岸田文雄総理による2度目の内閣改造・自民党役員人事の目玉は、小渕優子元経産相の党選挙対策委員長への起用。が、評判はイマイチで、期待された政権支持率アップもならなかった。
【写真を見る】イケメン旦那と選挙活動する「加藤鮎子」こども政策担当相 父は「総理にいちばん近い男」と呼ばれた「加藤紘一氏」 自民党幹部も肩をすくめる。「就任会見では、小渕氏が経産相を辞任に追い込まれた9年前の政治資金問題を追及され、涙ぐみながら説明した。あれから1週間以上がたちますが、党本部の選対委員長室にはほとんど顔を出していません」

姿を見せるのは、来客や会議の時くらいという。「それでも、用事を済ませるとすぐに出て行く。委員長室に腰を据えて、資料の読み込みや分析に励んだ前任の森山裕総務会長とはあまりに対照的です」小渕優子選挙対策委員長 冷ややかなのは所属する茂木派議員も同じだ。 同派の中堅議員が言う。「元総理を父に持つお嬢さま育ちだから、周囲に世話を焼かれるのに慣れっこ。実務能力に長けているなんて聞いたこともないし」 それがどうして重責を?「そりゃあ、女性で華があるからでしょう。議員同士の利害と思惑が絡む、衆院小選挙区の10増10減の区割り変更に伴う公認候補調整は難題だったけど、これは森山さんが片付けた。後任の優子さんの職責は、10月の衆参補欠選挙や、この秋から冬ともいわれる解散・総選挙に備えて全国の選挙区をくまなく回ること。お飾りとまでは言わないけれど、選対委員長は彼女が苦手な定例会見もない。総理も彼女にうってつけの役回りだと考えたようです」記者があいさつに行っても… そんな岸田総理の計算が外れたのは、新聞各社の世論調査でも明らか。小渕氏の登用を「評価する」とした回答は、毎日21%、産経29%、読売37%と軒並み低調だったからだ。 政治部デスクが解説する。「政治資金に関する問題について、多くの国民が“小渕氏は説明責任を果たしていない”と見ていることがうかがい知れる結果でした」 そのせいかどうか、「メディアからの批判がトラウマとなり、大のマスコミ嫌いになっている。塩対応は相変わらずで、新たに選対担当になった記者があいさつに行っても、一瞥(いちべつ)するだけでほとんど口を利きません。責任ある立場に就いた以上、大人げない態度は改めるべきだと思いますが」森元総理の“ゴリ押し” 小渕氏が表舞台に復帰した背景には、森喜朗元総理の“ゴリ押し”があった。「8月末に行われた故・青木幹雄元参院議員会長のお別れの会で、森氏は“心残りは小渕恵三さんのお嬢さんのことと思う。あなたの夢、希望がかなうように最大限努力する”との弔辞を読み上げた。青木氏が優子氏に目をかけていたからで、岸田総理には幹事長での処遇を求めたといいます」 別の自民党幹部が明かす。「岸田総理も、早大の先輩でかつ最大派閥の安倍派ににらみを利かせる森さんには逆らえない。周囲に“森さんが言っているからしょうがねえ”とこぼしていた」 小渕氏には別の火種も。「日本中古自動車販売協会連合会は、恵三氏の代から小渕家を支援してきた。渦中の中古車販売大手・ビッグモーターも加盟社なので、同社と関係があれば、小渕氏のイメージダウンは必至です」(野党幹部)「週刊新潮」2023年10月5日号 掲載
自民党幹部も肩をすくめる。
「就任会見では、小渕氏が経産相を辞任に追い込まれた9年前の政治資金問題を追及され、涙ぐみながら説明した。あれから1週間以上がたちますが、党本部の選対委員長室にはほとんど顔を出していません」
姿を見せるのは、来客や会議の時くらいという。
「それでも、用事を済ませるとすぐに出て行く。委員長室に腰を据えて、資料の読み込みや分析に励んだ前任の森山裕総務会長とはあまりに対照的です」
冷ややかなのは所属する茂木派議員も同じだ。
同派の中堅議員が言う。
「元総理を父に持つお嬢さま育ちだから、周囲に世話を焼かれるのに慣れっこ。実務能力に長けているなんて聞いたこともないし」
それがどうして重責を?
「そりゃあ、女性で華があるからでしょう。議員同士の利害と思惑が絡む、衆院小選挙区の10増10減の区割り変更に伴う公認候補調整は難題だったけど、これは森山さんが片付けた。後任の優子さんの職責は、10月の衆参補欠選挙や、この秋から冬ともいわれる解散・総選挙に備えて全国の選挙区をくまなく回ること。お飾りとまでは言わないけれど、選対委員長は彼女が苦手な定例会見もない。総理も彼女にうってつけの役回りだと考えたようです」
そんな岸田総理の計算が外れたのは、新聞各社の世論調査でも明らか。小渕氏の登用を「評価する」とした回答は、毎日21%、産経29%、読売37%と軒並み低調だったからだ。
政治部デスクが解説する。
「政治資金に関する問題について、多くの国民が“小渕氏は説明責任を果たしていない”と見ていることがうかがい知れる結果でした」
そのせいかどうか、
「メディアからの批判がトラウマとなり、大のマスコミ嫌いになっている。塩対応は相変わらずで、新たに選対担当になった記者があいさつに行っても、一瞥(いちべつ)するだけでほとんど口を利きません。責任ある立場に就いた以上、大人げない態度は改めるべきだと思いますが」
小渕氏が表舞台に復帰した背景には、森喜朗元総理の“ゴリ押し”があった。
「8月末に行われた故・青木幹雄元参院議員会長のお別れの会で、森氏は“心残りは小渕恵三さんのお嬢さんのことと思う。あなたの夢、希望がかなうように最大限努力する”との弔辞を読み上げた。青木氏が優子氏に目をかけていたからで、岸田総理には幹事長での処遇を求めたといいます」
別の自民党幹部が明かす。
「岸田総理も、早大の先輩でかつ最大派閥の安倍派ににらみを利かせる森さんには逆らえない。周囲に“森さんが言っているからしょうがねえ”とこぼしていた」
小渕氏には別の火種も。
「日本中古自動車販売協会連合会は、恵三氏の代から小渕家を支援してきた。渦中の中古車販売大手・ビッグモーターも加盟社なので、同社と関係があれば、小渕氏のイメージダウンは必至です」(野党幹部)
「週刊新潮」2023年10月5日号 掲載