練馬区役所(写真:YUTAKA/アフロ)
10月4日、東京都練馬区は、2021~2023年の夏の職員のボーナスに課される源泉所得税の納付ミスにより、約3700万円の追徴課税が生じたと発表。当時、支出を管理する立場にあった40代課長と60代の元管理職(退職済み)の2人に、全額の損害賠償を求める方針を示した。
6月支給分のボーナスへの源泉所得税は7月10日までに納付する必要があるが、担当職員が誤って8月10日に納付していた。9月に税務署から指摘を受けて発覚。区がさかのぼって調査したところ、2021年分から同様のミスがあったことがわかったという。
担当者が、銀行の事務処理方法が変更された際に、納付期限を勘違いしたことが原因。区は今後、監査委員に諮ったうえで、正式に賠償請求する。2人は、公務員がミスをした際に生じる損害を補償する保険に個人で加入しているという。
地方自治法では、「故意」か「重大な過失」により役所に損害を与えた場合、職員に損害賠償を請求できると規定している。「重大な過失」に当たるかどうかの判断は、自治体の裁量に委ねられている。
「神奈川県川崎市は、5月に市立小学校のプールの水を出しっぱなしにしたとして、男性教諭と校長に損害額の半分にあたる95万円の賠償を請求。9月15日に2人が自腹で全額を支払いましたが、『個人に支払わせるのはかわいそう』といった批判が殺到しました。
一方で、9月には、宮城県富谷市のプールでやはり水を出しっぱなしにして204万円の損害が出ましたが、市は賠償請求しませんでした。
宮城県では、2022年夏、仙台市で源泉所得税の納付遅れで約5000万円の追徴課税が発生したものの、こちらも『重過失とまではいえない』として賠償請求していません。
ただ、その後、市民オンブスマンが市長に対し、担当職員らに約1500万円請求すべきだとして提訴しています」(政治担当記者)
自治体職員への損害賠償請求が相次ぐ状況に対し、SNSでは危機感が広がっている。
《行政機関が追徴課税されるというあってはならないミスなのはわかるけど、これだけの賠償請求されたら、今の管理職の給与水準では全然割に合わないし、管理職になりたい人なんていなくなるだろうな》
《住民からの個人求償を想定して既に公務員賠償責任保険入っていますが、まさか職場から求償される日常がやって来るとは思いませんでした。この流れ、誰か止めてくれ~》
《業務上のミスを職員に請求する公務員社会なんて成り手いなくなりますね。そのための個人加入の保険があるなんて、なんてブラックな職場なのか》
《公務員やめたくなってきた (1)激務(2)薄給(3)賠償リスク、の三重苦 もはや何も安定してない》
自治体職員への損害賠償請求は今後も続いていくのだろうか。