈めて殺害する事件が、2020年にもおなじく京都で重度知的障がいを持つ17歳の長男を母親が刺殺する事件が起こっており、それぞれ懲役4年6ヶ月と、懲役3年執行猶予5年が言い渡されている。 「周囲で同じ境遇の母親と出会うことができず、理解もされず、福祉サービスも整備されていない。そんな孤立の中で障がい児育児を強いられる。その負担は家族はもちろん、特に母親にのしかかる。地方はさらに厳しいでしょう。その環境を知っているからこそ、同情してしまうんです」(亜矢さん) 障がい児だとわかったとたんに夫の態度が変わり… 藤井被告は蒼天くんを授かる前に5度の流産と死産を経験しており、夫から「まわりの友人はみんな子どもがいるのに、俺はいつになったら自分の子どもを抱けるんだ。お前と結婚した俺は不幸だ」「障がい者なんか産んだら許さんけえよ」など、夫から心ない言葉を投げ続けられたという。 その後、夫に離婚を切り出されたことがきっかけで、藤井被告は犯行に及んでいる。 障がい児のいる家庭の離婚率は健常児世帯の6倍といわれており、その原因に夫が自身の子供の障がいを受け入れられないケースは少なからず存在する。 関東在住の利香さん(30代・仮名)は、長男に障がいがあることがわかり、離婚にいたった。 「私の夫も当初は受け入れようと必死でしたが、最終的にはそれが難しいことがわかると家に帰ってこなくなり、離婚を迫られました。それまでは専業主婦でしたが、離婚後は働かざるを得なくなり、福祉関係の仕事をしながら、子どもを育てています」 藤井被告の夫は2歳から育児に関わらなくなり、藤井被告はパートで働きながらひとりで家事、育児を担っていたという。しかし、幼稚園からの幼馴染だった夫と21歳で結婚した当初は幸せだったという話も法廷では語られた。 筆者のインタビューに応じる重度知的障がい児の子どもを持つ母親(※本文の内容とは関係ありません) 「私と一緒ですね。夫は結婚前から子どもの障がいわかるまでは、毎年誕生日に花をくれたりと優しかったですよ。でも子どもが生まれて2歳ぐらいから周囲の子どもと違うなと感じてきたようで。 そこからは徐々に子ども、そして私とも距離を置くようになっていきました。 私も必死に夫との関係を修復しようとしたし、いっそ子どもがいないほうがと思い、施設に預けようかと悩んだことも一度や二度ではありません。 夫に離婚を切り出された背景には同情しますが子供を殺す理由には絶対ならない。育児負担はあったにしろ、藤井被告本人の未熟さもあったのではないでしょうか」(利香さん) 同じ境遇にある母親たちから同情の声が多いのは、障がい児育児は定型発達児と比較にならないほどの負担や、その将来への不安が大きいことを知ってるからだ。 障がい児育児に疲弊し、困窮する中では、みずから社会や行政に助けを求める声をあげるのが非常に難しくなる。だからこそ障がい児育児も、一般の子育てと同じ、いやそれ以上に家族や社会の協力が必要不可欠になってくる。 10月3日におこなわれた結審でも、藤井被告は裁判官から「夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ」と指摘されていた。司法関係者によると「現状、藤井被告は控訴はしない意向」だという。 取材・文/中西美穂 集英社オンライン編集部ニュース班
母親である藤井典子被告は、弁護人から「寝ている息子を車内に移動させ、どうしていたのか」という問いにこう答えた。
昨年6月、夫から離婚を切り出され、将来を悲観するなどして母親自らが障がい児の長男・蒼天(そうた)くんを車内で殺害するという痛ましい事件が起こった。 筆者の周囲には重度知的障がい児や重度心身障がい児を育てている母親が多くおり、この事件はそんな筆者らの間でも大いに話題となった。 岡山地方裁判所 「率直に『またか……』という思いですね」 そう話すのは、重度心身障がい児を育てている関西在住の亜矢さん(40代・仮名)だ。 この事件にかぎらず、母親が障がい児の我が子を手にかけるケースは、実は決して珍しいことではない。 2017年には京都で発達障害だった当時3歳の長男を母親が浴槽に沈めて殺害する事件が、2020年にもおなじく京都で重度知的障がいを持つ17歳の長男を母親が刺殺する事件が起こっており、それぞれ懲役4年6ヶ月と、懲役3年執行猶予5年が言い渡されている。 「周囲で同じ境遇の母親と出会うことができず、理解もされず、福祉サービスも整備されていない。そんな孤立の中で障がい児育児を強いられる。その負担は家族はもちろん、特に母親にのしかかる。地方はさらに厳しいでしょう。その環境を知っているからこそ、同情してしまうんです」(亜矢さん) 障がい児だとわかったとたんに夫の態度が変わり… 藤井被告は蒼天くんを授かる前に5度の流産と死産を経験しており、夫から「まわりの友人はみんな子どもがいるのに、俺はいつになったら自分の子どもを抱けるんだ。お前と結婚した俺は不幸だ」「障がい者なんか産んだら許さんけえよ」など、夫から心ない言葉を投げ続けられたという。 その後、夫に離婚を切り出されたことがきっかけで、藤井被告は犯行に及んでいる。 障がい児のいる家庭の離婚率は健常児世帯の6倍といわれており、その原因に夫が自身の子供の障がいを受け入れられないケースは少なからず存在する。 関東在住の利香さん(30代・仮名)は、長男に障がいがあることがわかり、離婚にいたった。 「私の夫も当初は受け入れようと必死でしたが、最終的にはそれが難しいことがわかると家に帰ってこなくなり、離婚を迫られました。それまでは専業主婦でしたが、離婚後は働かざるを得なくなり、福祉関係の仕事をしながら、子どもを育てています」 藤井被告の夫は2歳から育児に関わらなくなり、藤井被告はパートで働きながらひとりで家事、育児を担っていたという。しかし、幼稚園からの幼馴染だった夫と21歳で結婚した当初は幸せだったという話も法廷では語られた。 筆者のインタビューに応じる重度知的障がい児の子どもを持つ母親(※本文の内容とは関係ありません) 「私と一緒ですね。夫は結婚前から子どもの障がいわかるまでは、毎年誕生日に花をくれたりと優しかったですよ。でも子どもが生まれて2歳ぐらいから周囲の子どもと違うなと感じてきたようで。 そこからは徐々に子ども、そして私とも距離を置くようになっていきました。 私も必死に夫との関係を修復しようとしたし、いっそ子どもがいないほうがと思い、施設に預けようかと悩んだことも一度や二度ではありません。 夫に離婚を切り出された背景には同情しますが子供を殺す理由には絶対ならない。育児負担はあったにしろ、藤井被告本人の未熟さもあったのではないでしょうか」(利香さん) 同じ境遇にある母親たちから同情の声が多いのは、障がい児育児は定型発達児と比較にならないほどの負担や、その将来への不安が大きいことを知ってるからだ。 障がい児育児に疲弊し、困窮する中では、みずから社会や行政に助けを求める声をあげるのが非常に難しくなる。だからこそ障がい児育児も、一般の子育てと同じ、いやそれ以上に家族や社会の協力が必要不可欠になってくる。 10月3日におこなわれた結審でも、藤井被告は裁判官から「夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ」と指摘されていた。司法関係者によると「現状、藤井被告は控訴はしない意向」だという。 取材・文/中西美穂 集英社オンライン編集部ニュース班
昨年6月、夫から離婚を切り出され、将来を悲観するなどして母親自らが障がい児の長男・蒼天(そうた)くんを車内で殺害するという痛ましい事件が起こった。
筆者の周囲には重度知的障がい児や重度心身障がい児を育てている母親が多くおり、この事件はそんな筆者らの間でも大いに話題となった。
岡山地方裁判所 「率直に『またか……』という思いですね」 そう話すのは、重度心身障がい児を育てている関西在住の亜矢さん(40代・仮名)だ。 この事件にかぎらず、母親が障がい児の我が子を手にかけるケースは、実は決して珍しいことではない。 2017年には京都で発達障害だった当時3歳の長男を母親が浴槽に沈めて殺害する事件が、2020年にもおなじく京都で重度知的障がいを持つ17歳の長男を母親が刺殺する事件が起こっており、それぞれ懲役4年6ヶ月と、懲役3年執行猶予5年が言い渡されている。 「周囲で同じ境遇の母親と出会うことができず、理解もされず、福祉サービスも整備されていない。そんな孤立の中で障がい児育児を強いられる。その負担は家族はもちろん、特に母親にのしかかる。地方はさらに厳しいでしょう。その環境を知っているからこそ、同情してしまうんです」(亜矢さん) 障がい児だとわかったとたんに夫の態度が変わり… 藤井被告は蒼天くんを授かる前に5度の流産と死産を経験しており、夫から「まわりの友人はみんな子どもがいるのに、俺はいつになったら自分の子どもを抱けるんだ。お前と結婚した俺は不幸だ」「障がい者なんか産んだら許さんけえよ」など、夫から心ない言葉を投げ続けられたという。 その後、夫に離婚を切り出されたことがきっかけで、藤井被告は犯行に及んでいる。 障がい児のいる家庭の離婚率は健常児世帯の6倍といわれており、その原因に夫が自身の子供の障がいを受け入れられないケースは少なからず存在する。 関東在住の利香さん(30代・仮名)は、長男に障がいがあることがわかり、離婚にいたった。 「私の夫も当初は受け入れようと必死でしたが、最終的にはそれが難しいことがわかると家に帰ってこなくなり、離婚を迫られました。それまでは専業主婦でしたが、離婚後は働かざるを得なくなり、福祉関係の仕事をしながら、子どもを育てています」 藤井被告の夫は2歳から育児に関わらなくなり、藤井被告はパートで働きながらひとりで家事、育児を担っていたという。しかし、幼稚園からの幼馴染だった夫と21歳で結婚した当初は幸せだったという話も法廷では語られた。 筆者のインタビューに応じる重度知的障がい児の子どもを持つ母親(※本文の内容とは関係ありません) 「私と一緒ですね。夫は結婚前から子どもの障がいわかるまでは、毎年誕生日に花をくれたりと優しかったですよ。でも子どもが生まれて2歳ぐらいから周囲の子どもと違うなと感じてきたようで。 そこからは徐々に子ども、そして私とも距離を置くようになっていきました。 私も必死に夫との関係を修復しようとしたし、いっそ子どもがいないほうがと思い、施設に預けようかと悩んだことも一度や二度ではありません。 夫に離婚を切り出された背景には同情しますが子供を殺す理由には絶対ならない。育児負担はあったにしろ、藤井被告本人の未熟さもあったのではないでしょうか」(利香さん) 同じ境遇にある母親たちから同情の声が多いのは、障がい児育児は定型発達児と比較にならないほどの負担や、その将来への不安が大きいことを知ってるからだ。 障がい児育児に疲弊し、困窮する中では、みずから社会や行政に助けを求める声をあげるのが非常に難しくなる。だからこそ障がい児育児も、一般の子育てと同じ、いやそれ以上に家族や社会の協力が必要不可欠になってくる。 10月3日におこなわれた結審でも、藤井被告は裁判官から「夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ」と指摘されていた。司法関係者によると「現状、藤井被告は控訴はしない意向」だという。 取材・文/中西美穂 集英社オンライン編集部ニュース班
岡山地方裁判所 「率直に『またか……』という思いですね」 そう話すのは、重度心身障がい児を育てている関西在住の亜矢さん(40代・仮名)だ。 この事件にかぎらず、母親が障がい児の我が子を手にかけるケースは、実は決して珍しいことではない。 2017年には京都で発達障害だった当時3歳の長男を母親が浴槽に沈めて殺害する事件が、2020年にもおなじく京都で重度知的障がいを持つ17歳の長男を母親が刺殺する事件が起こっており、それぞれ懲役4年6ヶ月と、懲役3年執行猶予5年が言い渡されている。 「周囲で同じ境遇の母親と出会うことができず、理解もされず、福祉サービスも整備されていない。そんな孤立の中で障がい児育児を強いられる。その負担は家族はもちろん、特に母親にのしかかる。地方はさらに厳しいでしょう。その環境を知っているからこそ、同情してしまうんです」(亜矢さん) 障がい児だとわかったとたんに夫の態度が変わり… 藤井被告は蒼天くんを授かる前に5度の流産と死産を経験しており、夫から「まわりの友人はみんな子どもがいるのに、俺はいつになったら自分の子どもを抱けるんだ。お前と結婚した俺は不幸だ」「障がい者なんか産んだら許さんけえよ」など、夫から心ない言葉を投げ続けられたという。 その後、夫に離婚を切り出されたことがきっかけで、藤井被告は犯行に及んでいる。 障がい児のいる家庭の離婚率は健常児世帯の6倍といわれており、その原因に夫が自身の子供の障がいを受け入れられないケースは少なからず存在する。 関東在住の利香さん(30代・仮名)は、長男に障がいがあることがわかり、離婚にいたった。 「私の夫も当初は受け入れようと必死でしたが、最終的にはそれが難しいことがわかると家に帰ってこなくなり、離婚を迫られました。それまでは専業主婦でしたが、離婚後は働かざるを得なくなり、福祉関係の仕事をしながら、子どもを育てています」 藤井被告の夫は2歳から育児に関わらなくなり、藤井被告はパートで働きながらひとりで家事、育児を担っていたという。しかし、幼稚園からの幼馴染だった夫と21歳で結婚した当初は幸せだったという話も法廷では語られた。 筆者のインタビューに応じる重度知的障がい児の子どもを持つ母親(※本文の内容とは関係ありません) 「私と一緒ですね。夫は結婚前から子どもの障がいわかるまでは、毎年誕生日に花をくれたりと優しかったですよ。でも子どもが生まれて2歳ぐらいから周囲の子どもと違うなと感じてきたようで。 そこからは徐々に子ども、そして私とも距離を置くようになっていきました。 私も必死に夫との関係を修復しようとしたし、いっそ子どもがいないほうがと思い、施設に預けようかと悩んだことも一度や二度ではありません。 夫に離婚を切り出された背景には同情しますが子供を殺す理由には絶対ならない。育児負担はあったにしろ、藤井被告本人の未熟さもあったのではないでしょうか」(利香さん) 同じ境遇にある母親たちから同情の声が多いのは、障がい児育児は定型発達児と比較にならないほどの負担や、その将来への不安が大きいことを知ってるからだ。 障がい児育児に疲弊し、困窮する中では、みずから社会や行政に助けを求める声をあげるのが非常に難しくなる。だからこそ障がい児育児も、一般の子育てと同じ、いやそれ以上に家族や社会の協力が必要不可欠になってくる。 10月3日におこなわれた結審でも、藤井被告は裁判官から「夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ」と指摘されていた。司法関係者によると「現状、藤井被告は控訴はしない意向」だという。 取材・文/中西美穂 集英社オンライン編集部ニュース班
岡山地方裁判所
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「率直に『またか……』という思いですね」 そう話すのは、重度心身障がい児を育てている関西在住の亜矢さん(40代・仮名)だ。 この事件にかぎらず、母親が障がい児の我が子を手にかけるケースは、実は決して珍しいことではない。 2017年には京都で発達障害だった当時3歳の長男を母親が浴槽に沈めて殺害する事件が、2020年にもおなじく京都で重度知的障がいを持つ17歳の長男を母親が刺殺する事件が起こっており、それぞれ懲役4年6ヶ月と、懲役3年執行猶予5年が言い渡されている。 「周囲で同じ境遇の母親と出会うことができず、理解もされず、福祉サービスも整備されていない。そんな孤立の中で障がい児育児を強いられる。その負担は家族はもちろん、特に母親にのしかかる。地方はさらに厳しいでしょう。その環境を知っているからこそ、同情してしまうんです」(亜矢さん) 障がい児だとわかったとたんに夫の態度が変わり… 藤井被告は蒼天くんを授かる前に5度の流産と死産を経験しており、夫から「まわりの友人はみんな子どもがいるのに、俺はいつになったら自分の子どもを抱けるんだ。お前と結婚した俺は不幸だ」「障がい者なんか産んだら許さんけえよ」など、夫から心ない言葉を投げ続けられたという。 その後、夫に離婚を切り出されたことがきっかけで、藤井被告は犯行に及んでいる。 障がい児のいる家庭の離婚率は健常児世帯の6倍といわれており、その原因に夫が自身の子供の障がいを受け入れられないケースは少なからず存在する。 関東在住の利香さん(30代・仮名)は、長男に障がいがあることがわかり、離婚にいたった。 「私の夫も当初は受け入れようと必死でしたが、最終的にはそれが難しいことがわかると家に帰ってこなくなり、離婚を迫られました。それまでは専業主婦でしたが、離婚後は働かざるを得なくなり、福祉関係の仕事をしながら、子どもを育てています」 藤井被告の夫は2歳から育児に関わらなくなり、藤井被告はパートで働きながらひとりで家事、育児を担っていたという。しかし、幼稚園からの幼馴染だった夫と21歳で結婚した当初は幸せだったという話も法廷では語られた。 筆者のインタビューに応じる重度知的障がい児の子どもを持つ母親(※本文の内容とは関係ありません) 「私と一緒ですね。夫は結婚前から子どもの障がいわかるまでは、毎年誕生日に花をくれたりと優しかったですよ。でも子どもが生まれて2歳ぐらいから周囲の子どもと違うなと感じてきたようで。 そこからは徐々に子ども、そして私とも距離を置くようになっていきました。 私も必死に夫との関係を修復しようとしたし、いっそ子どもがいないほうがと思い、施設に預けようかと悩んだことも一度や二度ではありません。 夫に離婚を切り出された背景には同情しますが子供を殺す理由には絶対ならない。育児負担はあったにしろ、藤井被告本人の未熟さもあったのではないでしょうか」(利香さん) 同じ境遇にある母親たちから同情の声が多いのは、障がい児育児は定型発達児と比較にならないほどの負担や、その将来への不安が大きいことを知ってるからだ。 障がい児育児に疲弊し、困窮する中では、みずから社会や行政に助けを求める声をあげるのが非常に難しくなる。だからこそ障がい児育児も、一般の子育てと同じ、いやそれ以上に家族や社会の協力が必要不可欠になってくる。 10月3日におこなわれた結審でも、藤井被告は裁判官から「夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ」と指摘されていた。司法関係者によると「現状、藤井被告は控訴はしない意向」だという。 取材・文/中西美穂 集英社オンライン編集部ニュース班
「率直に『またか……』という思いですね」
そう話すのは、重度心身障がい児を育てている関西在住の亜矢さん(40代・仮名)だ。 この事件にかぎらず、母親が障がい児の我が子を手にかけるケースは、実は決して珍しいことではない。 2017年には京都で発達障害だった当時3歳の長男を母親が浴槽に沈めて殺害する事件が、2020年にもおなじく京都で重度知的障がいを持つ17歳の長男を母親が刺殺する事件が起こっており、それぞれ懲役4年6ヶ月と、懲役3年執行猶予5年が言い渡されている。 「周囲で同じ境遇の母親と出会うことができず、理解もされず、福祉サービスも整備されていない。そんな孤立の中で障がい児育児を強いられる。その負担は家族はもちろん、特に母親にのしかかる。地方はさらに厳しいでしょう。その環境を知っているからこそ、同情してしまうんです」(亜矢さん) 障がい児だとわかったとたんに夫の態度が変わり… 藤井被告は蒼天くんを授かる前に5度の流産と死産を経験しており、夫から「まわりの友人はみんな子どもがいるのに、俺はいつになったら自分の子どもを抱けるんだ。お前と結婚した俺は不幸だ」「障がい者なんか産んだら許さんけえよ」など、夫から心ない言葉を投げ続けられたという。 その後、夫に離婚を切り出されたことがきっかけで、藤井被告は犯行に及んでいる。 障がい児のいる家庭の離婚率は健常児世帯の6倍といわれており、その原因に夫が自身の子供の障がいを受け入れられないケースは少なからず存在する。 関東在住の利香さん(30代・仮名)は、長男に障がいがあることがわかり、離婚にいたった。 「私の夫も当初は受け入れようと必死でしたが、最終的にはそれが難しいことがわかると家に帰ってこなくなり、離婚を迫られました。それまでは専業主婦でしたが、離婚後は働かざるを得なくなり、福祉関係の仕事をしながら、子どもを育てています」 藤井被告の夫は2歳から育児に関わらなくなり、藤井被告はパートで働きながらひとりで家事、育児を担っていたという。しかし、幼稚園からの幼馴染だった夫と21歳で結婚した当初は幸せだったという話も法廷では語られた。 筆者のインタビューに応じる重度知的障がい児の子どもを持つ母親(※本文の内容とは関係ありません) 「私と一緒ですね。夫は結婚前から子どもの障がいわかるまでは、毎年誕生日に花をくれたりと優しかったですよ。でも子どもが生まれて2歳ぐらいから周囲の子どもと違うなと感じてきたようで。 そこからは徐々に子ども、そして私とも距離を置くようになっていきました。 私も必死に夫との関係を修復しようとしたし、いっそ子どもがいないほうがと思い、施設に預けようかと悩んだことも一度や二度ではありません。 夫に離婚を切り出された背景には同情しますが子供を殺す理由には絶対ならない。育児負担はあったにしろ、藤井被告本人の未熟さもあったのではないでしょうか」(利香さん) 同じ境遇にある母親たちから同情の声が多いのは、障がい児育児は定型発達児と比較にならないほどの負担や、その将来への不安が大きいことを知ってるからだ。 障がい児育児に疲弊し、困窮する中では、みずから社会や行政に助けを求める声をあげるのが非常に難しくなる。だからこそ障がい児育児も、一般の子育てと同じ、いやそれ以上に家族や社会の協力が必要不可欠になってくる。 10月3日におこなわれた結審でも、藤井被告は裁判官から「夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ」と指摘されていた。司法関係者によると「現状、藤井被告は控訴はしない意向」だという。 取材・文/中西美穂 集英社オンライン編集部ニュース班
そう話すのは、重度心身障がい児を育てている関西在住の亜矢さん(40代・仮名)だ。
この事件にかぎらず、母親が障がい児の我が子を手にかけるケースは、実は決して珍しいことではない。
2017年には京都で発達障害だった当時3歳の長男を母親が浴槽に沈めて殺害する事件が、2020年にもおなじく京都で重度知的障がいを持つ17歳の長男を母親が刺殺する事件が起こっており、それぞれ懲役4年6ヶ月と、懲役3年執行猶予5年が言い渡されている。
「周囲で同じ境遇の母親と出会うことができず、理解もされず、福祉サービスも整備されていない。そんな孤立の中で障がい児育児を強いられる。その負担は家族はもちろん、特に母親にのしかかる。地方はさらに厳しいでしょう。その環境を知っているからこそ、同情してしまうんです」(亜矢さん) 障がい児だとわかったとたんに夫の態度が変わり… 藤井被告は蒼天くんを授かる前に5度の流産と死産を経験しており、夫から「まわりの友人はみんな子どもがいるのに、俺はいつになったら自分の子どもを抱けるんだ。お前と結婚した俺は不幸だ」「障がい者なんか産んだら許さんけえよ」など、夫から心ない言葉を投げ続けられたという。 その後、夫に離婚を切り出されたことがきっかけで、藤井被告は犯行に及んでいる。 障がい児のいる家庭の離婚率は健常児世帯の6倍といわれており、その原因に夫が自身の子供の障がいを受け入れられないケースは少なからず存在する。 関東在住の利香さん(30代・仮名)は、長男に障がいがあることがわかり、離婚にいたった。 「私の夫も当初は受け入れようと必死でしたが、最終的にはそれが難しいことがわかると家に帰ってこなくなり、離婚を迫られました。それまでは専業主婦でしたが、離婚後は働かざるを得なくなり、福祉関係の仕事をしながら、子どもを育てています」 藤井被告の夫は2歳から育児に関わらなくなり、藤井被告はパートで働きながらひとりで家事、育児を担っていたという。しかし、幼稚園からの幼馴染だった夫と21歳で結婚した当初は幸せだったという話も法廷では語られた。 筆者のインタビューに応じる重度知的障がい児の子どもを持つ母親(※本文の内容とは関係ありません) 「私と一緒ですね。夫は結婚前から子どもの障がいわかるまでは、毎年誕生日に花をくれたりと優しかったですよ。でも子どもが生まれて2歳ぐらいから周囲の子どもと違うなと感じてきたようで。 そこからは徐々に子ども、そして私とも距離を置くようになっていきました。 私も必死に夫との関係を修復しようとしたし、いっそ子どもがいないほうがと思い、施設に預けようかと悩んだことも一度や二度ではありません。 夫に離婚を切り出された背景には同情しますが子供を殺す理由には絶対ならない。育児負担はあったにしろ、藤井被告本人の未熟さもあったのではないでしょうか」(利香さん) 同じ境遇にある母親たちから同情の声が多いのは、障がい児育児は定型発達児と比較にならないほどの負担や、その将来への不安が大きいことを知ってるからだ。 障がい児育児に疲弊し、困窮する中では、みずから社会や行政に助けを求める声をあげるのが非常に難しくなる。だからこそ障がい児育児も、一般の子育てと同じ、いやそれ以上に家族や社会の協力が必要不可欠になってくる。 10月3日におこなわれた結審でも、藤井被告は裁判官から「夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ」と指摘されていた。司法関係者によると「現状、藤井被告は控訴はしない意向」だという。 取材・文/中西美穂 集英社オンライン編集部ニュース班
「周囲で同じ境遇の母親と出会うことができず、理解もされず、福祉サービスも整備されていない。そんな孤立の中で障がい児育児を強いられる。その負担は家族はもちろん、特に母親にのしかかる。地方はさらに厳しいでしょう。その環境を知っているからこそ、同情してしまうんです」(亜矢さん)
障がい児だとわかったとたんに夫の態度が変わり… 藤井被告は蒼天くんを授かる前に5度の流産と死産を経験しており、夫から「まわりの友人はみんな子どもがいるのに、俺はいつになったら自分の子どもを抱けるんだ。お前と結婚した俺は不幸だ」「障がい者なんか産んだら許さんけえよ」など、夫から心ない言葉を投げ続けられたという。 その後、夫に離婚を切り出されたことがきっかけで、藤井被告は犯行に及んでいる。 障がい児のいる家庭の離婚率は健常児世帯の6倍といわれており、その原因に夫が自身の子供の障がいを受け入れられないケースは少なからず存在する。 関東在住の利香さん(30代・仮名)は、長男に障がいがあることがわかり、離婚にいたった。 「私の夫も当初は受け入れようと必死でしたが、最終的にはそれが難しいことがわかると家に帰ってこなくなり、離婚を迫られました。それまでは専業主婦でしたが、離婚後は働かざるを得なくなり、福祉関係の仕事をしながら、子どもを育てています」 藤井被告の夫は2歳から育児に関わらなくなり、藤井被告はパートで働きながらひとりで家事、育児を担っていたという。しかし、幼稚園からの幼馴染だった夫と21歳で結婚した当初は幸せだったという話も法廷では語られた。 筆者のインタビューに応じる重度知的障がい児の子どもを持つ母親(※本文の内容とは関係ありません) 「私と一緒ですね。夫は結婚前から子どもの障がいわかるまでは、毎年誕生日に花をくれたりと優しかったですよ。でも子どもが生まれて2歳ぐらいから周囲の子どもと違うなと感じてきたようで。 そこからは徐々に子ども、そして私とも距離を置くようになっていきました。 私も必死に夫との関係を修復しようとしたし、いっそ子どもがいないほうがと思い、施設に預けようかと悩んだことも一度や二度ではありません。 夫に離婚を切り出された背景には同情しますが子供を殺す理由には絶対ならない。育児負担はあったにしろ、藤井被告本人の未熟さもあったのではないでしょうか」(利香さん) 同じ境遇にある母親たちから同情の声が多いのは、障がい児育児は定型発達児と比較にならないほどの負担や、その将来への不安が大きいことを知ってるからだ。 障がい児育児に疲弊し、困窮する中では、みずから社会や行政に助けを求める声をあげるのが非常に難しくなる。だからこそ障がい児育児も、一般の子育てと同じ、いやそれ以上に家族や社会の協力が必要不可欠になってくる。 10月3日におこなわれた結審でも、藤井被告は裁判官から「夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ」と指摘されていた。司法関係者によると「現状、藤井被告は控訴はしない意向」だという。 取材・文/中西美穂 集英社オンライン編集部ニュース班
障がい児だとわかったとたんに夫の態度が変わり… 藤井被告は蒼天くんを授かる前に5度の流産と死産を経験しており、夫から「まわりの友人はみんな子どもがいるのに、俺はいつになったら自分の子どもを抱けるんだ。お前と結婚した俺は不幸だ」「障がい者なんか産んだら許さんけえよ」など、夫から心ない言葉を投げ続けられたという。 その後、夫に離婚を切り出されたことがきっかけで、藤井被告は犯行に及んでいる。 障がい児のいる家庭の離婚率は健常児世帯の6倍といわれており、その原因に夫が自身の子供の障がいを受け入れられないケースは少なからず存在する。 関東在住の利香さん(30代・仮名)は、長男に障がいがあることがわかり、離婚にいたった。 「私の夫も当初は受け入れようと必死でしたが、最終的にはそれが難しいことがわかると家に帰ってこなくなり、離婚を迫られました。それまでは専業主婦でしたが、離婚後は働かざるを得なくなり、福祉関係の仕事をしながら、子どもを育てています」 藤井被告の夫は2歳から育児に関わらなくなり、藤井被告はパートで働きながらひとりで家事、育児を担っていたという。しかし、幼稚園からの幼馴染だった夫と21歳で結婚した当初は幸せだったという話も法廷では語られた。 筆者のインタビューに応じる重度知的障がい児の子どもを持つ母親(※本文の内容とは関係ありません) 「私と一緒ですね。夫は結婚前から子どもの障がいわかるまでは、毎年誕生日に花をくれたりと優しかったですよ。でも子どもが生まれて2歳ぐらいから周囲の子どもと違うなと感じてきたようで。 そこからは徐々に子ども、そして私とも距離を置くようになっていきました。 私も必死に夫との関係を修復しようとしたし、いっそ子どもがいないほうがと思い、施設に預けようかと悩んだことも一度や二度ではありません。 夫に離婚を切り出された背景には同情しますが子供を殺す理由には絶対ならない。育児負担はあったにしろ、藤井被告本人の未熟さもあったのではないでしょうか」(利香さん) 同じ境遇にある母親たちから同情の声が多いのは、障がい児育児は定型発達児と比較にならないほどの負担や、その将来への不安が大きいことを知ってるからだ。 障がい児育児に疲弊し、困窮する中では、みずから社会や行政に助けを求める声をあげるのが非常に難しくなる。だからこそ障がい児育児も、一般の子育てと同じ、いやそれ以上に家族や社会の協力が必要不可欠になってくる。 10月3日におこなわれた結審でも、藤井被告は裁判官から「夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ」と指摘されていた。司法関係者によると「現状、藤井被告は控訴はしない意向」だという。 取材・文/中西美穂 集英社オンライン編集部ニュース班
藤井被告は蒼天くんを授かる前に5度の流産と死産を経験しており、夫から「まわりの友人はみんな子どもがいるのに、俺はいつになったら自分の子どもを抱けるんだ。お前と結婚した俺は不幸だ」「障がい者なんか産んだら許さんけえよ」など、夫から心ない言葉を投げ続けられたという。 その後、夫に離婚を切り出されたことがきっかけで、藤井被告は犯行に及んでいる。 障がい児のいる家庭の離婚率は健常児世帯の6倍といわれており、その原因に夫が自身の子供の障がいを受け入れられないケースは少なからず存在する。 関東在住の利香さん(30代・仮名)は、長男に障がいがあることがわかり、離婚にいたった。 「私の夫も当初は受け入れようと必死でしたが、最終的にはそれが難しいことがわかると家に帰ってこなくなり、離婚を迫られました。それまでは専業主婦でしたが、離婚後は働かざるを得なくなり、福祉関係の仕事をしながら、子どもを育てています」 藤井被告の夫は2歳から育児に関わらなくなり、藤井被告はパートで働きながらひとりで家事、育児を担っていたという。しかし、幼稚園からの幼馴染だった夫と21歳で結婚した当初は幸せだったという話も法廷では語られた。 筆者のインタビューに応じる重度知的障がい児の子どもを持つ母親(※本文の内容とは関係ありません) 「私と一緒ですね。夫は結婚前から子どもの障がいわかるまでは、毎年誕生日に花をくれたりと優しかったですよ。でも子どもが生まれて2歳ぐらいから周囲の子どもと違うなと感じてきたようで。 そこからは徐々に子ども、そして私とも距離を置くようになっていきました。 私も必死に夫との関係を修復しようとしたし、いっそ子どもがいないほうがと思い、施設に預けようかと悩んだことも一度や二度ではありません。 夫に離婚を切り出された背景には同情しますが子供を殺す理由には絶対ならない。育児負担はあったにしろ、藤井被告本人の未熟さもあったのではないでしょうか」(利香さん) 同じ境遇にある母親たちから同情の声が多いのは、障がい児育児は定型発達児と比較にならないほどの負担や、その将来への不安が大きいことを知ってるからだ。 障がい児育児に疲弊し、困窮する中では、みずから社会や行政に助けを求める声をあげるのが非常に難しくなる。だからこそ障がい児育児も、一般の子育てと同じ、いやそれ以上に家族や社会の協力が必要不可欠になってくる。 10月3日におこなわれた結審でも、藤井被告は裁判官から「夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ」と指摘されていた。司法関係者によると「現状、藤井被告は控訴はしない意向」だという。 取材・文/中西美穂 集英社オンライン編集部ニュース班
藤井被告は蒼天くんを授かる前に5度の流産と死産を経験しており、夫から「まわりの友人はみんな子どもがいるのに、俺はいつになったら自分の子どもを抱けるんだ。お前と結婚した俺は不幸だ」「障がい者なんか産んだら許さんけえよ」など、夫から心ない言葉を投げ続けられたという。
その後、夫に離婚を切り出されたことがきっかけで、藤井被告は犯行に及んでいる。 障がい児のいる家庭の離婚率は健常児世帯の6倍といわれており、その原因に夫が自身の子供の障がいを受け入れられないケースは少なからず存在する。 関東在住の利香さん(30代・仮名)は、長男に障がいがあることがわかり、離婚にいたった。 「私の夫も当初は受け入れようと必死でしたが、最終的にはそれが難しいことがわかると家に帰ってこなくなり、離婚を迫られました。それまでは専業主婦でしたが、離婚後は働かざるを得なくなり、福祉関係の仕事をしながら、子どもを育てています」 藤井被告の夫は2歳から育児に関わらなくなり、藤井被告はパートで働きながらひとりで家事、育児を担っていたという。しかし、幼稚園からの幼馴染だった夫と21歳で結婚した当初は幸せだったという話も法廷では語られた。 筆者のインタビューに応じる重度知的障がい児の子どもを持つ母親(※本文の内容とは関係ありません) 「私と一緒ですね。夫は結婚前から子どもの障がいわかるまでは、毎年誕生日に花をくれたりと優しかったですよ。でも子どもが生まれて2歳ぐらいから周囲の子どもと違うなと感じてきたようで。 そこからは徐々に子ども、そして私とも距離を置くようになっていきました。 私も必死に夫との関係を修復しようとしたし、いっそ子どもがいないほうがと思い、施設に預けようかと悩んだことも一度や二度ではありません。 夫に離婚を切り出された背景には同情しますが子供を殺す理由には絶対ならない。育児負担はあったにしろ、藤井被告本人の未熟さもあったのではないでしょうか」(利香さん) 同じ境遇にある母親たちから同情の声が多いのは、障がい児育児は定型発達児と比較にならないほどの負担や、その将来への不安が大きいことを知ってるからだ。 障がい児育児に疲弊し、困窮する中では、みずから社会や行政に助けを求める声をあげるのが非常に難しくなる。だからこそ障がい児育児も、一般の子育てと同じ、いやそれ以上に家族や社会の協力が必要不可欠になってくる。 10月3日におこなわれた結審でも、藤井被告は裁判官から「夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ」と指摘されていた。司法関係者によると「現状、藤井被告は控訴はしない意向」だという。 取材・文/中西美穂 集英社オンライン編集部ニュース班
その後、夫に離婚を切り出されたことがきっかけで、藤井被告は犯行に及んでいる。
障がい児のいる家庭の離婚率は健常児世帯の6倍といわれており、その原因に夫が自身の子供の障がいを受け入れられないケースは少なからず存在する。
関東在住の利香さん(30代・仮名)は、長男に障がいがあることがわかり、離婚にいたった。 「私の夫も当初は受け入れようと必死でしたが、最終的にはそれが難しいことがわかると家に帰ってこなくなり、離婚を迫られました。それまでは専業主婦でしたが、離婚後は働かざるを得なくなり、福祉関係の仕事をしながら、子どもを育てています」 藤井被告の夫は2歳から育児に関わらなくなり、藤井被告はパートで働きながらひとりで家事、育児を担っていたという。しかし、幼稚園からの幼馴染だった夫と21歳で結婚した当初は幸せだったという話も法廷では語られた。 筆者のインタビューに応じる重度知的障がい児の子どもを持つ母親(※本文の内容とは関係ありません) 「私と一緒ですね。夫は結婚前から子どもの障がいわかるまでは、毎年誕生日に花をくれたりと優しかったですよ。でも子どもが生まれて2歳ぐらいから周囲の子どもと違うなと感じてきたようで。 そこからは徐々に子ども、そして私とも距離を置くようになっていきました。 私も必死に夫との関係を修復しようとしたし、いっそ子どもがいないほうがと思い、施設に預けようかと悩んだことも一度や二度ではありません。 夫に離婚を切り出された背景には同情しますが子供を殺す理由には絶対ならない。育児負担はあったにしろ、藤井被告本人の未熟さもあったのではないでしょうか」(利香さん) 同じ境遇にある母親たちから同情の声が多いのは、障がい児育児は定型発達児と比較にならないほどの負担や、その将来への不安が大きいことを知ってるからだ。 障がい児育児に疲弊し、困窮する中では、みずから社会や行政に助けを求める声をあげるのが非常に難しくなる。だからこそ障がい児育児も、一般の子育てと同じ、いやそれ以上に家族や社会の協力が必要不可欠になってくる。 10月3日におこなわれた結審でも、藤井被告は裁判官から「夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ」と指摘されていた。司法関係者によると「現状、藤井被告は控訴はしない意向」だという。 取材・文/中西美穂 集英社オンライン編集部ニュース班
関東在住の利香さん(30代・仮名)は、長男に障がいがあることがわかり、離婚にいたった。
「私の夫も当初は受け入れようと必死でしたが、最終的にはそれが難しいことがわかると家に帰ってこなくなり、離婚を迫られました。それまでは専業主婦でしたが、離婚後は働かざるを得なくなり、福祉関係の仕事をしながら、子どもを育てています」 藤井被告の夫は2歳から育児に関わらなくなり、藤井被告はパートで働きながらひとりで家事、育児を担っていたという。しかし、幼稚園からの幼馴染だった夫と21歳で結婚した当初は幸せだったという話も法廷では語られた。 筆者のインタビューに応じる重度知的障がい児の子どもを持つ母親(※本文の内容とは関係ありません) 「私と一緒ですね。夫は結婚前から子どもの障がいわかるまでは、毎年誕生日に花をくれたりと優しかったですよ。でも子どもが生まれて2歳ぐらいから周囲の子どもと違うなと感じてきたようで。 そこからは徐々に子ども、そして私とも距離を置くようになっていきました。 私も必死に夫との関係を修復しようとしたし、いっそ子どもがいないほうがと思い、施設に預けようかと悩んだことも一度や二度ではありません。 夫に離婚を切り出された背景には同情しますが子供を殺す理由には絶対ならない。育児負担はあったにしろ、藤井被告本人の未熟さもあったのではないでしょうか」(利香さん) 同じ境遇にある母親たちから同情の声が多いのは、障がい児育児は定型発達児と比較にならないほどの負担や、その将来への不安が大きいことを知ってるからだ。 障がい児育児に疲弊し、困窮する中では、みずから社会や行政に助けを求める声をあげるのが非常に難しくなる。だからこそ障がい児育児も、一般の子育てと同じ、いやそれ以上に家族や社会の協力が必要不可欠になってくる。 10月3日におこなわれた結審でも、藤井被告は裁判官から「夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ」と指摘されていた。司法関係者によると「現状、藤井被告は控訴はしない意向」だという。 取材・文/中西美穂 集英社オンライン編集部ニュース班
「私の夫も当初は受け入れようと必死でしたが、最終的にはそれが難しいことがわかると家に帰ってこなくなり、離婚を迫られました。それまでは専業主婦でしたが、離婚後は働かざるを得なくなり、福祉関係の仕事をしながら、子どもを育てています」
藤井被告の夫は2歳から育児に関わらなくなり、藤井被告はパートで働きながらひとりで家事、育児を担っていたという。しかし、幼稚園からの幼馴染だった夫と21歳で結婚した当初は幸せだったという話も法廷では語られた。 筆者のインタビューに応じる重度知的障がい児の子どもを持つ母親(※本文の内容とは関係ありません) 「私と一緒ですね。夫は結婚前から子どもの障がいわかるまでは、毎年誕生日に花をくれたりと優しかったですよ。でも子どもが生まれて2歳ぐらいから周囲の子どもと違うなと感じてきたようで。 そこからは徐々に子ども、そして私とも距離を置くようになっていきました。 私も必死に夫との関係を修復しようとしたし、いっそ子どもがいないほうがと思い、施設に預けようかと悩んだことも一度や二度ではありません。 夫に離婚を切り出された背景には同情しますが子供を殺す理由には絶対ならない。育児負担はあったにしろ、藤井被告本人の未熟さもあったのではないでしょうか」(利香さん) 同じ境遇にある母親たちから同情の声が多いのは、障がい児育児は定型発達児と比較にならないほどの負担や、その将来への不安が大きいことを知ってるからだ。 障がい児育児に疲弊し、困窮する中では、みずから社会や行政に助けを求める声をあげるのが非常に難しくなる。だからこそ障がい児育児も、一般の子育てと同じ、いやそれ以上に家族や社会の協力が必要不可欠になってくる。 10月3日におこなわれた結審でも、藤井被告は裁判官から「夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ」と指摘されていた。司法関係者によると「現状、藤井被告は控訴はしない意向」だという。 取材・文/中西美穂 集英社オンライン編集部ニュース班
藤井被告の夫は2歳から育児に関わらなくなり、藤井被告はパートで働きながらひとりで家事、育児を担っていたという。しかし、幼稚園からの幼馴染だった夫と21歳で結婚した当初は幸せだったという話も法廷では語られた。
筆者のインタビューに応じる重度知的障がい児の子どもを持つ母親(※本文の内容とは関係ありません) 「私と一緒ですね。夫は結婚前から子どもの障がいわかるまでは、毎年誕生日に花をくれたりと優しかったですよ。でも子どもが生まれて2歳ぐらいから周囲の子どもと違うなと感じてきたようで。 そこからは徐々に子ども、そして私とも距離を置くようになっていきました。 私も必死に夫との関係を修復しようとしたし、いっそ子どもがいないほうがと思い、施設に預けようかと悩んだことも一度や二度ではありません。 夫に離婚を切り出された背景には同情しますが子供を殺す理由には絶対ならない。育児負担はあったにしろ、藤井被告本人の未熟さもあったのではないでしょうか」(利香さん) 同じ境遇にある母親たちから同情の声が多いのは、障がい児育児は定型発達児と比較にならないほどの負担や、その将来への不安が大きいことを知ってるからだ。 障がい児育児に疲弊し、困窮する中では、みずから社会や行政に助けを求める声をあげるのが非常に難しくなる。だからこそ障がい児育児も、一般の子育てと同じ、いやそれ以上に家族や社会の協力が必要不可欠になってくる。 10月3日におこなわれた結審でも、藤井被告は裁判官から「夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ」と指摘されていた。司法関係者によると「現状、藤井被告は控訴はしない意向」だという。 取材・文/中西美穂 集英社オンライン編集部ニュース班
筆者のインタビューに応じる重度知的障がい児の子どもを持つ母親(※本文の内容とは関係ありません) 「私と一緒ですね。夫は結婚前から子どもの障がいわかるまでは、毎年誕生日に花をくれたりと優しかったですよ。でも子どもが生まれて2歳ぐらいから周囲の子どもと違うなと感じてきたようで。 そこからは徐々に子ども、そして私とも距離を置くようになっていきました。 私も必死に夫との関係を修復しようとしたし、いっそ子どもがいないほうがと思い、施設に預けようかと悩んだことも一度や二度ではありません。 夫に離婚を切り出された背景には同情しますが子供を殺す理由には絶対ならない。育児負担はあったにしろ、藤井被告本人の未熟さもあったのではないでしょうか」(利香さん) 同じ境遇にある母親たちから同情の声が多いのは、障がい児育児は定型発達児と比較にならないほどの負担や、その将来への不安が大きいことを知ってるからだ。 障がい児育児に疲弊し、困窮する中では、みずから社会や行政に助けを求める声をあげるのが非常に難しくなる。だからこそ障がい児育児も、一般の子育てと同じ、いやそれ以上に家族や社会の協力が必要不可欠になってくる。 10月3日におこなわれた結審でも、藤井被告は裁判官から「夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ」と指摘されていた。司法関係者によると「現状、藤井被告は控訴はしない意向」だという。 取材・文/中西美穂 集英社オンライン編集部ニュース班
筆者のインタビューに応じる重度知的障がい児の子どもを持つ母親(※本文の内容とは関係ありません)
筆者のインタビューに応じる重度知的障がい児の子どもを持つ母親(※本文の内容とは関係ありません)

「私と一緒ですね。夫は結婚前から子どもの障がいわかるまでは、毎年誕生日に花をくれたりと優しかったですよ。でも子どもが生まれて2歳ぐらいから周囲の子どもと違うなと感じてきたようで。 そこからは徐々に子ども、そして私とも距離を置くようになっていきました。 私も必死に夫との関係を修復しようとしたし、いっそ子どもがいないほうがと思い、施設に預けようかと悩んだことも一度や二度ではありません。 夫に離婚を切り出された背景には同情しますが子供を殺す理由には絶対ならない。育児負担はあったにしろ、藤井被告本人の未熟さもあったのではないでしょうか」(利香さん) 同じ境遇にある母親たちから同情の声が多いのは、障がい児育児は定型発達児と比較にならないほどの負担や、その将来への不安が大きいことを知ってるからだ。 障がい児育児に疲弊し、困窮する中では、みずから社会や行政に助けを求める声をあげるのが非常に難しくなる。だからこそ障がい児育児も、一般の子育てと同じ、いやそれ以上に家族や社会の協力が必要不可欠になってくる。 10月3日におこなわれた結審でも、藤井被告は裁判官から「夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ」と指摘されていた。司法関係者によると「現状、藤井被告は控訴はしない意向」だという。 取材・文/中西美穂 集英社オンライン編集部ニュース班
「私と一緒ですね。夫は結婚前から子どもの障がいわかるまでは、毎年誕生日に花をくれたりと優しかったですよ。でも子どもが生まれて2歳ぐらいから周囲の子どもと違うなと感じてきたようで。
そこからは徐々に子ども、そして私とも距離を置くようになっていきました。
私も必死に夫との関係を修復しようとしたし、いっそ子どもがいないほうがと思い、施設に預けようかと悩んだことも一度や二度ではありません。
夫に離婚を切り出された背景には同情しますが子供を殺す理由には絶対ならない。育児負担はあったにしろ、藤井被告本人の未熟さもあったのではないでしょうか」(利香さん)
同じ境遇にある母親たちから同情の声が多いのは、障がい児育児は定型発達児と比較にならないほどの負担や、その将来への不安が大きいことを知ってるからだ。 障がい児育児に疲弊し、困窮する中では、みずから社会や行政に助けを求める声をあげるのが非常に難しくなる。だからこそ障がい児育児も、一般の子育てと同じ、いやそれ以上に家族や社会の協力が必要不可欠になってくる。 10月3日におこなわれた結審でも、藤井被告は裁判官から「夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ」と指摘されていた。司法関係者によると「現状、藤井被告は控訴はしない意向」だという。 取材・文/中西美穂 集英社オンライン編集部ニュース班
同じ境遇にある母親たちから同情の声が多いのは、障がい児育児は定型発達児と比較にならないほどの負担や、その将来への不安が大きいことを知ってるからだ。
障がい児育児に疲弊し、困窮する中では、みずから社会や行政に助けを求める声をあげるのが非常に難しくなる。だからこそ障がい児育児も、一般の子育てと同じ、いやそれ以上に家族や社会の協力が必要不可欠になってくる。 10月3日におこなわれた結審でも、藤井被告は裁判官から「夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ」と指摘されていた。司法関係者によると「現状、藤井被告は控訴はしない意向」だという。 取材・文/中西美穂 集英社オンライン編集部ニュース班
障がい児育児に疲弊し、困窮する中では、みずから社会や行政に助けを求める声をあげるのが非常に難しくなる。だからこそ障がい児育児も、一般の子育てと同じ、いやそれ以上に家族や社会の協力が必要不可欠になってくる。
10月3日におこなわれた結審でも、藤井被告は裁判官から「夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ」と指摘されていた。司法関係者によると「現状、藤井被告は控訴はしない意向」だという。 取材・文/中西美穂 集英社オンライン編集部ニュース班
10月3日におこなわれた結審でも、藤井被告は裁判官から「夫との間で解決すべき問題に息子を巻きこんだ」と指摘されていた。司法関係者によると「現状、藤井被告は控訴はしない意向」だという。
取材・文/中西美穂 集英社オンライン編集部ニュース班
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