中古車販売大手・ビッグモーターの不正の背景には、パワハラ気質の「社訓」があったのは周知の事実。企業がブラックなら社訓もブラック、その逆も然り。ビッグモーターが図らずも証明した格好だ。そこで、社訓からブラック職場の重症度を読み解く術を、実例を交えて紹介する!◆ブラック企業のバカ社訓・事例『挑戦×、頂戦○。幸福を「こうふく」と読むのはNG』OA機器販売 B社 重症度 120%
9年前、大学新卒でOA機器販売B社に入社した河本哲也さん(仮名・33歳)は、新人研修で感じた超前時代的な社内風土に驚いた。
「パンフレットに記された『魂の研修』という文言を見て、イヤな予感はしていたんですが……。すべての課題で毎回テストがあり、たとえ成績が1位でも僅差だと上席から『クズ』『アホ』と罵倒される。圧倒的1位じゃないとダメなんです。社内では『圧勝』とか『圧倒』という勇ましい言葉をよく聞きましたね」
◆社訓が仕事の質を落とすことに
配属されてからも、上司からの“圧”は強まるばかり。
「毎日朝礼で社訓と基本精神10ヶ条を大声で読まされる。決算期には全力で叫ぶから、営業のときにはみんな声がかすれてる(苦笑)。むしろ、社訓が仕事の質を落としているんですよ」
◆退社した今だからわかるブラック社訓の特徴
退社した今だからわかるブラック社訓の特徴を、河本さんはこう話す。
「『挑戦』を『頂戦』とヤンキーっぽい当て字にするのは、不良が気合と根性で何でも解決しようとするように、精神論で厳しいノルマをクリアするためでしょう。負けず嫌いなのもヤンキー同様で、『幸福』を『こうふく』と読んではいけない。『降伏』にがるから『しあわせ』と読むんです(苦笑)」
勝利至上主義の社訓や社内ワードは、ブラックの予兆だ。
★社訓のブラック予兆!★高カロリーな「当て字」=勝利至上主義
【河本哲也さん(仮名)】私大新卒でB社に入社。3年ほどで退社、転職したが「ブラック企業は忙しくて転職活動ができず、泣く泣くとどまる人も少なくない」(河本さん)
取材・文/週刊SPA!編集部 取材協力/坂倉昇平(総合サポートユニオン) 古川琢也