この役職の人事が注目を集めたのは初めてであろう。「フランス観光写真」で大炎上した自民党女性局。「エッフェル姉さん」に代わってトップに就いたのは高橋はるみ議員(69)だった。
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【写真を見る】フランス視察で今井絵理子参院議員が「同伴旅行」と指摘された場面 新女性局長のお披露目は、今月1日に放映されたNHK「日曜討論」の出演だった。各党の女性議員を集めたこの席で、先日の内閣改造で副大臣、政務官人事に女性がゼロだった点を野党議員に問われ、高橋局長は「適材適所だ」と返した。

「女性政策に関心が薄い」 彼女は一橋大を卒業し、通産省(現・経産省)に入省した元キャリア官僚だ。経済産業研修所長などを経て2003年に北海道知事選に出馬し、当選。以来、女性としては史上最長の4期16年にわたり道政の舵を取った後、19年、参院選で初当選している。元大蔵省の夫との間に2人の子がいる高橋氏「物見遊山」で地に堕ちた女性局の威信を取り戻すのが託された使命だろうが、「女性ならでは(ママ)視点で政治・政策を考え」(女性局HP)る部署のトップとして「適材適所」なのか。気になる数字があるのだ。「実は、北海道のジェンダーギャップに関わる指数は、軒並み成績が悪いんですよ」 とは、道政に詳しいさるジャーナリスト。「知事を16年もやったのですが、正直、高橋さんは女性政策に関心が薄く、ほとんど改善しなかった。彼女に女性政策を訴えられてもね、というのが道政を知る者の本音です」官僚答弁 例えば、上智大学教授などが調査する「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」の「行政」「教育」の項目で、北海道はお見事、2年連続ワースト1位! 道庁の管理職や要職の女性比率が低く、育休取得率も低迷。また、女性の4年制大学への進学率や小中高の女性校長の割合も全国最低クラスと評価されている。 10年に東北大学教授らが発表した「男女平等度指標」でも全国ワースト2位。調査を担当した吉田浩・経済学部教授によれば、「特に教育に関する数字が悪かった。保育園などの施設が少なく、地元に学費の安い教育機関が少ないためか、女性の高等教育への進学率も低かったですね。出生率も低かった。つまり、高等教育を受けない→高賃金の仕事に就けない→子どもを産めない・産んでも預けるところがないから働けないという悪い流れが起きていました」 さる野党道議に聞いても、「知事に女性政策について何度か質問が出たことがありましたが、“適切に対処します”といった官僚的な答弁ばかりで熱意は全く感じられませんでした」「何もしないこと」が職務? 高橋氏の手腕が「低位」の理由のひとつだったことは間違いなさそうだ。 政治ジャーナリストの青山和弘氏によれば、「彼女が選ばれたのは、エッフェル塔の事件で起きた女性局の動揺を抑えるため。問題が起きた後だけに、松川るいさんのような若手の野心家ではなく、落ち着きのある年長者を起用したというわけです」 当の高橋氏に聞くと、6項目にわたる道知事時代の“ジェンダー施策”を列挙して実績をアピール。 しかし、むしろ「何もしないこと」が最大の職務となりそうである。「週刊新潮」2023年10月12日号 掲載
新女性局長のお披露目は、今月1日に放映されたNHK「日曜討論」の出演だった。各党の女性議員を集めたこの席で、先日の内閣改造で副大臣、政務官人事に女性がゼロだった点を野党議員に問われ、高橋局長は「適材適所だ」と返した。
彼女は一橋大を卒業し、通産省(現・経産省)に入省した元キャリア官僚だ。経済産業研修所長などを経て2003年に北海道知事選に出馬し、当選。以来、女性としては史上最長の4期16年にわたり道政の舵を取った後、19年、参院選で初当選している。
「物見遊山」で地に堕ちた女性局の威信を取り戻すのが託された使命だろうが、
「女性ならでは(ママ)視点で政治・政策を考え」(女性局HP)る部署のトップとして「適材適所」なのか。気になる数字があるのだ。
「実は、北海道のジェンダーギャップに関わる指数は、軒並み成績が悪いんですよ」
とは、道政に詳しいさるジャーナリスト。
「知事を16年もやったのですが、正直、高橋さんは女性政策に関心が薄く、ほとんど改善しなかった。彼女に女性政策を訴えられてもね、というのが道政を知る者の本音です」
例えば、上智大学教授などが調査する「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」の「行政」「教育」の項目で、北海道はお見事、2年連続ワースト1位! 道庁の管理職や要職の女性比率が低く、育休取得率も低迷。また、女性の4年制大学への進学率や小中高の女性校長の割合も全国最低クラスと評価されている。
10年に東北大学教授らが発表した「男女平等度指標」でも全国ワースト2位。調査を担当した吉田浩・経済学部教授によれば、
「特に教育に関する数字が悪かった。保育園などの施設が少なく、地元に学費の安い教育機関が少ないためか、女性の高等教育への進学率も低かったですね。出生率も低かった。つまり、高等教育を受けない→高賃金の仕事に就けない→子どもを産めない・産んでも預けるところがないから働けないという悪い流れが起きていました」
さる野党道議に聞いても、
「知事に女性政策について何度か質問が出たことがありましたが、“適切に対処します”といった官僚的な答弁ばかりで熱意は全く感じられませんでした」
高橋氏の手腕が「低位」の理由のひとつだったことは間違いなさそうだ。
政治ジャーナリストの青山和弘氏によれば、
「彼女が選ばれたのは、エッフェル塔の事件で起きた女性局の動揺を抑えるため。問題が起きた後だけに、松川るいさんのような若手の野心家ではなく、落ち着きのある年長者を起用したというわけです」
当の高橋氏に聞くと、6項目にわたる道知事時代の“ジェンダー施策”を列挙して実績をアピール。
しかし、むしろ「何もしないこと」が最大の職務となりそうである。
「週刊新潮」2023年10月12日号 掲載